2016.4.12 【第31回・豊中寄席@野村證券豊中支店・4Fホール】

【第31回・豊中寄席】

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僕の地元の豊中駅前で3カ月に一度開催されている「豊中寄席」。地元以外では全く無名な地域寄席で、チラシはあるけど、この界隈の駅や店でしか見たことがない。繁昌亭とかには置かない。なぜかっていうと、地元で情報まわすだけで客が来るから。
以前は駅前のホテルの大広間で行われていたけど改修で使えなくなり、苦肉の策で野村證券豊中支店の4Fホールに移った。移って1回目は行ったのだけど、やっぱり一企業の社屋の中というのはいろいろと制約があって、どうもなと思ったのでそれ以降は行かなかった。
で、この会は由瓶さんがレギュラーでいつも二席するんだけど、最近ちょっと由瓶さんの落語が気になるので久々にやってきた。もともとホテルでやってたころから、主催者がしっかりしているのかよく客が入る落語会で、現在のホールは以前より狭くなったとはいえ、ほぼ満員、100人近くは入っていたと思う。
もちろん、客席は近所のおばちゃん、おっちゃんばかりでいつもの落語ファンは誰もいない。そんな状況で開演だ。

由瓶 / あいさつ
福丸 / 煮売屋 
由瓶 / 近日息子
市楼 / 市民税
由瓶 / 火焔太鼓

最初のあいさつで由瓶さん、この会は客席が一杯になるので、いつもの自虐ネタは出ない。福丸さんのことを京大卒と紹介して客席ざわめく。地域寄席ではこの役目を主催者の人がすることよくあるけど、やっぱりメインの噺家さんがする方が場が暖まるし落語に入りやすくなる。

てことで福丸さんから。
いろんなところに落語をしに行くと。葬儀会社の葬儀フェアで祭壇の前でしたとか、学習院中学で学校寄席の時はあの方も客席にいたかもしれないとか、かなり面白い。
そこからネタは「煮売屋」。いつもどおり堅実に半ばまで。でも福丸さんの方が市楼さんよりキャリアは下なんだな。逆だと思ってたから最初に福丸さん出てきた時「あれっ」てなった。

由瓶さん、父親の葬儀の時の話を始める。面白いんだけど場面が場面だけにちょっと笑いにくいかな。で、鶴瓶一門の宴席でこの話をしたら、俺の方がもっと面白いという人が二人もいたと。棺桶がらみのとんでもない話だな。
噺は「近日息子」。なるほど、まくらときっちりつながった。由瓶さん特定のネタ専用のまくらなんかもってはるんやな。あ、特定ということもないか。
パワー系落語の由瓶さんらしく、汗とともにガンガン押していく。客席も分かっていてよく受けている。でも正直ちょっと一本調子な気もした。

次は市楼さん、年は下だけどキャリアは福丸さんより上になるんだな。自分は祖父、父、と三代目の噺家であると。だからサラブレッドなんだと。この話を嫌味に聴こえずサラッと受けさせるのがこの人のキャラだな。
で、祖父の三代目染語楼作の噺をしますと、「市民税」。この人で何度か聴いてるけど楽しい噺だな。昔は市民税が自動徴収じゃなくて、市役所の職員が集金に回っていた。そこで、金がないからどう言い訳して払わずにすませるかと。そう、掛け取りの世界だ。
だけど、おじいさん作の噺は「青空散髪」とか「地下鉄」とか今でも高座に掛けられる噺も多くて、当時のセンスを感じる。

由瓶さん、最後はまくらなしでネタに入る。「火焔太鼓」だ。由瓶さんもやってるんだな。しかし最近この噺よく聴くな。やっぱり実は上方テイスな噺だからなのか。それに場所の設定も別にないしな。
由瓶さんに合ってると思う。でも道具屋のおやじが他の人のより強くなる。嫁にあまり負けてない。だから最後は圧勝だ。由瓶さんの落語は何をやっても色が濃く出るのが特長なんだけど、できれば新作も聴きたかったな。次回に期待しよう。

ということで、久々の「豊中寄席」は結構居心地がよかった。なにか、客席の色がほとんど一色でずっとゆるい空気が流れていて、自分もそこに身をゆだねることができた。やっぱりこれがいい地域寄席のポイントだな。これからもできるだけ来るようにしよう。