2016.7.10 【第376回・岡町落語ランド@豊中市立伝統芸能館】

 【第376回・岡町落語ランド】 

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今日は佐ん吉さんのプロデュース、そして本人がトリで「たちきれ」をかける。約50人ぐらいの入りだけど、若い女性が目立つ。当然佐ん吉ファンだろう。この広くてきれいな高座でどんな「たちきれ」を聴かせてくれるのかとても楽しみだった。そしてもう一つは雀喜さんの新作は一体どんな噺なのか。結構意表突かれること多いのでこちらも注目だった。

あおば / 秘伝書
米平 / 胴切り
仲入り
雀喜 / 老老稽古
佐ん吉 / たちきり

あおばさん、最近少し余裕みたいなのも感じる。まくらは師匠の話、西成の話、きちんと落ちもあって面白い。
そこからネタは「秘伝書」。まあ、噺自体に笑いのパワーがかなりあるし、わかばさんにもあってると思うし勢いがあって楽しい。でも、客席に少し話しかけすぎのような気もする。

次は米平さん、久しぶりだと思って調べたらなんと三年以上聴いてなかった。
噺は 「胴切り」。少し前に珍しく花丸さんで聴いたけど、僕はほぼ吉坊でしか聴いていない噺。もちろん米平さんでは初めて。まあ、ファンタジーといえばそうなんだけど、途中で同じ系統の「犬の目」の解説とかも折り込みながらとてもスムースに進んだ。この噺はさらっと聴き終わった後に、そんなあほな! でいいんだと思う。

仲入り後は雀喜さん、修業時代の話、師匠から怒られまくった話、いまだに怒られる話から 「老老稽古」という新作に。80才の弟子がおそらく90代設定の師匠に落語の稽古をつけてもらう噺。名前は楽三郎と楽喜となっている。稽古の途中で直ぐに休憩が入る。再開すると違う噺になっているとか爆笑が続く。この人の新作は聴き手の笑いのつぼをふわっとなぜるようなのが多くて、それが妙に気持ちよく笑える。
この噺もここからまだまだ噺は展開して、最後はさらっと下げる。この噺好きだな。

最後は佐ん吉さん、宝塚に引越ししたそうで、そこが山手で駅からかなり遠いけど環境はとてもいいと。何か引越しハイな状態だったけど、そこから特に脈絡なく 「たちきれ」へ。
冒頭の若旦那と定吉の会話が少し明るく感じたけど、僕がこの噺の前半のハイライトだと思っている、番頭が若旦那を諫める場面は、番頭のキセルを使いながらの視線の送り方がかなりよかった。佐ん吉さんのクールな表情が映える。
後半の回想シーンでの小糸の弱々しさも印象的、そして朋輩衆ががやがやとやってくる場面ではきっちり笑いもとれてた。そして若旦那の独白から下げへ。
かなり良かったと思うけど、それぞれの場面の緊張と緩和が更にあと一歩あればなと。

今日もいい流れの会だった。特に 「たちきり」の前の雀喜さんの噺がトリを更に盛り上げた。
ただ残念だったのは、仕方ないんだけど 「たちきり」 下げ前の若旦那独白の場面で、隣の女性が長く大きく咳き込んだこと。ケータイと違って仕方ないんだけどね。あの場面で何かが起きるのも 「たちきり」 ならではなのか。