2016.4.22 【いけだ落語ウィーク・今夜は神さま仏さま噺で@池田・アゼリア小ホール】

【いけだ落語ウィーク・今夜は神さま仏さま噺で】

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落語の街・池田で毎年一週間にわたって開催される「いけだ落語うぃーく」、今年で4回目だ。今年は今週いろいろあって今日金曜日だけの参加になった。文之助さん、南天さんとおなじみの人とそうでない人。そして文珍さんがなんとあの噺をと。盛りだくさんで興味は尽きない。
そして今日のテーマは、神さん仏さん。だいたい仏教の節談説教が落語のルーツのひとつと言われていてかなり関連の深いテーマだ。お二人のトークも含めて、どんな展開になるのか。

小佐田定雄・前田憲司 / (トーク) 新資料発見!『芸人の信仰』
団姫 / 仏は君をホットケない
団朝 / 宗論
文之助 / 餅屋問答
仲入り
南天 / 貧乏神
文珍 / 淀川

この会はいつも小佐田さんと前田さんのトークから始まる。今回は明治43年発行で新たに発見された「芸人の宗教」という冊子が目玉だ。.目次をみると、当時の上方の諸芸の著名な人たちの名前が20人以上並ぶ。今ならちょっと発行できないかな。それにしても当時から日本人の宗教観がおおらかだったことが分かる。こんな貴重な資料よく発掘されたなと思う。
そして、先代米團治米朝さんに語ったという「末路哀れは覚悟の前」という言葉を米朝さんの録音で聴かせる。
いつもながら楽しいトークだ。もう少し時間が長ければなと。

落語は団姫さんから。もちろん神さん仏さんといえばこの人をはずせない。仏教系の新作で、前半でかつらのことを振っておいて後半にかつらを脱ぐ。当然知らない人は驚くんだけど、この人最近はこういう高座が多くなっているのかな。普通の落語会にもそれほど登場しないし、インパクトが強すぎてつかいにくいのかな。
僕は団姫さんの落語以前から上手いと思っているし、仏教活動と並行して普通の古典落語の活動も活発化してほしいな。

続いて団朝さん。例によって米團治さんのまくらから。数日前もこのブログで米團治まくらのことを書いた気がする。このように大阪で落語を聴いていると、米團治さんのまくら登場回数はなかなかのものがある。それも本当にいいことだろう。
ネタは「宗論」。今日のテーマならもちろん誰かがしないといけない、宗教ネタの筆頭だ。団朝さんのはすごく正統で普通の展開だけどそれでも面白かった。やっぱり笑いのパワーの大きなネタだ。

中トリは文之助さん。いきなり宗論の若旦那口調jを真似て受ける。文之助さんの宗論一度聴きたいな。
噺は「餅屋問答」。文之助~小佐田でお寺ラインなら正直「般若寺の陰謀」をの方を聴きたかったけど、この噺も代表的なお寺ネタだ。
それにしても落語には直接的なお寺ネタが多い。当時からいろいろ繋がりがあったのだろう。今でも大阪では太融寺始めお寺の落語会随分あるもの。
で、文之助さんのこの噺は度々聴いているけど、今日はかなり前方で聴いていたこともあって流れるような口跡が印象的だった。それと間が短いというか会話の切り替えをかぶせるようにもっていく。ここからこの人の落語特有の心地いいリズムが生れるのだろう。

仲入り後は南天さんから。ネタはこれも南天さんでおなじみの「貧乏神」だ。
元々は小佐田さんが枝雀さんのために創ったもので、もう南天さんが引き継いだ感じだ。南天さんのは貧乏神がまた枝雀さんとは違う味わいがあって、とてもいじらしく感じる。「友達」という言葉にとても弱い貧乏神、鉛筆削りのアルバイトで貧乏削りをしてクビになる貧乏神、引き受けた選択で醤油のシミが落ちて喜ぶ貧乏神、そして味噌汁が上手だった貧乏神。演者と登場人物がとてもリンクして聴こえるネタになってる。

最後は文珍さん、故郷のお寺で檀家が少なくなって維持出ずに「寺じまい」をするところがあるという話や、最近話題の「イオンでお布施」の騒ぎを文珍さんらしい視点で語った後、噺は「淀川」。
この噺、僕は一度聴いただけなんだけど、とんでもなくインパクトが強かった。展開は読めるんだけどそれでも相当シュールな噺で、僕は好きだけど一般的には相当後味が悪い。坊さんが主人公とはいえ、どうしてそんな噺を文珍さんが選んだのか。そしてどう料理するのか。とても興味があった。
結果的には、文珍さん下げとそれにつながるところを変えていたので全然違う噺に、普通の滑稽噺に近くなっていた。これならする場所を選ばないと思うけど、正直「淀川」はシュールであってこそだと思う。元々の形もぜひ継承して残していってほしい。こんな落語もあるということで。

以上、とても盛りだくさんな会で楽しかった。このイベント、自宅からも近いことだしできれば通しで参加したかったけど、なかなか他にもいろいろあって難しい。でもできるだけ参加したいので来年以降も続けてほしいな。