2017.1.17 【ごにんばやしの会@箕面・メイプル大ホール】

【ごにんばやしの会】

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2か月に一度レギュラー5人で開催されているこの会、今日で84回ということで随分長く続いている。いい顔ぶれだし、木戸も安いし、会場はゆったりしているし、自宅から約30分と近いし、本来ならほぼ毎回来てもおかしくないところだ。でも実際には一昨年以来で去年は結局一度も足を運ばなかった。その理由はやはりこのホールの音響の悪さで、かなり前方で聴いていても音が天井に抜ける感じが強い。
それでもやって来た目的は、紅雀さんの 「たちぎれ線香」、一昨年の独演会で聴いてすごく良かったんだけど、下げで少しミス。紅雀さん口座からころげ落ちて頭を下げた。そんな経緯で去年一度、雀のおやどでリベンジがあったけれどそれは行けなくて、今日はきっちり聴くつもりでやって来た。さてどうなるのか。

米紫 / 天災
まん我 / 悋気の独楽
吉弥 / 鴻池の犬
仲入り
ひろば / 法華坊主
紅雀 / たちぎれ線香

米紫さん、5人の年齢構成説明。もう若手というほどでもない。そこから気の短いざこばさんの話をして、さこばテイスト満載の 「天災」 へ。心学の先生の名前が 「べにらぼうなまる」 じゃなくて 「いずもえいらくさい」 になっていたけど特に何かの意味があるのではなくて、地口を変えたかっただけのように思えた。そいて、いつもどおり軽快にとんとんと進む。下げは通常のパターン。

続いてまん我さん、「悋気の独楽」 初めて。この人女性の表現がかなり上手な人だと思っているけど、着物の印象とかも含めてかなり個性的な人だ。そしてすこし粘っこい口跡、あっさりしてないのがいいのか。それなら「悋気の独楽」は合う。特に御寮人さんがいい。

中トリは吉弥さん、地元の武庫之荘デイケアに弥っこさんと二人で行った話、落ちだと思って度々拍手が起きる。落語はなかなか難しいと。今日も開場前に吉弥さんが出てくると、並んでる列の中から 「吉弥さんや」 という声が。そういうオーラはあるにしても、この人の落語はまん我さんとは対照的で、あくまで穏やかに物語を語る。そんな中でよその犬を諭すクロの静かな貫禄みたいなものがいい。やっぱ動物擬人化の代表作だな。

中入り後はひろばさん、以前から南天さんがよく持ち出すひろばさんの十二支エピソードを今日は自ら告白、上方落語界でかなり蔓延していると。そこから 「法華坊主」、この噺、僕は先日高津で聴いて知っているのだけど、短い。少し長めの小噺を二つくっつけただけという印象。でも面白いし、モタレで掛けるにはかなりいい。
内容は鳥の小噺で、鳥の鳴き声で下げになる。楽しい噺だ。

そして最後は紅雀さん、「たちぎれ線香」なんだけど、今のキャバクラの料金システムの話を長めに話す。各テーブルの時間をキッチンタイマーで計っている。言わば客が料理されているようなもの、と。たちぎれのまくらにこれいるのか。
そこから、昔のお茶屋では時間を線香一本いくらで計っていた、と。いつもの導入部。
冒頭若旦那と定吉の会話の中で 「丹波から馬に乗って」 「須磨から船に乗って」 小糸に会いに行く、で爆笑。これは初めて聴いた。そして、飛び込んできた若旦那を番頭が諫める。「お座りやす。」 たばこを吸う間が絶妙だ。
乞食がどうこうとか言いながら、結局100日の蔵住まい、という多分番頭の思惑通りに落ち着く。
話は変わるけど、ひとつこの噺に疑問点があって、若旦那が蔵住まい終えた後の番頭との会話で、「色街の恋は80日」、「100日ずっと来たら一緒にさせるつもりやった」 とあるけれど、80日と100日でどうしてそんなに極端な対応になるのだろうか。単に番頭が不器用なだけか。
そして噺は後半へ。若旦那と女将の会話では女将はそれほど緊張させない。そんな中朋輩衆がガヤガヤとやってくる。僕はここで笑いを取って一旦客席の緊張を緩めてほしいんだけど、あまり笑いは起きなかった。どういう客席かということもあるのでやはり難しいか。
最後の若旦那の長い沈黙、ここがとてもよかった。で、独白前に 「わいはあほや」、そして泣く。
下げ 「お仏壇の線香がちょううどたちきりました」。大きな拍手、頭下げる紅雀さん、緞帳下がって来る。そこで、いきなり顔上げて、手を広げて 「ばあーっ!」 何をするねん。今から余韻なのに。でもそれも紅雀さんらしい。
素晴らしい「たちぎれ線香」だった。

すごくよかった、けれども一言言っとく。このホールやっぱりかなり音響悪い。何とかならないものなのか。今日の座席は下手通路側3列目だった。