2016.5.8 【上方新鋭落語会@西宮芸文・中ホール】

【上方新鋭落語会】

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去年もあって行けなかった米朝一門若手(~中堅)の会、この中ホールでの落語会としては2000円と格安だ。
それもあるのか、800人のキャパがほぼ満員。演者の人にはすごくいい機会だろう。
でもみなさん、それなりの場数踏んでる方ばかりだからか、まったく緊張というものは感じなかった。
客席にはいつもの落語ファンの人たちもいるものの、圧倒的に地元近辺の落語はサラに近い人が多い感じ。
僕の隣の60代夫婦の人も出てくる名前から落語好きだけど、普段ライブには行ってない。きょうの演者もほぼ知らないみたい。そんな中で客席がどんな反応して、どんな落語会になるのか。
そんな興味も少しあった。

そうば / 普請ほめ
佐ん吉 / 稽古屋
米紫 / 秘伝書
仲入り
雀喜 / 終活のすすめ
大喜利 / (司会) 米紫、そうば・佐ん吉・雀喜・南天 (左から並び順)
      なぞかけ・やりくり川柳・数え唄

そうばさん、大阪のおばちゃんのまくら、これは前にも聴いたなと思っていると、下げの部分が追加されてて、どっと受けて直ぐにネタに入れるいいまくらになっていた。
そこから「普請ほめ」。リズムよくとんとんと進む。最近聴く機会が減っているけれど、言葉ひとつひとつの切れ味がいい。

次は佐ん吉さん、昨日心斎橋劇場で独演会で夜は吉の丞さん宅に泊まったという写真が吉の丞さんのツイッターで公開されていた。そのためか7列目から見ていても明らかに目がはれぼったいのが分かる。
大丈夫なのか。ネタは「稽古屋」、得意ネタでいつも楽しいんだけど、今日はなんかまだ酔っぱらっているような感じも少しあって、それがネタの空気に合ってるというかプカプカと宙に浮いてるように聴こえてきた。
なかなか適切なネタの選択だった。

続いて米紫さん、テキ屋のまくら結構長くてひょっとして「ガマの油」か、と期待したけど「秘伝書」。僕はこのブログでは他の人の同じネタや、他の落語会と比べてどうこうは基本書かないことにしてる。一期一会のライブで他のライブは関係ないと思っているから。でも2日連続で同じネタ聴くと比べるなという方が無理な話で。しかも昨日聴いた南天さんが次の出番。米紫さんのは基本的な「秘伝書」。好みの問題かと思うけど、僕は南天さんの方が好きだな。

中トリはその南天さん、小噺を次々かける。僕らはほとんど知ってる噺だけどこれが客席にはよく受ける。暖まっていくのがよく分かる。特に受けたのが例のピカソと鏡の噺。これは鉄板的に受ける。
さあ、何を聴かせてくれるのかと思っていたら、「阿弥陀池」これは意外だった。中トリで、最後大喜利なので実質トリみたいなものだから、もう少し大きいネタかと。
で、この噺、象や鯛の西宮のところでどれだけだれずに引っ張れるかが演者の力量だな。もちろん南天さんだから引っ張りまくって大爆笑。

中入り後は雀喜さん、「終活のすすめ」は葬儀会社からの依頼で落語会した時に創った噺らしい。エンディングノートを書いて残すという内容で、とても雀喜さんらしい仕上がりの新作だ。この人の新作は決して大爆笑が続くようなのではないけど、じわじわ来るというかニンにあった可笑しみが会場に段々行きわたるように感じる。あったかくていいと思う。でもこの噺いろんなところで使えそうだな。米朝一門では貴重な新作古典の二刀流だ。

最後は大喜利、上に書いたような並びで、右端の南天さんがボケ役になる。衣装と言い「笑点」的なつくりの大喜利だ。内容は定番を三つ。楽しかったけれど、これも昨日の高津の大喜利とは全然違う。高津のスピード感がとんでもないんだと気づく。

ということで、やはりというか、ガチな客の少ない客席で無難なネタが並んだ。こういうホール落語ではマニアックな噺を期待する方が無理なので、ある落語ファンの人とも話してたんだけど、客席を観察する楽しみみたいなのもあると思う。「あっ、こんなところが受けるんや」みたいな。
でも次あったらどうかな。2000円やったらまた来るかな。