2016.6.9 【文楽鑑賞教室・A班@文楽劇場】

文楽鑑賞教室・A班】

イメージ 1

イメージ 2

文楽鑑賞教室は大阪では毎年6月に、通常の本公演よりは短い約二週間にわたって文楽劇場で開催される。この公演の特徴は比較的人気のある演目が期間の前半・後半、1部・2部、それぞれ別の配役で口演されることだ。つまりA~Dまで4つのプログラムがあることになる。
また、この公演は大阪の中学生・高校生が団体で鑑賞するため平日はなかなかいい席のチケットがとりにくい。更に期間中二公演は夜限定となって「社会人のための文楽公演」として口演される。今年はそれに「外国人のための文楽公演」も加わるという。
つまり、初心者向けなんだ。文楽の普及のためにいろいろと考えて取り組んでる公演。でももちろんいい配役だし、人気演目だし、マニアな人達もくる。中には4つのプログラムすべて来る人も結構いる。
そんなこんなで、僕は今日は午前中からのA班だけの鑑賞だ。

二人三番叟

[解説] 文楽へようこそ

夏祭浪花鑑 釣舩三婦内の段 / 長町裏の段

三番叟、出だしから何か人形のリズムがよくない。4年前に文楽通いだして初めて三番叟観た時なんて楽しい演目なんだと思ったあの感じがない。僕は文楽には音曲的な面から入ってはまったので、三番叟はとても好きだ。
今日も三味線陣はすごくよかった。床下で聴いていたので大熱演だった。だけど人形二体とも動きが重い。
本当は三味線の奏でるリズムにのってステップを踏むような感覚だ。楽し気に動き回る上体に足が少し遅れてついていくようなそんなはじけた三番叟を僕は観たかったな。
途中で喜一朗さんが、しばらく舞台に目をやっていたのが印象に残った。

続いて「文楽へようこそ」というタイトルで解説の時間だ。
今日は三業からそれぞれ、靖大夫さん、寛太郎さん、玉翔さんだ。
まず緞帳前で靖さん、一人で床について説明。引き続いて寛太郎さんと床に並んで、寛太郎さんが三味線で喜怒哀楽を表す。いろいろ弾く。客席の子供たち今一つ納得していないようにみえた。寛太郎さんしかしクールだな。
次は舞台下手に移って玉翔さんが人形遣いの実際を説明。これは子供たち楽しそうだった。せっかくなんだから、よくイベント公演とかでやってるように、子供たちの中から三人上がってもらって、実際に遣えばよかったのに。それで少しぐらい時間伸びても一向にかまわないと思うけどね。それが残念。

そしていよいよ「夏祭浪花鑑」。今日は釣舩三婦内からだ。
6月7月の公演でいつも思うのだけど、みなさんの夏衣装が涼し気でいい。そういえば顔も涼し気だ。あまり暑苦しい技芸員の人いないな。今日は衣装は床のペアでそれぞれ違ってた。
床はみなさん抑えめだけどじわじわとくる。後ろで祭り囃子が小さく聴こえる。そして最後に義平次が自分をだしにして琴浦をだまして駕籠で連れ去ったことを知った団七が怒る。そして走る。団七、走る。ここがやっぱり勘十郎さん見事だった。団七の怒りがダイレクトに伝わって来た。

団七、走って長町裏。追いついた団七、舅の義平次に迫る。床は団七が咲甫さん、義平次が英さん。咲甫さんが熱くなる。段々エスカレートしてくる。でもそれを冷静に受け止める義平次、英さん。英さん派手じゃないけど今日は良かった。咲甫さんはもちろんいい。
そしてありもしない金で解決しようとする団七、怒る義平次。団七額を割られて脇差に手を。切れたと騒ぐ義平次、ええいままよと団七。床と舞台が一体化して熱狂だ。
この辺から、舞台の動きだけになって、もう心をわしづかみにされる。何かが乗り移ったような団七、脇差で刺して池に放り込む。文楽の遠慮のなさだ。しかし、義平次また起上る。最後はとどめ。ずっと鳴っていた祭り囃子が大きくなる。後ろを山車が通る。裸になり水をかぶる団七。山車が舞台上に現れ祭り囃子が一段と大きくなる中去っていく団七。チキチンチキチンチキチンドンドン、チキチンチキチンチキチンドンドン、チキチンチキチンチキチンドンドン……
勘十郎さんが全然目に入らない。人形しか見えないような舞台。それまで退屈そうなそぶりの子もいた子供たちもここは見入っていた。堪能した。

ということで、僕はもう一度13日の社会人公演に来る。D班の口演で団七は幸助さん。配役ががらっと変わるのはとても楽しみだ。特に大阪の人にはもっとたくさんの人に文楽を観てもらいたい。文楽鑑賞教室はそれにはうってつけだと思う。

それと僕のブログにこれからは文楽の口演についてもできるだけ書いていくようにしたい。