2016.6.16 【いきなり九雀の日@岡町・伝統芸能館】

 【いきなり九雀の日】

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岡町で不定期開催の九雀さんの会、でも不定期といっても最近はほぼ2か月に3回ぐらいのペースで行われている。そして、この会の面白いのはゲストの色物陣だ。今日はなんていうのかコント赤信号の小宮さんが落語をする。約100分と長い時間ではないけど、いつも楽しい構成になっている。

九ノ一 / 平林
九雀 / 雨乞い源兵衛
小宮孝泰 / そば清
仲入り
九雀 / 南京屋政談

九ノ一さん、発端、煮売屋に次ぐ三回目は「平林」。プログラム見てかなり以前に聴いた九雀さんの「平林」がすごく面白かったこと思い出した。読み方を聞きに行くのに全部同じ人のところに行き 「それやったら〇〇〇かな」と繰り返す。つまりおちょくられてる。そしてその本人が用のある本町の平林さんという落ちだ。
相変わらず声が大きい。でも元気があっていい。声の大きさに隠れがちだけど、口跡もはっきりしている。それにかまない。ずっと堂々と落語してる。この会に来ている限りは九ノ一さんの成長を見守れるということだ。

続いて九雀さん「雨乞い源兵衛」は小佐田さん作、久しぶりだけどやっぱりいいな。枝雀さんを彷彿させる。
今日はいきなり九ノ一さんで九雀さんの噺を思い出し、九雀さんで枝雀さんを思い出す。師弟の縁はどこまでも続いていく。九雀さんのきれいな口跡に田舎言葉もくっきりと浮かび上がる。何もしていない源兵衛が偶然の出来事に翻弄される。そして最後は逃げ出す羽目に。枝雀一門でもっと掛けてほしい噺だ。同趣向の古典「日和ちがい」もあわせて。

そして、小宮さん。実はこの人の落語聴くの二度目だ。4年前に八聖亭で九雀さんとの二人会があった。高校大学で落研とのこと。こういう漫才師とかいろんな話芸の人が落語をすると、当然だけどまずまくらで客席をすぐにつかんでしまう。今日は文化使節みたいな形でイギリス行った時のおかしな日本語訳で爆笑。で、子供たちへの落語のワークショップみたいなので、音を出してそばを食べるシーンが大受けしたと。そこから「そば清」。
きっちりまくらからつながった。もちろん上方の「蛇含草」なんだけど、餅を食べる分夏の暑苦しさは「蛇含草」がよく出てるけど、気味悪さシュールさでは「そば清」だな。どちらにしても小宮さん、そんな噺をうまく演じていた。

最後は九雀さん、「南京屋政談」は半年前の九雀さんのネタおろしで初めて聴いた。上方ではそれぐらい掛からない。江戸では「唐茄子屋政談」になる。でもいい噺なんだな。茶屋遊びが過ぎて勘当された若旦那がぼてふりでかぼちゃを売りにいかされる。そして失敗して、同情されてかぼちゃが売れて、売り上げを気の毒な母子にやってしまって……というきちんとした長いストーリーのある噺で、最後は起きた事件の裁きも入って、めでたしめでたしとなる。「御神酒徳利」とか「八五郎出世」とかと同じようなバカバカしさの少ないいい落語だ。長い割に笑いどころがないからみなさんあまりやらないのかな。でも九雀さんがこれからどんどん掛けてくれると思うことにしよう。
今日の九雀さん二席ともきっちりといい落語をみせてくれた。

この会は結構突然スケジュールが出ることもあって行けないこともあるのだけど、落語だけの会じゃないのが楽しいし、最近はそれに九ノ一さんの成長ぶりもみれるようになっている。地元の会でもあるし、これからも極力参加していきたい。それと、最近九雀さんは口演中客席の照明をかなり暗くしている。僕は噺に集中できるのでこの方が好きだ。