2016.11.3 【たま笑子二人会@繁昌亭】

 【たま笑子二人会】

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さすがに朝っぽい風景

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オーストラリアから帰ってきた笑子さんを迎えてたまさんが企画した二人会は朝席で開催。これだけ通ってる繁昌亭でも実は朝席は三回目だ。10時前に繁昌亭となると朝が忙しいなと思いながらバタバタと。
開演10分前に着くと1階はほぼ満席というすごい入り。朝席て話聞いてると、結構すいてるてことやったけど、やっぱりこれもたまさんの力なのかな。
しかし、なんかまだ落語聴く頭になってないんだな。考えたらほんの12時間ちょっと前までここで落語聴いてたんやから。とか考える暇もなく10時ちょうどに開演した。

智丸 / 時うどん
笑子 / Life is Comedy
たま / 秘密警察
笑子 / スタンダップ落語
たま / 紙屑屋         三味線 / 入谷和女

開口一番なんてないと思ってたら、きっちり智丸さん登場、特にたまさんの会によく呼ばれてる印象が強い。
で、ネタは 「時うどん」なんだけど、この人やっぱり面白いな。コロコロしてて違う生き物みたいだ。少し身体斜めにしてセリフを繰り出す姿も丸くて、しゃべればしゃべるほど丸くなっていくように感じる。
うどんの食べ方ももっちゃりしてていい。そして何より若さを感じさせない声がいい。まるでベテランの掛ける爆笑時うどんみたいだ。この間も同じようなこと言ってたけど。僕の中では、今日の「時うどん」 が智丸さんの今までのベストだ。

笑子さんはメルボルン在住、イギリスで鶴笑さんに弟子入りしてシンガポールにいたり、腹話術とかを含めたスタンダップコメディの人だ。派手なマイ見台で寿司マスターの人形を登場させ腹話術。指名した最前列の人が固辞するのを無理やり舞台にあげる。さすが客いじりの大家だ。有無を言わさず上げて、また、受けるようにうまくいじる。

そしてたまさん、笑子さんのことを一通り紹介してから 「今日は客層がよく分からないので、何をするか迷う」 と言ってから 「秘密警察」 たまさんも師匠の福笑さんも、警察ものというか事件ものというか、何かとんでもないことが起きて、そこからハチャメチャになるのが好きだな.。このネタ少し前のネタおろし「生首殺人事件」がベースになっているのかな。秘密警察所属になった主人公が、南森町に実在するスーパーに出没したり、九官鳥がアドリブ連発したり、冷蔵庫に人が隠れていたり、予想できない展開で爆笑だった。数か月ですごく完成度が髙くなってる。

続いて笑子さん二席目は、スタンダップでまた腹話術なんだけど、客席から舞台に上がるカップルを探す。誰もなかなか手を上げない中、ようやく一組手を挙げて舞台へ。ここで笑子さんなにやら怪しげなツールを持ち出し、二人の素人の口にはめる。そしてその口をあやつって腹話術だ。このお二人はとてもノリがよくて、手まね振りまねがいろいろと達者だ。しかしよくこういう人を呼びあげたな。誰ができるか大体わかるのかな。
しかし、このツールはすごい。自作なのか売ってるのか。どちらにしても、海外の腹話術の方が断然自由だ。

最後はたまさん、「僕も笑子さんも、二人の師匠を一層グダグダにしたようなもの。師匠がしないことをするのが笑福亭の流儀だ」、と。笑福亭はすごく個性的な一門で、それぞれの可笑しさ楽しさがあるんだけど、中でも決して笑福亭の本流とみられていない一門の方が僕はずっと面白いと思っている。
「紙屑屋」は、たまさん染雀さんかららしい。結構華麗に舞ってると思うけど、僕がこの噺で好きなところは、稽古屋から聴こえる三味線が、居候の男をあおってるように聴かせるところ。「やらなしゃあないな」 てのを三味線の音で客席にも納得させると言うか。難しいけどね。今日の和女さんはその辺り十分だった。
でもたまさん、余裕があるように見えたけど、逆にハードな部分を抑え目にしてるようにも見えた。

たまさんと笑子さんという、言わば稀代のエンターテイナーの二人会だから楽しいのは当然だけど、落語の可能性を更に広げるような高座だった。それと客いじり、いじり上手な人は、いじられ上手な人をきっちりと見つけるんだてのもなるほどだった。