2016.4.7 【上方落語若手噺家グランプリ2016・予選第一夜@繁昌亭】

上方落語若手噺家グランプリ2016・予選第一夜】

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アート引越しセンターからの寄付により去年スタートし10年間の実施が決まっている「上方落語若手噺家グランプリ」。去年は入門15年未満が参加条件だったけど今年はそれが20年未満となり、少し年季のある人も出られるようになった。
今日はその予選第一夜、10人の演者が制限時間8分で挑む。さてどんな結果になったのか。

あいさつ / 仁扇
眞 / 忍法医者
三語 / たぬさい
雀五郎 / 時うどん
恩狸 / 十徳
智之介 / 住吉駕籠
染吉 / 御公家女房
仲入り
八斗 / 信長の誕生日
たま / 地獄八景
華紋 / 道具屋
鞠輔 / 七段目
結果発表

世話役の仁扇さんのあいさつに始まって、順番はあらかじめ決まっていたのが公表されてスタートした。

結果は

1位・たま
2位・三語
3位・眞
3位・雀五郎

ということになった。

昨日の高津で予選を勝ち抜くことを宣言していたたまさん、圧勝だと思う。この中に入ると物が違う。たまさんの古典を短くする技はよく知っているので、8分の地獄八景も簡単にクリアするとは思っていたけど、最初から最後まで終始受け続けた。受けるレベルの高さだけでなく、凝縮された笑いの密度がとんでもない。質、量ともに圧倒的だった。ただでさえよく出来た地獄八景、それを爆笑部分だけ選りすぐり、更にオリジナルなギャグをてんこ盛りにする。最後の方では、例の謝罪ネタもからませ、いつもまくらで言ってることを「こんなんゆうてええんか」とか自分に突っ込みながら繰り出す。
でももしこれで落としたら、あんだけ受けてたのにいらんことゆうたから落ちた、てなるから、もう落とせないよな。
ひょっとしてそこまで考えたダメ押しだったのか。
どちらにしてもたまさんにしかできない「地獄八景」だった。

2位は三語さん、この中ではあまり聴いていない方の人なんだけど、今日の「たぬさい」は悪くなかったとは思う。

3位は同点で雀五郎さんと、眞さん。雀五郎さん、途中で少し早口になりそうなところもあったけれども、ほぼいつも通りの「時うどん」でよく受けてた。最後発表前のひとことで「こんな時間でうどん食べられないことに今気づいたのが反省」てのもよかった。
眞さんは、「忍法医者」。これは「蘭法医者」のアレンジなのか。度々呪文がでてくるのが楽しい。こういう珍品で挑むのが眞さんらしいか。
お二人のどちらかに決勝に行ってほしい。

後、気になった人は、八斗さん。「信長の誕生日」は自作の新作なのか。よく出来ていて面白いし、衣装のインパクトもよかった。下げがスコンと落ちないと感じたのが残念。

華紋さん、最近よく聴いていてる。今日は定番ネタでの挑戦だったけど、一つ一つのシーンが際立っていて楽しかった。特に木刀の場面のしつこさがいい。

鞠輔さん、「七段目」は女流の芝居噺の一つの方向のように思えた。切れ味を前面に出すのでなく、丸い芝居にみせる。またこのネタ聴きたいと思った。

染吉さん、上手かったと思うけど、女房の口調が最後急にきたなくなるのはどうなのかな。この噺の前提が崩れたら世界が変わるのでは。

ちなみに僕なら、たまさん→雀五郎さん→鞠輔さん、だな。

でも全体的に楽しかった。有言実行のたまさん、決勝が楽しみだ。
あと、多分だけど、今日の客席の受け方をみてると、噺家さん個人の応援に来たあまり落語に染まっていない人も結構いた気がする。このイベントを機に他の落語会にも行ってほしいな。
それと、去年も書いたこと思い出したし、最後にたまさんもいろいろ言ってたけど、仁扇さん以外は誰がどういう基準で審査しているのかを客席には公表すべきだと思う。それも含めてイベントの楽しさだから。