2016.6.18 【桂千朝の落語を聴く会@淡路・ギャラリーNOVA自由空間】

【桂千朝の落語を聴く会】

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今日は、数か月前に突然発表された千朝さんの会だった。どういういきさつか分からず、淡路での落語会ていうのも初めて。でもそういうのはどうでもいいわけで、千朝さんの落語を二席聴けて \1300 ならもちろん即決で予約した。 その後、実は千朝さんが淡路出身だというのが聴こえてきて、なるほどそういう繋がりかと納得して当日を迎えた。
そういえば最近以前と比べれば初めての落語会場に行くことが減っている気がする。自然と避けてるのならあまりよくないなと思いながら、今日もえらく暑い中、会場見つけるのに多少手間取った。

出丸 / 牛ほめ
千朝 / 住吉駕籠
仲入り
千朝 / 鹿政談

いきなり出丸さんだ。出丸さん下新庄在住で、この会場まで15分歩いてきたらしい。
「今日、僕が出番を頂いたのは単に近いからです」
約1年半ぶりだけど、相変わらずまくらのしゃべりが軽妙で楽しい。ガシっと客席をつかまえてネタに入った。
「牛ほめ」だ。開口一番だからこの選択なのか。でも何かベテラン前座噺の余裕が感じられ、よく受けていた。
これまで正直ネタに入ってもまくらが続いている感じが強かったんだけど、今日は全く感じなかった。
僕の聴き方とか先入観が違っていたのかもしれない。近いうちにまた聴きたい。

続いて千朝さん、実は10年ほど前までこの場所で落語会をやっていたらしい。で、今回久々に話をいただいて実現したと。そんなに広いスペースじゃないけど50人ぐらいか。きゅうきゅう感がなんともいい。
そこから、いつものプラッシーの話、今日の客席はほぼプラッシー世代だな。
次に乗り物の話、駕籠の話、よい駕籠とたちの悪い駕籠。
で、ネタは「住吉駕籠」フルバージョン。意外にも千朝さんでは初めて。だけどもう手練れと言うか爆発的に面白いけど、とんでもなく余裕という千朝さんらしい高座だった。
ただ一か所、おそでのことを「知ってるやろ」と三度目言った時の返し。「今度は知ってます」やったけど、僕はただの「知ってます」の方がインパクトが強くて好きだな。

仲入り後は「鹿政談」。正直あまり好きな噺じゃないのだけど、以前千朝さんで聴いた時そんな印象をひっくり返された。この噺誰がやってもまくらまで同じなんだけど、千朝さんがすると、江戸、京、大坂、奈良と並ぶ名所の言い立ても何かすごく軽快でリズムよく聴こえてくる。そこからの本編の噺も別にいい噺でも面白い噺でもない。でも千朝さんだと噺が熱っぽくなって、真に迫ってくる。また、今日はいつもの太融寺と違って高座が近い。
塚原のとんでもなく憎たらしい表現がいい。そして、奉行が塚原を攻める逃げ場のないように攻める。ここが逆に胸がすくように降りてくる。大岡越前か遠山の金さんか。絶好調だ。見事としか言いようがない。
演者によってこうも変わるかという見本だな。

ということで、もちろん千朝さんが二席とも絶品だったのが一番だけど、多分近所の千朝世代の人が大半でも、何のアウェー感もなかっ。そして、席亭の方の対応も気持ちよく、ちょっと開放的なつくりのため好天に恵まれた初夏の空気も爽やかで、狭いけれどもとてもいい会だった。次回の予定は決まってないけど近いうちにやりたいとのこと。ぜひこの場所で定着するように願っている。もちろんまた行く。