2017.1.19 【佐ん吉・鯛蔵・米輝の落語ゼミ@高津神社・末広の間】

【佐ん吉・鯛蔵・米輝の落語ゼミ】

イメージ 1

去年の9月に「三日間集中落語ゼミ」 としてこの高津神社・末広の間で行われた同じ三人の会。二日参加してとても楽しかった。それが同じメンバーで今日の開催。他にもいろいろいい会のある日だったけれど迷わずここに来ることにした。なんて言うか落語もそれ以外も、この三人のリズムがよくて、とても居心地のいい会だった。
今回、もちろん落語は一席ずつするのだろうけど、ほかはどんな内容になるのか全然分からずにやってきた。
入場すると椅子の数が少ない。そんなことはないやろと思っていたら、案の定足らなくなる。で、椅子を足しに出てきた佐ん吉さん、鯛蔵さんが身体動かしながらミニコントみたいなのを始めた。
佐ん吉 さん 「ほんま、動楽亭行かんとよう来てくれはったわ。おやどもあるっちゅうのに。」
鯛蔵さん「兄さん、僕らの時代ですね」
爆笑だった。

米輝 / 擬宝珠
鯛蔵 / 初天神
佐ん吉 / 狐芝居
佐ん吉・鯛蔵・米輝 / 公開反省会・今日のネタトーク

まず米輝さん登場、例によって師匠米團治さんの話題、この一門はまくらに苦労しないな。師匠のもの忘れ、佐ん吉さんのもの忘れからネタに入る。「熊五郎でおます。」、崇徳院だ、と思っていたら、恋わずらいの噺でも、季節外れの食べ物の噺でも、絵に描いた女の噺でもないという展開に。えー、そしたら、まさか、本当に。
「擬宝珠」だった。僕はこの噺喬太郎さんでしか聴いたことがなくて、しかも喬太郎さんが発掘したってことになってると思うのだけど、直で米輝さんにが、あったのか。なかなか考えにくいけど。
内容はかなり普通でない性癖の持ち主として描かれている。一族あげてであったことが後に判明して爆笑。
米輝さんらしいネタだとは思う。普通の人しないだろうし。

続いて鯛蔵さん、当然米輝さんをいらう。「なんちゅう噺や、僕はまっとうに今しかできない初天神をします」
こういうとんでもないネタの後に高座に上がった時、普通はいらって客席を鎮める場合と、無視して突っ走って客についてこさせるのとがあるけれど、やっぱり後者はリスクが高い。うまくいけば快感だろうけど。
で、「初天神」 は米二さんかららしい。三遍稽古を、二乗さん、ひろばさんと三人並んで、それぞれ別の噺をつけてもらった。本当に三回しか前でやっていただけないので、覚えるのは大変だと。やはり、向いのおっさんが面白い。凧あげまで行った。これでこそ 「初天神」だ。親父が凧あげに入り込みすぎてるように感じたけど、全体的にはとても楽しかった。下げは通常のパターン。

そして、最後は佐ん吉さん、コントの続きみたいに、動楽亭かおやどかとか、そんな50人ぐらいの人をどうこう言ってる場合じゃない。僕らはもっとたくさんの人を分母としなければ、と。そこからくまのプーさんの話、血を遺す話になってディープインパクトの血と米朝さんの血について。どんな比較や。
そこから 「狐芝居」に。小佐田さん作だな。とある侍が飯屋で刀を忘れて、取りに戻ってきて大騒ぎ。その時、飯屋の主人は侍でないことを見抜く。実はこの男旅役者で、遊び半分で侍のかっこをしていた。次の宿場へ早々と向かうけれど日が落ちるのが早くて道に迷う。すると何やら芝居小屋のようなものに遭遇する。
のぞいてみると、まさに忠臣蔵四段目、塩谷判官切腹の場。一番いいところだ。しかし、由良之助が来ない。いつまでたってもこない。そしてこの小屋は客が狐ばかりの狐芝居だった。それを承知でいてもたってもいられなかったこの男は、思わず飛び出し塩谷判官のもとへ。一世一代の芝居を見せるが、その頃楽屋に由良之助の役者が遅れて到着、今出てるのは人間だとなり、一座は撤収、小屋も消えてしまう。
その後余韻で、いい芝居をさせてもらってありがとうと、この男。そして下げに。この下げがあまりに秀逸だ。
佐ん吉さんの芝居噺は定評があるけれども、今日は特によかった。端正という言葉はこの人のためにあるのか、と思わせるほどの凛々しさ。噺もいいけど演者もいいの典型だった。

てことで三席終わり全部よくていい会だった。ここで一旦下がった佐ん吉さんを先頭に三人再登場。そして、佐ん吉さん今日の公開反省会をします、と。後二人が 「えーっ」 とか言うものの客席から大きな拍手で始まる。
最初は「狐芝居」、元々小佐田さんは枝雀さんにあててつくった。そして文之助さんから吉朝さんに。で、佐ん吉さんは吉弥さんかららしい。僕は佐ん吉さんで二度目で、後は吉坊でしか聴いていない。他の人でも聴けるのを楽しみにしていよう。
次は鯛蔵さん 「初天神」、よかったと思っていた。佐ん吉さんも同じように言ってたけど、ご本人は不満のようだ。
理由を聞いてなるほど。この噺時節柄は今がピタリだけど、最近結構季節に関係なくかかる。そして若手中堅問わず掛ける人も多い。だけど、鯛蔵さんの言う視点にきっちり沿ったのはあまり聴かないかも。鯛蔵さんの「初天神」また聴きたい。
そして問題の「擬宝珠」、米輝さんは枝三郎さんからてことだ。枝三郎さんがするのは全然知らなかった。上方には喬太郎さんとはまた別の流れがあるのかないのか。この辺りも落語の面白いところだ。去年9月のこの会で掛けるつもりが直前の台風で稽古が流れて掛けられず。仕切り直して今日は2回目らしい。喬太郎さんのとまた味わいが違うし、もっと聴きたいな。

これで終了。予想通り楽しかった。最後にこれからは2か月に一度することと、次回は3月29日になることが発表された。3/29か、それはまた悩ましい日だな。