2017.1.27 【乙夜寄席・第八夜@繁昌亭】

 【乙夜寄席・第八夜】

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「月刊たま」 がはねた後、外に出ると 「乙夜寄席」 の行列ができていた。雀五郎さんが出ることもあり、10月以来の列に並んだ。実は「月刊たま」 は、いつも終演時間が遅くなるので 「乙夜寄席」に食い込まないか心配だったけど、さすがに今日はちゃっちゃと終わった。9時30分ごろの開場、並んでいるのは30~40人ぐらいか。「月刊たま」 から居残りの人もかなりいるようで10月の雰囲気とは少し違って、マニア組が多くなっている感じだった。

小留 / 普請ほめ
雀五郎 / 初天神
由瓶 / 試し酒

小留さん、3日前に続いての開口一番で、ネタは同じ 「普請ほめ」、師匠の小枝さんの話、自分の名前について。意外にきっちりした落語で口跡もきれいだけど、やはりクサい。でも表情豊かだし、口もよくまわる。深夜寄席の開口一番としてはいいのでは。

続いて雀五郎さん、久しぶりに自宅マンションの賃料の安さについて。よくできたまくらで爆笑。そこから 「初天神」、この噺も雀五郎さんの鉄板になりつつある。向いのおっさんにいらんこと言いそうになって、連れてったるから帰って来いと言われた寅ちゃんを、手を出して止める向いのおっさん、この「ちょっと待ち!」のタイミングが雀五郎さん抜群にいい。ここでどっと受ける。そして寅ちゃんも可愛いのだけど、頼んない親父がまたいい。
で、いかのぼしまで。最後に凧あげる親父がむちゃくちゃ楽しそうで仲の良さそうな親子だな、と。少し前に 「初天神」 をしたある人が後のトークで、この噺は父と子が仲良くみえないとだめだと言ってたのを思い出した。なるほどだな。

最後は由瓶さん、自分でトムクルーズみたいな顔だと。全然違うと思う。ネタは 「試し酒」、冒頭何かリズムが悪く感じたけど、久蔵が飲みだしてからはどんどんよくなってきた。飲むほどに酔うほどに、替っていくのがとてもよくわかる。ベロンベロンになるのでなくて、酔っぱらっているのは分かるけど、どこか覚めたところが残ってる酔い方だ。噺家の人は酔っ払いひとつとっても、これだけ様々な酔い方を表現できるのはすごいなと。
で、三升ぐらい飲んだところから、久蔵が自分の旦那に商売への疑問を口にしだす。「どうやって金まわしてる。何か悪いことしてないか」 と。これをかなりしつこくやるのだけど、旦那はスルーで全く噺の本筋にはならない。この部分は初めて聴いたように思う。
最後が近づき四升目を空けてから五升目にかかるまでの長い沈黙、これがとてもよかった。そしてとうとう五升空いて、おなじみの下げ。これもいい下げだ。

雀五郎さんも由瓶さんもとてもリラックスしてる感じで、これも深夜寄席のいいところかな。今日は最終的には80人ぐらいだろうか。週末になった割にはあまり増えてない印象だけど、やっぱり寒いし春になればもっと増えるだろう。元々この企画、話題性を狙うなら冬に向かう10月からでなくて、夏に向かう4月から始めた方がよかったのかな。それでもこの先益々楽しみな企画だ。