2017.2.7 【第11回・繁昌亭大賞受賞記念落語会@繁昌亭】

 【第11回・繫昌亭大賞受賞記念落語会】 

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11回目の繁昌亭大賞受賞記念落語会、毎年来ているわけではないけれど、今年はやはりはずせない。受賞者三人プラス仁智さんの四席となればかなり豪華な会になる。晴れの舞台で皆さんが何を掛けるのかがとても楽しみだった。こういう会は絶対ネタ出ししてはだめだな。1Fは補助席まで出る満員で皆さんの個人的な知り合いの方もいるのかいつもとは違う雰囲気で開演した。

表彰式 / (司会) 智之介  (プレゼンター) 仁智
   〇大賞・文三  〇奨励賞・かい枝、たま
智之介 / 看板の一
たま / マイセルブズ
かい枝 / 三十石
仲入り
仁智 / 兄貴の頭
文三 / くっしゃみ講釈

まず司会の智之介さんが登場し、プレゼンターの仁智さんを呼び込む。そして協会副会長としてのあいさつから三人が登場し表彰式、それぞれの一言で、たまさん「例年一名の奨励賞が今年二名だったのは大賞も奨励賞も文枝一門はまずいとの政治的判断で追加されたらしい。なので来年もおまけで大賞とりたい」 今日の客席にはたまさん知らない人や、たまさんの落語聴いた事ない人も結構いるはず。そんな中でもたまさんペースだ。

落語の一席目は智之介さん、仁智さんの一番弟子でマジシャンでもある。ネタは 「看板の一」
おやっさんのドスのきいた声がやたらと渋くて、結構切れ味もある。いい高座だった。

続いてたまさん、あいさつに続いて、四代目春団治の話を始めた。また、物騒な雰囲気を漂わせながら最後は丸くおさめた。しかし、普通の人は表彰式の場でこんな話はしない。でもそこまで計算してるんだろうな。とにかく今日の落語会でたまさん新規客そこそこつかんだのでは。
で、今日はまた 「ちしゃ医者」 じゃないのかと思っていたら意表をついて 「マイセルブズ」、20才の男の前に、30才の自分が突然現れる。そして40才、0才、10才、50、60、70、80才と次々現れるが、とんでもなくアップダウンで波乱万丈の人生だ。で、80才でみんなに看取られながら亡くなる。結局いい人生だったのでは。ギャグも満載だけどなかなか味のある噺だ。人生いろいろ。そんな下げもいい。

次はかい枝さん、とりあえずたまさんをいらう。英語落語をしそうでしないいつものまくら。そして一家で新幹線乗った時黒服の集団に取り囲まれた話。これもいつものん。でもどちらもよく受ける。
そこからネタは 「三十石」、伏見の浜で船が出るまでのわちゃわちゃ感がいい。旅の楽しさがよく出ていて好きなシーンだ。そして中書島の勘六さん、船唄が続く。返しの船唄でまたたまさん登場、かなりうまいな。
そして八軒家に到着。部分部分はいいのだけど、僕はこの噺ロードムービーだと思っているので、もう少し長目で聴きたいな。

仲入り後は仁智さん、また野球の話が始まってSBBの恐怖におののく。完全に飽きた噺を聴くのはしんどいなと思っていたら、野球は野球でも近鉄とかオリックスの話でいつのもまくらではない。これは面白かったけど、そこから唐突に 「兄貴の頭」、とある組に新入りが入ってきて先輩組員がいろいろと指導する。その中で辰あにいに対してタブーな言葉がやまほどある、頭についての言ってはいけない言葉。それをひとつづつあげていき爆笑。
愛すべき落語の国の人たちだ。結婚式でスピーチする辰あにいが導入した被り物がずれていてそれを気づかれずに直すのにまた大爆笑。いや、楽しかった。仁智落語の本領だ。

最後は大賞の文三さん、できる後輩がどんどん出てくると。たまさんやかい枝さんの話から、また師匠の思い出話。僕は文三さんのこの思い出話を聴くのが好きで、とても暖かい気持ちになる。
そこから噺は 「くっしゃみ講釈」、もう文三さんにぴったりなんだけど、はしゃぎまくる男、くるくる変わる場面転換、ハイテンションが下がらない。くっしゃみを我慢する様がとてもうまい。語りながらうなってるように、我慢して豪快なくしゃみ。最後に変な歌から通常のさげ。大賞記念にふさわしい楽しい一席だった。

今日はみなさん楽しくて、やっぱりおめでたい、ハレの日の会だったけど、そんな中でもたまさん目立ってたな。自分の会で目立つの当たり前だし、寄席の昼席でこういう目立ち方は難しいし、今日のような落語会で表現できる最大限に近いパフォーマンスだったのではと思う。「マイセルブズ」を持ってきた選択、そしてあいさつとまくらで話題にしたこと、更に船唄も含めて、全体的なパフォーマンスのレベルが更に上がったのではと思った。
これは聴き手としては自身の会では分かりにくいことだと思う。