2016.3.27 【うめだ文楽・15:00三浦しをんの回@グランフロント大阪・ナレッジシアター】

 【うめだ文楽・15:00三浦しをんの回】

イメージ 1

去年初めて開催された「うめだ文楽」今年も楽日に行ってきた。場所は同じグランフロント大阪・ナレッジシアター。キャパは350人ぐらいだろうか。まずこのロケーションがいい。阪急から大阪駅をかすめてグランフロントに向かう。南館北館を突き抜けてナレッジシアターまで結構時間がかかるけれども、日曜の午後ということでその間ずっと周りは人でいっぱいだ。そして、グランフロントの先鋭的なデザインの中で、非日常なハレの気分が盛り上がってくる。文楽と梅田という繁華な場所を結びつけるのには絶好のホールだと思う。

そして技芸員は若手中心、普段文楽みない人にも文楽をということで在阪テレビ局五社の主催で企画されたものだ。

会場に入ると、ロビーのソファに住太夫さんがいらっしゃった。お元気そうだ。でもみんなあまり意識してない。文楽劇場ならとんでもないことになっただろう。住太夫さんは開演直前に4列目の真ん中に着席。みなさん緊張するだろうな。特に小住さん。

僕の席は珍しく受付に取り置いてもらったため、下手前方と、普段文楽劇場ではまず座らない位置。床が遠くてどうだろうかと思いながら開演を待った。3日間5回公演の楽日とあって客席は既に満員だ。

トーク / 三浦しおん、玉誉、簑之、(司会) よみうりテレビアナウンサー
休憩
「傾城阿波の鳴門」 役割は以下に

イメージ 2

トークは、しおんさんのしゃべりがが予想以上に楽しい。「あやつられ文楽鑑賞」ののりそのままの人だ。そして本と同じようにとんでもなく文楽愛を感じる。こういう人が大阪にいたら文楽にとってはすごく戦力になるのにな。技芸員からは日替わりのようで、この回は玉誉さんと簑之さん。簑之さんはおつるの主遣いに挑戦だけど若い、なんと22才。こういう役割になるのも「うめだ文楽」ならではだ。簑之さん、かなり緊張感があるも、それを上回るやる気が感じられた。また、玉誉さんが一旦文楽から離れた時の話も面白かった。
だけど、正直アナウンサーが必要なのかなと。この仕事が2か月前に決まってから、しおんさんの文楽本2冊読んで、2月の東京公演観に行ったて言ってたけど、そんなことは客前で言うべきことじゃないと思う。
しおんさんが全面的に仕切った方が面白かったのでは。このメンバーのトークなら内容的に不満足で、もっとよくなったと思われた時はホスト役の責任だ。

後半はいよいよ「傾城阿波の鳴門」。この演目、落語の「七段目」にも登場するし、有名な割にあまり公演でかからない。僕が文楽にはまってからの4年間で一度もしてないと思う。僕個人は大昔の話だけど、中学ぐらいの時に淡路島の人形浄瑠璃でこれを観ている。学校の行事の一環で、正直こんなもの何が面白いのかと言う感想しかなかった。
その影響がいまだに残っていたんだけど、やっぱり幸助さんのお弓の右手の所作が指の先まで美しい。ただ、小住さん、やっぱり緊張なのか前半は少し不調だった。テレビの住大夫さんの番組で怒られてたのを思い出した。でも後半十郎兵衛が登場してからは一気によくなった。女性の役割が今日はたまたま今ひとつだったのか。
寛太郎さんは、今日は抑え目にきちんとつないでいる印象が強かった。
それにしても、後半のストーリーを僕は全然知らなくて、基本予習とかしないので初めてだったけどあんまりだな。
文楽だからこういうの珍しくないとはいえ、おつるがかわいそうすぎる。いいおっさんにそう思わせたら公演としては成功かな。

最後にカーテンコールみたいに全員が舞台に並んで、幸助さんが音頭をとって一言ずつあいさつ。これも楽しかった。最後に幸助さんが住太夫さん来場の話した時、できたら立ち上がっていただきたかったけど、そういうことはしない人なんだろうな。

全体的に残念だったのは、去年のことも思い出したけどプログラムの貧相なつくり。これで500円はない。本公演のプログラムの充実ぶりと比べるともう足元にも及ばない。内容も、最低でも各回のトークの技芸員の方を入れておいてほしかった。
だけど、ここでこういう公演することは大賛成だし、来年以降も続けてほしい。当然また来たいと思う。こんな公演から間違いなく新しい文楽ファンが生れていく。それを今年も期待して帰路についた。