2016.5.31 【月刊笑福亭たま・5月号@繁昌亭】

【月刊笑福亭たま・5月号】

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開場直後ぐらいに繁昌亭に着くとチケット売り場の窓口に行列ができていた。多分今日発売の「梅団治三三二人会」 のチケットだろう。でも最近東京の噺家さんは喬太郎さんやこの三三さんを始め、関西にガンガン来る人も増えてきたのだけど、それなりに売れていて、関西飛び越して広島や福岡には行くのに頑なに関西に来ない人もまだまだいる。それがよく分からないんだけど、地方行くならその前に上方だろうと思う。落語なんだから。
てことで、たまさんも最近東京だけでなく他の地方でも自分の会をやっている。こんな動きは結局は自分のためだけじゃなく、関東関西を通じた落語会全体のかさ上げに通じるのだと思う。
こんなことする人しない人、いろいろいるけど間違いなくこの差は先で出てくると思う。
さて、月刊たま。今月は花丸さん始めゲスト陣も楽しみだ。そしてあのまくらは一体どんな話になるのか。

紫 / つる
染吉 / 禍は下
たま / 遊山船
たま / 植木屋娘
仲入り
花丸 / 猫の災難
たま / 新作ショート落語~スペースフレンドシップ

紫さん、「つる」は2回目だけど、かなりギャグが入れ込まれていていい感じだ。僕は上方の女流では紫さんが一押しなんだけど、聴いていてかなり気持ちがいい。それと前から言ってるけど、ちょっとずらしたような独特の間もいい。少しだけためるんだよね。言葉より所作と表情が気持ち先に出る。

続いて染吉さん、上方林家の血筋をきちんと感じさせる若手だと思っている。「禍は下」は好きな噺だ。定吉大活躍。基本丁稚が活躍する噺は楽しい。ところで定吉が池田の山奥出身なのは今日まで失念していた。
この噺それほどかからないけどもっと聴きたいな。あっ、江戸では「権助魚」ね。

そして、いよいよたまさんの壮大なまくらの最終回だ。結論から言うと2号店の話は何も決まってない。先日の報道はフライングみたいなものだと。でも今日名前が出てきた中で、そやろなという人も、意外な人も。でも会議で逃げて済むてのは協会がそのレベルの組織でしかないてことやね。そういう中でたまさん奮闘したと思うし、いろんな意味で今後に活きてくると思うけどね。これからは落語に専念してほしい。
てことで、「遊山船」。上方を代表する夏噺だ。こないだ「青菜」も聴いたし、いよいよ夏噺の季節だ。僕はしつこさ、くどさを超越するところまでするてのが好きなんだけど、その代表は「遊山船」の豆を振袖に入れるところと、「近日息子」の謝らない男の件だと思っている。
で、「遊山船」。僕がこの噺好きなのは、「風が吹いても流れんように」と「質に入れても流れんように」のしこみ・ばらしがピタッときまって、しかもそこになにわ橋での夕涼みの情景がくっきりと浮かび上がるからなんだけど、たまさんのはちょっと違って、やっぱりギャグ的処理が大きい。笑ってて、いつまでしてんねと笑いが少しおさまって、まだやってるのかと再び笑い出す。こんな流れだ。でも上のセリフのところで扇子つかうのいいな。この辺は全くパワー系でなくなる。

続いて「植木屋娘」。それにしても今日は好きなネタが並ぶ。今日はなぜ好きなのかの説明が多いけど、この噺は幸右衛門がおかしい。かなり普通の父親でないところが落語のキモだと思っている。たまさんがするとその幸右衛門が更にエキセントリックになって噺をひっかきまわす。たまさんの落語には新作古典問わずにこの噺ひっかきまわすキャラが重要な役割で登場すること多い。
当然これも楽しかったけど下げは今時になっていて、たまさん言ったように15分で終わった。

仲入り後は花丸さん、協会業務でお疲れのたまさんを丁寧にフォローする。だけど最後はそんなたまさんに宝塚を勧める。多分興味ないのではと思うけど、行ってはまったらまた落語に違うアウトプットがでるかもしれないな、とか考えていた。そこから「猫の災難」。たまたまだろうけど最近よく聴いている。調べたら花丸さんでは3年前のラクゴリラでのネタおろしから今日で4回目だ。
花丸さんは案外酔っ払いがらみの噺しないんで、逆にこれは新鮮に聴こえる。一人酒盛みたいな空気もあって、段々酔っぱらっていく様が見事だ。何度聴いても楽しい。

最後たまさん、珍しくすっと出てきた。新作ショート落語は「よせなべ(寄席なべ)」がいい。でも他は印象に残ってない。で、新作ネタおろしではないのかな。「スペースフレンドシップ」、何やら期待を抱かせる演題で、始まると喜六清八が木星に行くというとんでもない発想の噺。あ、でも「月宮殿」があったか。
ただ、これはまだまだこなれていきそうで、ぜひ創り込んでいただきたい噺だ。

ということで、ある意味最近の月刊の締めとも言うべき今日の会。7月から始まる第3期も楽しみだけど、たまさんには7月は落語会も少ないと思うので少し落ち着いて落語のこと考えてもらって、8月の高津でまた楽しませてほしいなと思う。