2017.1.7 【福笑たまの一期一会新春寄席@西宮芸文中ホール】

【福笑たまの一期一会新春寄席】

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さて今日は福笑たま師弟の新春寄席、去年の正月もここで開かれた。繁昌亭での 「たったふたりの一門会」 もあるけれどもなかなか貴重な師弟対決。ネタも出ていて新作・古典一席ずつだ。開場前からみてると、いつものたまさんの会より明らかに客の年齢層が高い。そして800キャパが満員になる。大阪ではこんな環境で何十年も独演会をしてる福笑さんよりも、たまさんに注目して開演を待った。
しかし、この画像みるとチケット半年近く前に買ってるんだな。2~3回忘れるぐらいのタイミングだ。

生寿 / 延陽伯
福笑 / 二人ぐせ
仲入り
たま / あくびの稽古
福笑 / 葬儀屋さん

開口一番は生寿さんから。この師弟の会には割とよく登場しているように思う。奥さんのこといろいろ不満言ったあと 「延陽伯」、生寿さんでは初めて。延陽伯の第一声が何か違う。声が高いのか。でも特徴的でいいと思う。
ささっとやってすっとおりた。

たまさん、一席目はまくらたっぷり。リテラシーの話、「朝日が左でサンケイが右で」 で客席ざわつく。普通噺家がこんなこと言わないもんな。こういう会ではたまさんの高座への客席の反応みていると面白い。結構混乱してるように感じることある。そして電車の沿線の話、これはいつも大受け。酔っ払いの小噺から 「バーテンダー」、
6回目だけど、すっかり定番化してる。「バーテンは おもろなくても 顔笑う」 らしい。木村太郎でバカ受けだ。
問題のカウアミルクはそれまで受けすぎていたせいか、ほぼスルーされた感じだった。
たまさんの新作って、こうして完成度が高くなっていって度々高座に掛かるようになってもピタッと止まってしまうことある。最近聴いてない好きな新作もあったりするけど、本人が飽きるのだろうか。客に飽きられる前に掛けなくなる方がお互い幸せだけどね。

続いて福笑さん、トランプやらなんやら時事ネタまくらで客席大いに沸く。そこから 「二人ぐせ」、
福笑さんでは4回目だけど、結構設定が違う。「のめる」 の方が最初から負け続ける。いいところまでいっても逆転される。この噺、案外少ない一対一のガチ勝負みたいなネタで、結構緊張感もある。だから元々の設定変えると急に臨場感のあるネタになる。そして下げも、いつもの福笑さんのサラッとしたのじゃなくて、意表をついててこういうのもいい。
でも話変わるけど、落語にはよくようかんが出てくる。かつては代表的なおやつ、お茶菓子だったんだろうけど、僕はもう何年も食べたことない。こんなこと分かるのも落語の楽しいところだな。

仲入り後はたまさん二席目、ここで 「待ってました」 と声がかかる。すかさず 「いっぺん出てる」、と。ここから掛け声の話になって 「掛け声は難しい。誰に掛けるかによって楽屋の空気が変わる時もある」、要はその会のメインの演者以外には掛けないほうがいい、ということを遠回しに言ってる。掛け声かけた人、たまさんの言ってる意味をよく理解するように。そして文福さんの話、Siriがギャグをとばす話から 「あくびの稽古」、
浄瑠璃のあくび、踊りのあくび、軽業のあくびでは逆立ちする。全部あくびよりその手前が難しい。ということで武道のあくび、これは受け身が必要。この噺はみなさんアレンジするし、しがいのあるネタだとおもうけど、それにしてもたまさんのは派手で面白い。下げも通常のパターンかと思わせて、その後すこしだけいらってまわす。こういうのもいい。

最後は福笑さん、「門松は冥土の旅の一里塚」 というけれど去年もいろんな人が亡くなった。ここである健康飲料CMの話題になってその片方の人も亡くなった。もう一人も……。終演後のホールでこの流れでも爆笑ネタがあった。そしてここから 「葬儀屋さん」、これも何度も聴いてる最近の定番新作の一つだ。
父親が亡くなって、兄と妹の会話これがとんでもない。ギャグ満載で親への敬意などなにもない、黙って聴いていた葬儀屋が 「おたくらええ加減にしなはれ」 と間に入って葬儀の段取りを決めだすけれど、この兄と妹が金のことになると連携をとりだす。そして葬儀の当日、ボケてる母親も登場、兄のあいさつ、爆笑続き福笑さんらしくサラッと下げる。

この師弟二人には爆笑ネタいくつもあるけれども、今日は古典・新作それぞれ一番旬なネタをぶつけてきた感じで爆笑が止まらなかった。特にたまさん、二席目でたまたまの掛け声をつかまえて、それを一度も離さずに言いたいことを伝えて、その流れでネタへの導入まで持って行ったのも見事だ。もうどんな会場でも自在にあやつれるのかもしれない。とにかく楽しい会でぜひ来年以降も続けていただきたいなと。