2016.6.11 【第3回太陽と月落語会〜大丸屋騒動を聞く会〜@日本橋・太陽と月】

【第3回太陽と月落語会〜大丸屋騒動を聞く会〜】

昨日の夜、何気なくtwitter をみてると、明日この会に行くというつぶやきが。で、新治さんのサイトにいくとまだ残席僅少となっていたので、あわてて予約メールを入れた。少し前にこの会があるのは気がついていたんだけど、当然完売だと思って確かめもしなかった。で、今朝予約OKのメールをもらった。
「大丸屋騒動」は実は音でしか聴いたことがない。それで下げ前の人を斬りまくる場面は一体どんな表現になってるのかずっと気になっていた。

そして、今日日本橋に着いて、いつもは東に向いて文楽劇場を目指すんだけど、今日は南へ歩いた。そうすると黒門i市場だ。まだ時間早かったのでぐるっと一周したけど聞きしに勝る状況ていうのか、最早日本ではないみたいだ。呼び込みのにいちゃんが普通の外国語でやってるし。黒門は大阪の胃袋て言われてたけど、もう日本人が行かないのでは。京都の錦なんかどんな感じなのかな。

と言いながら鳥貴族の看板のビルの2Fという目印を目指した。

イメージ 1

あった。でも正直なんか胡散臭いビルだ。で、階段がちょっと不気味やったので、エレベーターで2Fへ。

イメージ 2

誰も並んでない。一番乗り、でも怪しさが一層際立つ。中ではお囃子の音合わせ中だ。そして30分前に開場した。中は一応バーというか何というか、とにかく飲み屋だ。

イメージ 3

イメージ 4

新幸 / 東の旅~煮売屋
新治 / 宿屋仇
眞 / 松竹梅
新治 / 大丸屋騒動

新幸さん、二回目。この「太陽と月」という店は新幸さんがオーナーらしい。7~8年やっていると。そういうポジションで弟子入りする人少ないけど、新治一門らしいといえばらしい。でも米朝全集とか落語関係の本もいろいろあって、落語ファンが普通に飲みに来ても楽しそうな店だ。
噺は「煮売屋」。バーのマスター以外は何をやってた人なんだろうか。初めて聴いた時も思ったけどしゃべりが手馴れている。聴いてて心地よくも感じる。年は若くはないけどこの先楽しみな人だ。

新治さんあがって「窮屈な思いさせてますけど、何とかここを寄席にしようと思って二人でやってます」
狭いのは仕方ないとして、それ意外は落語会場として特に問題ないと思う。狭さでいってももっと狭い会場もある。ここは一種独特の雰囲気と合わせて、ひょっとしたら癖になる会場かもしれない。
で、一席目は「宿屋仇」。新治さんで聴くの二回目だけどいいな。この噺ほとんど達者な人しかしないけれど、いつも一番受けるのは「いはち~ぃ」のところ。皆さん同じようにされるけど、誰があの言い方始めたのだろうか。
で、いつも言ってるけど登場人物も場面転換も多くて、わちゃわちゃしたり静かになったり、下座との呼吸合わせやら、いろいろ難しそうなネタなんだけど、ただtだ楽しい噺にしか聴こえないのがすごい。

続いて、眞さん。いつもの女か男かまくらから婚活パーティーに行った話、飲むと落語家口調が出て噺家だとばれて結局男子料金をとられたと。
そこからネタは「松竹梅」。これは珍しい。江戸ネタでこっちでは松五さんでしか聴いたことがないけど、特にえどえどした噺でもないし、落語らしいボケ噺でめでたい噺でもあるし、もっとみなさんすればいいのにと思っていた。
眞さんのは、婚礼の出し物という華やいだ雰囲気が良く出ていたと思う。浄瑠璃も結構稽古されてるのかなかなかよかった。

最後はいよいよ「大丸屋騒動」、まくらで刀の話。刀には正剣と邪剣があって、正剣は身を守る刀で邪剣は人を切る刀と。で、邪剣の代表的なのが村正、妖刀村正と言われる。この刀の噺だ。
舞台は京、例によって祇園お茶屋に入りびたる伏見の酒問屋の次男坊の若旦那。惚れたおときと祝言をあげさそうと物わかりのいいご長男。店をひかせて、鴨川東側に住ませる。次男坊は番頭と一緒に西側に住む。そして3か月間会ってはならないとされる。この鴨川挟んで両岸に住む二人てのがなんとも京都的でビジュアルでもいいポジションだ。ところがこの次男坊は3カ月待てない。これがよく分からない。3カ月まてば夫婦になれるのに、本当にアホボンだ。てことで三条大橋経由して東側に出かけていく。でも女衆が入れない、会わせない。ボンは強引に入り込んで、酒だ、飯だ、水だといっても何も出さない。怒ったアホボン、その時たまたま家に伝わる村正を持っていてそれで脅す。脅すだけのつもりが、そこは村正、おときを斬ってしまう。そうなると女衆もそして駆けつけた番頭までも。
三人を斬ったボンというか村正は外に出ていき、もう血に飢えたように次々と道行く人に斬りかかる。もう新治さんの目がいってた。そしていつの間にか片袖が脱げている羽織、残った右手からもすとんと羽織が落ちる。
そこからはもう一段と狂気が。
いやすごかった。客席は固唾をのんで見守る。そして、最後は兄が地口で下げて現実に戻す。
聴いてる方もゾクゾクしてきた。聴き終わってすぐにもう一度聴きたくなった。

てことで、本当に急遽行くことができてよかった。ここまで客席をわしづかみにできる噺家さんてそんなにいない。新治さん、本当に得難い芸人さんだ。
そして、この「太陽と月」という店、落語会にあってるじゃないかと最後は思った。