2017.2.6 【パワーアップ落語会@動楽亭】

 【パワーアップ落語会】

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さて今日は6日ぶりの落語会、毎月月初は落語会が少ないのでこうなりがちだけど、5日も行かないことはそうそうない。前にいったのが31日のたまさんの「寄席小屋研究会」 で、そして今日ももまたたまさん。たまさんが言ってる 「エンゲイ係数」 てあるけど、どっちか言うと大阪のたまファンの場合は 「たま係数」 やと思う。
ということで、今年からの新企画 「パワーアップ落語会」 の今日は2回目でゲストは米二さん、何か強烈なダメ出しが炸裂しそうな気がする。

たま / あいさつ
大智 / 初天神
恩狸 / ハッケヨイ君
あおば / たけのこ
座談会 / たま・米二・あおば・恩狸・大智
たま / 坊ちゃんの結婚
米二 / 軒付け
仲入り
たま / 御神酒徳利

たまさん、最初のあいさつで若手三人を紹介、プログラムにもあるようになかなか個性的な人が揃ってる。そして米二さんは米朝一門のお目付け役的存在、トークが楽しみになってきた。

最初は大智さん、仁智さんの四番弟子だ。声が個性的な人で噺を選びそうだ。やっぱり 「初天神」 の寅ちゃんは合ってないと思う。

続いて恩狸さん、三回目で初めての新作、落語会のチラシにかけたまくらよく受ける。そこから家事ロボットがテーマの 「ハッケヨイ君」、これがなぜか相撲仕様で、まげをつかんだら起動するとかそんなのだ。しかし、二畳半の家事ロボットてのは何かイメージわかない。それと同じ相撲ネタの 「大安売り」 に口調が似ていた。
もちろん全体的に面白かったけど、以前感じた身体の軸が不安定になるのがまだ少し残っているように感じた。

三席目はあおばさん、この三人の中では一番キャリアも長くさすがに落ち着いてみえる。「真田小僧」 するつもりやったけど、子供の噺が出たので変えると。短い噺なのでとまくらを継続。NMBの漫才が受けるのおかしい、とか、京都マラソンに出た時の話とか、東京の噺家苦手だとか、よく受けてた。そこから 「たけのこ」
短いけど、隣家から敷居をまたいで飛び出したたけのこでもめるのを、半ば擬人化しておさめるような噺。
あおばさんのニンに合ってて楽しかった。吉本に移ってからの方が伸び伸びしてるように感じる。

次がいよいよトーク、米二さん、さすがの的確な指摘でなるほどだけど、なかなか話が広がらない。前回の花丸さんでも感じたけど、たまさんのイメージと少し違ってる気がする。三人にあまりこだわらずのゲストとたまさんが話進めていったほうが面白いと思う。次は梅団治さん、人によっていろいろ変わってくると思うのでまた楽しみだ。

で、たまさん一席目、次回から自分の高座でスピードつけるため五秒根問をすると。たまさんらしくて楽しみだ。
そこからまくらなしで 「坊ちゃんの結婚」、親分が亡くなった元やくざの組の坊ちゃんに好きな人ができて、当時の頭がいろいろと骨を折る噺。この頭が裏社会の怪しげな職業にことごとく知り合いがい、てこれが爆笑につながる。 仁智さんの「源太と兄貴」シリーズとか、「くもんもん式学習塾」(三枝・作)もそうだけど、落語にはあの世界をおちょくった新作の傑作がたくさんある。そういえば古典の泥棒噺とかもそうかな。アウトローをおちょくって現実世界に引っ張り出して楽しむのも落語の面白いところだ。

ここでようやくゲストの米二さんが出番だ。しかし、この会長いな。トークでしゃべったからか、ほとんどまくらなしに浄瑠璃の噺をします。ここで 「寝床」 はしつこ過ぎるし 「軒付け」 かなと思っていたら当たりだった。
浄瑠璃習っていた時は真剣にすると喉より肺が痛くなったと。そういうものらしい。
僕は浄瑠璃噺のなかでは 「軒付け」 が一番好きなんだけど、何て言うか緩さがいい。米二さんのはこの緩さがぴたりだ。いいかげんな浄瑠璃に、これもまた緩い三味線がからんで、好き勝手な世界が出来上がっていく。そしてそんな軒付けを許す当時の風習。落語はまた過去のそんな景色も見せてくれる。米二さん若手の前でさすがの高座だった。

仲入り後はたまさんの一席だけ、今日は時間の関係かまくらがほとんどない。みなさん 「口げんか王選手権」 優勝の話を期待していたのでは。そんな中短いまくらで 協会の情報誌 「んなあほな」 がWEB版だけになるかもしれない。売れないからだそうだ。そう言えば僕も最近買ってない。文枝さんとか出る人限られててあまり面白くない。
たまさん、「たま通信」 復活させて100円で売ろうかと思っていると。内容次第では売れることを証明すると。ぜひやってほしい。僕は買うよ。
噺は twitter で予告していた 「御神酒徳利」、この噺が元々上方だったというイメージは今はまったくない。 
圓生の御前落語として有名だけど、確かに変な人間が出てこない基本前向きな噺でそういうのに向いているだろう。たまさんのは大阪の商家が舞台で、鴻池の手代とともに、江戸の鴻池の縁者筋に病気を治しに行くという設定。だけど元々の商家では本人ではなくてその嫁が水壺に隠したことになっていた。また最後にもこの嫁がわざわざ江戸まで出向いて再登場。かなりポイントの人物になっていた。内容的にはバカバカしくも幸福感が広がっていく印象でよかったと思う。

全部で七席になるので、夜席としては実際の時間以上に長く感じる。もちろん楽しいんだけどね。で、やはり対談コーナーがこなれてない印象が強くて、ここが目玉だと思うので、来月以降に更に期待したい。