2016.6.1 【神戸らくごビレッジ~その85~@アートビレッジセンター】

【神戸らくごビレッジ~その85~】

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このアートビレッジセンターの最寄り駅は新開地になる。そして駅前では長年にわたって「新開地寄席」が開催されており、少し離れるけどこの「らくごビレッジ」とともに人気で客入りのいい落語会だ。そして、まだはっきりとはしないけど、ひょっとしたらこの新開地の地に神戸繁昌亭ができるかもしれない。そうなるとかなり状況がかわってきて、寄席演芸のメッカとして復活する可能性もある。
元々は神戸の中でも、浅草や新世界のように昔からの繁華なエリア。だけどもうずっと前から三宮~元町にそのポジションはは移ってしまっている。でも浅草や新世界が復活したんだから、新開地だってわからない。
そんな期待を込めて、今日も大阪から足を運んだ。

あおば / 鉄砲勇助
文之助 / 片棒
九雀 / 雨の将棋
仲入り
笑丸 / 紙屑屋
吉弥 / ねずみ

あおばさん、神戸出身だと。実家はどこどこ商店街で鶏肉店をやっていると。「ほぉー」と声が上がる。これで客席は暖まった。で、ネタは「鉄砲勇助」。滑舌よくなって随分聴きやすくなった。それと、なんとも言えない可笑しみも出てきた。キャリアなりになってきたということだろう。

文之助さん、平均寿命、健康寿命の話から「片棒」。超鉄板ネタだ。上方で片棒と言えばこの人だし、それほど多くない片棒するはほぼ文之助さんからのように思う。噺自体も面白いし、例えば僕がよく聴いてる人にはネタ数の多い人結構いるけど、そんな人も手を出さない。これは文之助さんのイメージが定着してしまっているからだろうか。で、噺は久々に聴いたのだけどやっぱり面白い。淀みなくトントンとリズミカルに下げまで。いい意味で人形がしゃべってるような人工的なものを感じる。落語の一つの完成形だと思う。

続いて九雀さん、箕面高校将棋部が最終学歴だと言って昨日の名人戦の話題から「雨の将棋」。「笠碁」を将棋好きの志ん生が置き換えた噺らしい。九雀さんは去年11月17日の将棋の日にあった「繁昌亭名人戦」という会でかけたそうだ。
これがよかった。将棋でけんかしたけどまた差したくてしたたない時に尋ねてきた相手が何度も通り過ぎて入ってこない。みている方のいらいらが募る場面。ここでの待ってる方の視線の移動と表情がもう痺れる。噺は笠碁とほぼ同じなんだけど、将棋好きの九雀さんがとても楽しそうなのがまたいい。
これからも普通の演目として掛けていってほしい。

仲入り後は笑丸さん、いつものつかみからレギュラー三人との関わりの話。
そこからネタは「紙屑屋」。都々逸とか川柳とか芸達者なのはわかるんだけど、この噺特有のリズムにのれてない。あえてそうしているのだろうけど、これだけお囃子さんが活躍しない紙屑屋も珍しいのでは。
やっぱりこの噺、粋にみえないと。

最後は吉弥さん、朝ドラの話から「ねずみ」。2週間前にも吉弥さんで聴いた。吉弥さんのは子供がいい。
僕はこういう前半で主人公たちが散々いじめられて後半逆転するみたいな、時代劇的とでも言うような噺があまり好きじゃない。一度聴いたらしばらく聴きたくない噺だ。でも吉弥さんはそういう嫌な噺を穏やかに包むみながら仕切っていく。このあたりがとてもうまい。正直最初は「またか」と思ったけど、最後は噺に取り込まれていた。

この会はレギュラーメンバーが強力なのでどうしてもゲスト枠がしんどくなることがある。この三人に対抗するには相当達者な人でないと務まらないかもしれない。だから他の会のようなゲスト枠という考えを外した方がいいのかな。ラクゴリラにゲストがいないのと同じで。
で、落語会終わった後、神戸繁昌亭の候補地をみに行った。そしてその付近を歩いていると、出来上がってからの景色が想像できるようなそんなエリアだな。新開地てのは。