2016.4.4 【繁昌亭大賞各賞受賞者の会〜上方落語台本発掘落語の会@繁昌亭】

【繁昌亭大賞各賞受賞者の会〜上方落語台本発掘落語の会】

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長いタイトルの会だ。この会は動楽亭で定期的にやっている新作ネタおろしの会「できちゃったらくご」と同じメンバーで、ネタおろしではない新作をかける会で、今回はその特別編として、繁昌亭で毎年開催されている新作台本コンテストの応募作の中から、面白いと評価が高かったにもかかわらず、いろいろな理由で受賞しなかった作品を発掘しかけるという趣向だ。当然ネタおろしになる。
いつもと同じように最初に舞台に全員登場してじゃんけんで出番順を決めていく。これがただ決めるだけでなて、うだうだトークが結構長くて、開口一番のようでおもしろい。
そして、今日はみなさんがそれぞれ新作の作り方について話をすると。それもすごく楽しみだ。
結果はこのようになって開演だ。

遊方/ 浪速幽霊騒動記
たま / 恋の処方箋
三風 / 謝罪
南湖 / いいね!パパ友
仲入り
あやめ / 家系不動産
三金 / 男の世界

最初に全員で舞台に上がった時、遊方さんだけいなかった。まだ帯を締めていると。なかなか出てこない。やっと登場したらユニオンジャックのかっこいい帯だ。でもなんか短くない。生地も柔らかくて締めにくいと。で、じゃんけんで真っ先に負けて楽屋に引っ込む。選択権がない順番は当然トップになった。
みなさん下がって、遊方さんの出囃子流れるけど出てこない。たまさんじゃないんだから。
約5分で登場したけど遊方さん声が不調だ。
新作の創り方について、「僕が落語家になったのは、落語が面白いことを表現するのにいいと思ったから」と。だから、噺を創る時には冒頭にトラブルをもってきてパニックをつくる。
ネタは、ホテルに出る幽霊がいろいろと騒動を引き起こす話。面白いと思うんだけど遊方さんでもう一度聴きたい。

次はたまさん、新作の創り方は、つかみ+失敗談+本編1(+本編2) だそうだ。で、師匠の福笑さんと仁智さんの新作の創り方はよく似ていると。アウトプットされているのは全然違うように聴こえるけど、それは演者としての個性の違いなのだろう。
噺はデパートのハンカチ売場で働く女性に一目ぼれした男にその友人が恋の手ほどきをするというもの。ドラマのシーンを使っていろいろするけどことごとく失敗する。なるほど仁智さんの「源太と兄貴・純情編」とほとんど同じ流れだ。そして、もっと言えば、古典の「色事根問」の変形か。よくできている。
だけど、この噺は源太と違って最後は成功するのがいいな。
たまさん、五つのドラマから創り込んでいて、今日一番よかったと思う。

続いて三風さん、創り方はテーマを決めて、事実から飛躍して誇張させて、その後できれば人情を絡めたいと。なるほでそんな新作をつくってると思う。噺は「謝罪」だけど、別にどこかの芸人とは関係ないと。

中トリは南湖さん、冒頭で落語台本書いた経験ある人。また、落語やったことある人。と聴いてどちらも割と手があがった。どちらか言うとマニアックな客席だから、それぐらいは上がるだろう。
で、落語台本作家という職業では食えないので、落語をつくるなら落語家を目指せばいいと。
ネタは、ママ友がいるんならパパ友もいていいだろう。という発想の話で、仕事は抜きでと言いながらなかなかそうはいかず最後やっぱり仕事なのかという下げだった。これも再度聴きたい噺だ

後半はあやめさんから。噺の創り方は、テーマを決めて下げに向かって進めていく中で、登場人物のキャラ設定をかなり細かく創り込んでいくと。キャラを決めないと口調とかいろんなことが決まってこない。今回みんなが選んだネタは、いいんだけどたまたま高座でできる人がいなくて入選しなかった噺とかが多い。おもしろいけど残念ながらできないと。そんな風にして入選作が決まってたというのは少し意外だった。
ネタは家系図の家系じゃなくて、ラーメンの家系。ラーメンの細かい注文設定と同じようにして不動産の物件が不動産屋の店頭で出てきて、当然ドタバタしだす。下げもよくできていると思った。

最後は三金さん、このメンバーの中では当日開演前の完成度が一番高いため、早い出番のことが多いけど今日はトリだ。噺の創り方は、とにかくデブネタは受ける。太ってたらネタが転がり込んでくると。そんな簡単なものでもないと思うのだけど、三金さんに言われるとビジュアルで納得してしまう。
噺は相撲ネタ。ゲイバー「おすもうさん」という店でのいろんな話。これも楽しかったな。途中で文福さんのものまねが入り、そこで大受け。下げもばしっと決まる。

今日の噺は全部、台本がどうなっていて演者の人がどこをさわったのか分からないんだけど、まあ、それは聴く方は別に気にすることもないかな。
あやめさんとたまさんの噺の創り方がとてもよく分かった。なるほど基本そうして創られた噺だと思う。
全体的にとても面白くてまたやっていただきたいけど、できちゃったらくごで台本募集するていうのもいいな。どんあ噺になるのか楽しみだ。入賞すれば6人の誰かがするわけだから、書き手としてはターゲットを絞り込んで書くことができる。それもまた違う楽しみだ。