2016.6.20 【新世界南天の会@動楽亭】

【新世界南天の会】

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動楽亭夜席では昼席の座椅子をはずして前方は座布団が多い

今日は「算段の平兵衛」 のネタおろしとあって、混雑必至の読みで開演の70分前に到着。
しかし既に15人ほど並んでいた。このネタ、米朝さんが再構築したんだけどそんなに掛からない。最近では宗助さんで聴いてかなりよかった。とはいっても何がよかったのかとなると、少し心もとない。基本いい噺でないし、笑うところもほとんどない。だからこの噺の魅力は、やっぱりストーリーになる。落語としてどうかとは少しずれるかもしれない。まあ、ピカレスクというか悪役ばなしで、個人的にはこういうのが好きなのです。
南天さんがどんな悪役ぶりをみせてくれるのか。客席は最後列までよく入っていた。80-90人ぐらいだろう。

愛染 / 狸の鯉
南天 / 青菜
遊方 / 親子酒 (現代版)
南天 / 算段の平兵衛

愛染さん、声が高く感じる。

南天さん、一席目は舛添さんのまくらから。家族で旅館泊まった言い訳を「家族会議してました」と言えばよかったのに。これを立ち切れの親族会議をパロって爆笑。
そこから「青菜」。上方夏噺の代表ネタで。これを聴かないと夏が来ないという落語ファンは多い。
当然演者も多いのだけど、南天さんの「青菜」は中でも指折り。今年の初青菜だそうだけど、冒頭植木屋の場面で手拭い忘れたことに気づく。直後に着物の裾をはらう場面で必要なんだ。
で、ほぼ毎年聴いてると思うけど、そのたびにいろいろと入れ込みが増えて爆笑ネタにパワーアップしてくる。今日も客席は終始笑いっぱなし。鯉のあらいで「風呂入ってこい」が好きだな。そしてお咲さんの押し入れ入り。カツサンドてなんや!
とにかく爆発的に受けて気持ちよさげにおりる。

次はゲストの遊方さん。いつも思うけど、こういう自分の出番前にむちゃくちゃ受けた時の噺家さんの気持ちってどうなんだろう。自信があれば「負けへんで」だろう。そんな時は客席にも伝わる。
遊方さんは新作派で古典はたまにしかやらないけれども、その古典がこれがまた面白い。
まくらでは、大阪の終電間際の代表的な酔っ払いの生息地・京橋と自分の住んでる天王寺の酔態を描写。
南天さんとともに全く飲まない遊方さん、飲めない噺家としての苦労もあるようだけど、
上方落語で酔っ払いが登場するときのテーマともいうべき唄がある。「ちゃちゃーんちゃんちゃーん」てやつだ。
これは一体誰が始めたのかと。それは全落語ファンの疑問でもある。
で、「親子酒」。現代版に置き換えたので以前一度聴いてる。新作で初めて聴くネタは聴き手もどこまで面白いのかと手探りになる。だけどこれが新作派の古典になればかなりの確率で面白さは保証されるので安心して身を委ねることができる。遊方さんのは息子の方と屋台のラーメン屋とのやりとりがたっぷりで大爆笑。
最中詰め合わせ、て、そんなんあるかいな。

てことで大爆笑が二席続いた。いよいよ「算段の平兵衛」なんだけど、余韻が残っていて何か客席の空気が落ち着いていない。仲入り入れるかと思っていたけど。
「算段の平兵衛」、個人的には好きな噺だけど、平兵衛をどう描くかが難しい。ピカレスクな部分を強調しすぎると落語として成立しにくくなるし、ギャグを入れ込むとこの噺の特徴が薄れてしまう。
南天さんは少しピカレスクさを薄目にしてるように感じたけれど、これからまだまだ変わっていくんだろう。
下げは、聞いたときえっと思ったけど、後で振りかえるといいかなと。
ぜひ、これまでにない新しい「算段の平兵衛」をつくっていただきたい。

南天の会、来月はいつものように太融寺での開催。そして8月は動楽亭でなく豊中・岡町での開催が発表されている。南天さん特に高座ではそのことに触れなかったけれど、今日いつもより早く6時過ぎに開場した後、階段下にはこんな告知が出ていたらしい。

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南天さんの気配りだ。どこでやっても面白い落語会にせなあかん、という南天さん。来月も再来月も期待しよう。