2016.4.23 【いきなり九雀の日vol.143@岡町・伝統芸能館】

【いきなり九雀の日vol.143】

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今日のこの会、いつものように開演30-40分前ぐらいに行くと1Fに既に十数人の人が。でも知らない人ばかりで何か別のイベントかなと思っていたら、この会の人たちだった。
えらく足が早い。これは奈々福さん目当てか、はたまた前回からの九ノ一バブルがまだ続いているのか。
その後開場してホールに入ると、定式幕がひかれていてその前に高座が。そして下座は客席右の端に設置。
これは舞台にはきっと奈々福さんの演台が設えられているんだなと思うと期待が高まる。
それからも客足は止まらず、結局60-70人ぐらいの入りで熱気の中開演をむかえた。

九ノ一 / 東の旅・発端~煮売屋
九雀 / 孝行糖
奈々福 / 甚五郎旅日記より「掛川の宿」   曲師・沢村豊子
仲入り
九雀 / 親子茶屋
(三味線) / 岡野鏡

九ノ一さん、先月の初高座に続いて二回目。今回は発端の途中から煮売屋まで。相変わらず元気がいい。でもこの噺元気だけじゃ務まらない。パワーがあってかつたたきのリズムがいいから気持ちよく聴ける。ところどころ笑いも起きていた。なかなか発端でこうはいかない。下座の岡野鏡さんと同じ20才の若者、先が楽しみだな。

九雀さん、「今月の九ノ一」は手紙の宛名の話。そら今の若い人、手紙は書かない。でもそれも含めて修業なんだな。九ノ一さんの携帯の話もほおーっと思ったけど。みなさんお弟子さんにはそうなのかな。
そこから、きょうは親孝行と親不幸の噺をします、ということで、まず「孝行糖」
案外聴く機会少ないけど、これも立て弁のリズムが心地いい噺だ。仕事のない難儀な男をみんなで飴売りに仕立てて、親孝行でお上から褒美を賜るという、いかにも落語的な噺だ。
九雀さんらしくリズミカルに軽快にとんとんとすすむ。

そして、幕が開いていよいよ奈々福さん。やっぱり奈々福ファンが詰めかけてた。今回の奈々福さんの関西滞在オープンな公演はここだけだからな。僕自身も少し残念というか思うところはあるけど、それはまた別の話。
もちろん上手には豊子さん。まさか岡町でこの人を見れるとは思ってなかった。結構感激する。
ネタが出てなかったので何かなと思っていたら「掛川の宿」
奈々福さん、もちろんうなる声がいいんだけど、振りというか斜めに構えるポーズもかっこいいな。それをポンポンポンと決めていくのに引き込まれる。そして豊子さん、僕はやっぱりリズム楽器としての三味線にすごく惹かれる。刻むという言葉が本当にぴったりくるような手が次々と繰り出される。そして、更に合いの手も入る。これもいい。
そんなに長い時間じゃなかったけれど浪曲を堪能した。

そしてこの会にしては珍しく休憩が入り最後は九雀さん。
浪曲の空気を変えるために仲入りしました、と。普段は4席休憩なしだもんな。
九雀さん、再び九ノ一さんの事に連れ「最近は人を育てる喜びみたいなものを感じてます」。こういう人にはもっと早くお弟子さんをとっていただきたかったけれど、タイミングもあるんだろう。
で、噺は「親子茶屋」。上方落語にはいろんな若旦那が登場するけれど、僕はこの若旦那が一番好きかな。
父親より女が大事と言い切ってしまうところ。そして、それを理詰めできちんと説明できるところ。
九雀さんの父親に間髪を与えずにすっと押し切ってしまうような間がいいな。
でも最後はこの親子の愛情のこもったようにもみえるののの知り合いで下げとなるところもいい。

僕にとってこの伝統芸能館は落語とかを聴く上でのある意味ホームなのです。今は一つ二つ隣の駅に住んでいて、大昔にはここの最寄り駅から高校に通っていて、今日この会の前に行ったラーメン屋は創業46年、僕が高1だった昭和45年、そう大阪万博の年にオープンしてる。で、女将さんとそんな話していたら、夫婦二人とも年だけど2020年のオリンピックの年までは頑張りたい。それでちょうど50年になると。
そんな素敵な岡町という駅にある伝統芸能館で、これからもいい落語とかを聴いていきたい。