2016.11.7 【お囃子落語会~小林政子三十三回忌追善落語会@繁昌亭】

【お囃子落語会~小林政子三十三回忌追善落語会】

イメージ 1

さて今日は、上方寄席三味線の入谷和女さんの師匠にあたる小林政子さんの三十三回忌追善落語会が繁昌亭で開かれた。僕は生来の音曲好きなのでこういうのは大好きで、すぐにチケットをおさえて楽しみにしていた。
出演者をみても僕が普段聴いてる人が中心になっている。ということで、なにやらマニア受けしそうな会。そこそこは入るだろうと思っていたけど、今日来てみると1Fはほとんど満席じゃないか。想像以上に入っている。もちろんマニアな皆さんもかなりいるのだけれど、あまり落語会に来ていないような方々もいらっしゃる雰囲気だ。やっぱり三味線系の人が多いのかなと。こんなとりとめのない客席で開演を待った。

鶴二・たま / 前説
染八 / 動物園
たま / 軽業講釈
鶴二 / 紙屑屋
あやめ / アタック!ナンバ一番
仲入り
和女・律子 / お囃子聴きくらべ~お流儀の違い~
福笑 / お囃子さん  三味線、和女・律子・正子

まず幕前に鶴二さんとたまさん登場して前説、今回の主旨と小林政子さんの紹介。で、今日はいろんな出囃子を聴いてほしいと。今日のメインMCは鶴二さんらしいけど、なにやらたまさんに頼ってる気がした。でも楽しい会になりそう。

開口一番は染八さん、出囃子は 「石段」、もちろん和女さんの息子さんになる。父親が小染さん。そんな血筋のことを話してから学校寄席のこといろいろ。そこからネタは 「動物園」。だけど見台が出てる。どうしてなんだと思っていたら、トラの歩き方を習う場面が出てこなかった。そして小ギャグいろいろ。後で鶴二さんに見台の件突っ込まれてたけど、もちろん意図的に使ったんだろうな。ちょっと変わった 「動物園」 を目指していたのか。歩き方なくてもやっぱり見台が邪魔にみえた。

次はたまさん、出囃子は 「長崎さわぎ」、かつて和女さんがむちゃくちゃ忙しかったころの下座の様子で爆笑。そこから 「軽業講釈」、たまさんの落語はパワー系ていう部分が大きいと思うけど、これもいつも通り超ボリュームが続く。そして噺の中ではそれがエスカレートしていくんだけど、声が割れたりしないし、もちろん噛んだりもしない。立て弁的なところもスラスラやし不快に感じない大きな声なんだ。
そして、講釈の先生になぜよばれてるのか? 「わからん」を連発する時のすっとぼけた表情がいい。
この噺かなり好きなんだけど、たまさんのもかなりいい。

続いて鶴二さん、出囃子は 「独楽」、六代目の最後のお弟子さんになる。うまくて面白いと思ってるんだけど、なかなか聴く機会が少ない。今日の演者の中では唯一普段あまり聴いていない人だ。
自分が若い頃はお囃子さんが少なくていろいろ大変だったと。それにしても、下座なしで発端とがするてのはとんでもない話だ。そこからネタは 「紙屑屋」、たまさんの後だからてこともないんだろうけど、何か少しテンポがよくない気がする。それと、紙屑屋の主人が居候に、「隣の稽古屋の歌に浮かれたらあかんで」という念押しはない方がいいと思う。

中トリはあやめさん、出囃子は 「菖蒲浴衣」、もちろん和女さんが姉さんになる。この神戸出身の姉妹が19才と17才の頃、世間ではあの漫才ブームで当時のうめだ花月やなんば花月によく出入りしてたと。そら、美人姉妹で目立ったことだろう。そこから三味線と噺家と道は違うけれども二人ともこの世界に入ってきたと。
それで、今日のネタは 「アタック!ナンバ一番」、当時ブームのスポ根もので、以前はよく聴いていたけど、最近あまり掛けてないのか4年ぶりぐらいだ。実は鶴二さんの 「紙屑屋」のパロディになってる。「紙屑屋」自体も歌舞伎の演目いくつかのパロディなんだけど、そんな意味で出番順がこの位置になったと。これは紙屑屋同様に動き回るネタだけど、あやめさんよく身体が動く。レシーブの度に客席が沸きに沸く。今日一番の爆笑だった。

中入り後は 「お囃子聴きくらべ」、小林政子門下の和女さんと、林家染丸門下の律子さんにいろんな曲の流派による違いを聴いてもうらおうという企画。舞台には左から、律子さん、和女さん、太鼓の染八さん、あたり鉦のたまさん、そして右端に進行役の鶴二さんと並ぶ。何曲か演奏して確かに違いうのだけどそんなに大きくは変わらない。林家の方が音が多いように思うのだけど。それと三味線の音そのものがやはり違う。楽しかったけど、聴きくらべとまではいかなかったかな。なるほどと思ったのは、上方落語で走って逃げたりする時の定番曲~明石飛脚とかの~は「韋駄天」ていうらしい。そして最後にリクエスト出囃子てことで、予想通り客席から 「野崎」 の声がかかる。春團治さんをみんなで偲んでこのコーナー打ち上げ。

そして最後は福笑さん、出囃子は「佃くずし」。ネタ出しは 「お囃子さん」てことで今日のためにつくった噺らしい。どんなのかと思っていると、一旦下がった緞帳が上がって座布団の後ろに何やら何人か座れるようになっている。そこで福笑さんは政子さんには若い頃よく飲ましてもらったと。そして三味線がとてもデリケートな楽器だ。一方猫、犬、象牙、べっ甲といろんな動物の血と汗と涙でできてる楽器でもあると。で「いろいろと替え歌を歌う。中に恩田支配人も登場。
そこから和女さん、律子さん、正子さんを呼び込んで、「海の声」を歌うと。今年の彦八、ヒロポンズハイで歌った曲だ。チューニングに時間かかるからその間に客席にクイズを出して正解すれば手拭いがもらえる。ただし不正解なら〇〇〇。というお遊びを福笑さんが始めた。結果三人正解、一人不正解だった。こういうのなかなか面白い。
で、準備ができて 「海の声」 が始まった。ここで笑いが起きた。素晴らしい落語会でここだけが残念。ここは笑うところじゃない。福笑さん決してギャグでやってるんじゃない。これが分からないかな。まあ、落語聴くの初めてに近い人だと無理なのかな。そんな残念な気持ちでいると、あやめさんも登場して歌に参加。これも彦八の時と同じだ。さらに、波の音の効果音をしてた遊方さんも登場。ここが笑うところだ。

てことでとても楽しくて、面白くて、温かい、素敵な落語会は全部終わった。こんな会をぜひまたやってほしいとかなりの人がきっと思ったはずだ。演者のみなさんありがとうございました。