2016.7.11 【第55回・梅田にぎわい亭@大阪市立総合生涯学習センター】

【第55回・梅田にぎわい亭】

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今年から、千林→梅田に移って4回目。駅前第2ビルの5Fという好ロケーションに15時19時の二回公演。こういうのを客目線の会って言うんだろう。色合いがかなり違ってそれぞれが達者な雀三郎一門、いわば枝雀一門みたいなものだ。今日もいいネタがならんで、期待が高まる中開演した。

雀太 / 天狗刺し
雀五郎 / 植木屋娘
雀喜 / 饅頭こわい
雀三郎 / 百年目

最初は雀太さんから、プログラムのあいさつ、面白いけど間違ってる箇所があるな、と思っていたら、それに気がついたの開場2分前だったと。そこから話芸を生業にするものとして、日々ことばの研究をしてる。関西弁には小さい「つ」や「ゆ」の入った言葉が多いと。この話も興味深かった。
で、そこから何の脈絡もなく 「天狗刺し」。この噺もややファンタジー的なところにある噺だけど、少し前に雀太さんで聴いた「粗忽長屋」と同じで、無理からな噺を聴き手にその気にさせるのがうまい。

続いて雀五郎さん、プログラムあいさつの件でさらっと笑わせてネタに入る。こういうのも達者になった。
ネタは 「植木屋娘」。雀五郎さんでは初めてだけど、最近の他の噺同様とてもリズムがいい。トントンと運ぶ。
時間当たりの単語の多い落語だ。他にもこういう落語する人いるけど、あまり間をとらずに続けていく。これもそういう間だと思うけどし、こういう落語の場合、どこで息継ぎするかで不自然にみえたるする。でも雀五郎さん全然そんなことない。一気に下げまで、通常の形。

次は雀喜さん、二日連続だ。ネタは 「饅頭こわい」 これも雀喜さんでは初めてだけど、最近やたらと遭遇する。大体よほど好きでないネタは別にして、前座噺でないネタを立て続けに聴くと、段々細かいことが気になりだす傾向があるけど、今日は気持ちよく聴けた。昨日の余韻がまだ残っている。嫌いなもの言う時のオーバーな所作がいい。そして雀喜さんは、群像劇というか大勢集まってわちゃわちゃする噺向いてると思う。
下げは通常の形。

そして最後は雀三郎さん、若い頃は師匠連、先輩たちについていって自分の落語するだけでよかったけど、自分が座頭になり若い人を連れていくと、そらもう山ほど心配なことはある。そんな、立場変われば、という話から 「百年目」。またまた雀三郎さんでは初めて。今まで聴いた「百年目」でいいと思う人何人かいるけど、どれも正統派というか、きっちりした大旦那と少し空回り気味の番頭が花見で遭遇して、最後の大旦那が番頭を諭す場面につなげる形だった。
雀三郎さんも、もちろん噺の流れは同じなんだけど、大旦那は少しだけ砕けていて、番頭はほんのちょっと愛嬌を感じさせる。このさじ加減で二人のキャラが微妙に変化して、噺全体の印象が気持ち明るくカジュアルになる。
雀三郎さんならではだと思う。なかなか聴けないいい「百年目」を聴くことができた。

今日も、いい一門会だった。しかし、重ね重ね「雀のおやど」に行けないことが残念だ。だからこの会は皆勤を目指す。どんな経緯でここですることになったのか分からないけど、他の落語会もぜひ実施していただきたい会場だ。