2016.5.24 【あべのハルカス寄席@スペース9】


イメージ 1

初めてやって来た。ハルカスの中にある近鉄百貨店の更に中のスペース9というイベントスペースで、毎月第二第四火曜日の二日間13時から開催されている。最近大阪の落語会もいろんな意味で多様化していると思うのだけど、平日昼間にあえてするというこの会、1部2部各3席で、どちらかのみで\1000、通しで\1500とお得な価格設定だ。演者は約15~16人での持ち回り。若手から中堅までの構成になっている。
受付前に並んでいる時、由瓶さんが出てきて「2部まで残ってや」と盛んにお願いしていた。

1部
文鹿 / 甚兵衛の色事
福丸 / 天災
小二三 / 幸村の入城
2部
由瓶 / 青菜
華紋 / たいこ腹

1部の冒頭、いきなり今日の出演者の中で一番年季が上の文鹿さん登場。この会は出番順はフレキシブルに決めるようだ。上がった文鹿さん、「今日のお客さんの中で百貨店に来てたまたまふらっと入ったという方いらっしゃいますか。」 誰も手を上げないので、文鹿さん「落語よく聴いてる方が多そうですから、少しそういう向けの噺を」と始まった。「例えば根問ものは喜六というアホっぽいのが、甚兵衛はんという物知りなご隠居に教えを乞う形で進んでいくけど、物を尋ねる人が落ち着いていて、ご隠居が一見アホっぽい場合もあると思う。」てことで、二人のキャラを入れ替えて「色事根問」を始めた。これは面白い。マニアックな新作をつくる文鹿さんならではだ。甚兵衛が落ち着いて入ってきて、喜六が大はしゃぎで「まあこっちお入り」という。楽しかったけど、文鹿さんよく混乱しないな。

続いて福丸さん、今日の演者の中の先輩二人、文鹿さんと由瓶さんのキャラの違いで笑わせ「どちらについていこうか」と。しかし、由瓶さんはまくらでよくいじられるな。先輩からも後輩からも。
で、噺は「元犬」。福丸さんは昔初めて聴いた時からうまいなと思っていたけど、何ていうかきちんといすぎている気がしていた。でも今日は適度に粗っぽかったりでいい感じだ。これも先輩が前に出た効果だろうか。
そんな意味では結構実験的な落語会なのかもしれない。

1部の最後は、今年11月に旭堂小南陵の襲名が決まった講談の小二三さん。今月繁昌亭昼席で初めて聴いてなかなか凛々しくていい印象だった。文化庁芸術祭の新人賞受賞もあり、いま上方講談界で注目の人だ。
そして、ネタはこれも今注目の「幸村の入城」。先日同様、勢いと切れ味がいい。そして講談の人はやはり目がいい。落語と比べると表情で語る部分が結構多い。これは演じる人物への入り込み方の違いだろう。これからも聴いていきたい人だ。

休憩で一旦全員退席してから再入場。1部より増えていると思うのだけど、やはり冒頭に上がった由瓶さんがさかんに帰った人結構いると。そこから今日は、文鹿さんが繁昌亭昼席に行ってしまって、自分がもう一番上になってるので打ち上げはなしだと。
そんな話で受けてから「青菜」。今年初めてだ。僕らは当然落語でも季節を感じるんだけど、この噺聴くと「もう夏だ」となる。この噺は前半の爽やかさと後半長屋の暑苦しさの対比と、お咲さんのなんやかや遊て亭主の言うアホげなことに付き合ってやるかわいさがポイントだと思っているのだけど、由瓶さんのは正直前半の爽やかさがちょっと不足かなと。

次は華紋さん、最近開口一番で頻繁に遭遇している。今日は打ち上げがあるつもりでいると。それでまた由瓶さんをいらう。絶対打ち上げしてると思うのだけど。
で、ネタは「たいこ腹」。華紋さんでは初めてだ。華紋さんの落語の特長はやはり安定感だと思う。どんなネタしてもぶれないし、力みがないし、さらっと自然体に感じさせて受ける。
あまり若手ぽくない技なのかもしれないし、でも爽やかさもある。なかなか聴き手を引き付ける人だな。

そして最後は紫さん、とりあえず由瓶さんを少しいらってから歌舞伎役者の話を。あああの噺だなと思っていたら「中村仲蔵」。聴くの二度目だ。最初紫さんがこの噺するって知って正直驚いたんだけど、仲蔵の女房お岸にあこがれてしたくなったと。当然一門の新治さんからのネタになる。お岸の言う決めゼリフ「役者の意地は舞台で通せ」。これがやっぱりいい。新治さんは仲蔵の考えた定九郎の拵えを意識した衣装で出る。そこで、女性である紫さんが同じことしても逆効果のようにも思え、お岸が少し前にでるようなつくりになっているのか。全体的にいいと思うし、新治さんとは違った魅力もあるのだけど、少し噛みすぎかなと。長fれるようなセリフ回しには噛みは大敵だ。

てことで初めてのハルカス寄席楽しかった。平日昼間ということ考えれば、30-40人なら十分だろう。レギュラーメンバーが15-16人いるのも強みだ。まだまだいろんな工夫ができる会と思えるし、また来ることになるだろう。