2016.3.29 【月刊笑福亭たま・3月号@繁昌亭】

 【月刊笑福亭たま・3月号】

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今月は、いろいろあって「高津落語研究会」「日曜独演会」「ナイトヘッド」とたまさんの落語会を三度続けて欠席した。欠席などと書くと、出席が当たり前のようになるけど、いずれにしてもたまさんの落語を聴くのは先月の月刊以来1カ月ぶりになる。最近はこれだけ長い間聴かないことはないので、多分頭の中も身体もクリアされていて、また違うように聴けるのでは、とか考えながら繁昌亭に着いた。
真冬と比べれば日も大分長くなってきて、この写真が明るくなるのももうすぐだ。

華紋 / 色事根問
ひろば / 禁酒関所
たま / あくびの稽古
たま / 壺算
仲入り
うさぎ / 餅屋問答
たま / 新作ショート落語~リニューアル新作「どんと祭

華紋さん、最近は「色事根問」といえばこの人という感じだけど、見た目も口跡もさらっときっちりと、開口一番として実に見事に客席をあたためる。そう言えば、去年一週間に三度開口一番で遭遇したこともあった。時間があえばこの人の会に行きたいと思っている若手の一人だ。

続いてひろばさんは「禁酒関所」。数年前からするとかなりやせたひろばさん。見た目もそうだけど、声もかっこよくなってきてるのでは。かなりの滑稽噺というかバカ噺だけど、リズムもよくて気持ちよく聴くことができた。でも、高津の時のようにたまさんをあまりいらわなかったな。

さて、たまさん。まくらは花形演芸大賞・金賞受賞の話から。去年銀賞で今年は大賞を狙っていたらしくて本当に悔しい。ついては来年こそ大賞をとるためにいろいろ考えてると。審査対象になる国立演芸場の出番が2回与えられて、去年は「地獄八景」と「ペッパーラッパー」をかけた。どんな人が審査員か知らないけど、いきなり「ペッパーラッパー」を聴いてどんな評価をするのだろうか。そう考えると賞をとるためには審査員の傾向と対策がとても重要になってくる。たまさん得意そうだ。今年は果たして何をかけるのか。
それと、「東京かわら版」の表4の話は爆笑だった。どんなことになるのか楽しみだ。確かに関西人がとても面白がるはなしだ。
そこからネタに入りかけて、戻して今日のゲストうさぎさんのことを。あまりたまさんと近しい感じと思ってなかったけど、ゲストの人のおかしさについて必ず説明するのも客席への親切だ。中身はうさぎさんは実はとても切れやすいという話。これで中入り後の楽しみがひとつ増えた。
ネタは「あくびの稽古」。たまさんで3回目だけど今日が一番勢いがあってよかった。浄瑠璃の件が変わっていたけど、何の演目だろう。楽し気に語ってた。で、踊りのあくび、軽業では逆立ちしてあくびをする。これがシームレスに流れてすっかり噺に取り込まれる。更に武道のあくびも登場して、気持ちよくさげた。

たまさん二席目は「つぼ算」、この噺もたまさんの古典の定番のひとつで何度も聴いてる。キモもはたまさん特有のにぎやかなしつこさだと思っているんだけど、今日は「あくびの稽古」が目立ち過ぎたからか、少しあっさり目に映った。でもそれはそれでもちろん悪くない。

仲入り後にうさぎさん登場。風貌が外人ぽくて「僕国際結婚なんです」と言われれば、やっぱり外人なのかなとなる。でも実は奥さんがカナダ人らしい。ビックカメラで切れた話は爆笑だった。でも噺家さんまくらで自分や他の噺家さんが切れた話よくするけど、結構デフォルメされてるんだろうか。
そこから噺は「餅屋問答」。この流れだと、顔とあってないように見えてくるけど、始まると直ぐになじんできた。寺での食べ物の符丁を次々に繰り出したところが楽しかった。改めて思ったけど、この人も上方林家なので、いろいろと達者なんだろう。

たまさん、新作ショート落語は「帝国ホテル」と「千里眼」が面白かった。
リニューアル新作は「どんと祭」。先月「できちゃった」でのネタおろしだった。神社とその近くの施設が舞台で、置いて行かれた子供が成長してから父親が訪ねてきて……、という噺。いろいろ笑わせどころは豊富だし、キーポイントもなんか斬新だと思うけど、まだ噺の流れもセリフも整理できるのでは(偉そうですいません)。
次回聴くのが楽しみな新作だ。

今日は古典の日。ネタだし見た時「壺算」がメインだと思っていたけど、「あくびの稽古」が圧倒した。僕も含めてたまファンの中には、古典のファンも随分いる。もちろんみなさん、たまさんの新作も好きなんだけど、やっぱりいつもたまさんの落語聴いてると、新作の生みの苦しみみたいなのが伝わってくる。一方古典はネタおろしされた時に大概かなりの完成度で僕らの前に登場する。このスタイルがたまさんの古典と新作のバランスなんだろうと思う。