2016.3.17 【生喬魂Ⅲ@繁昌亭】

 【生喬魂Ⅲ】

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珍しく10日ぶりの落語会は5年に一度の生喬さんの独演会。10年前の一回目が噺家15周年、二回目の5年前が20周年、そして今回が25周年だ。普通は毎年するけれども、なぜ5年に一度なのかは区切りがいいからだそうだ。で、よくファンの人から「次の独演会来れるやろか?」と言われるけど、そう言ってる人は大概来てはると。
もちろん生喬さんは、独演会と名はついていなくても自分の会は相当いろいろやっている。
今年はまた注目の「お目見得」がかかる。どんな噺か全然しらないけれども、それもすごく楽しみだった。

生寿 / みかん屋
生喬 / 堀川
南天 / 火焔太鼓
仲入り
ねこまんま(南天・雀喜) / 漫才
生喬 ./ お目見得

生寿さんは生喬さんに弟子入りして9年、1回目の10年前は客席でみていたそうだ。今日もメリハリのある高座できっちり開口一番をつとめる。生喬さんにとってもそういう意味で頼れる弟子なのだろうと思う。

生喬さん、一席目は「堀川」。ご存知、とんでもない酒極道と喧嘩極道がでてくるという噺だけど、この二人と酒極道の母親、主な三人の登場人物の個性が際立っているんだけど、この噺、母親のウエットなしゃべりがいつも耳につく。後の二人は、生喬さんもう楽しい。いろんな家のいろんな家族がデフォルメされて描かれ、最後は猿回しまで登場し、下げにつながる。ちょっと構成が強引な噺だと思うけど、それも落語らしいのか。

続いて南天さん、円陣の話から若い頃の生喬さんとの思い出。アパートの二人の部屋にはさまれた住人の話、奥さんの話、バナナの朝食。で、「火焔太鼓」、ネタおろしから一カ月半でもう4回目だ。当然面白いんだけど、ちょっと聴き過ぎな気もする。南光さんのは一度聴いただけなので、もう一度とても聴きたい。

仲入り後は、南天さん・雀喜さんの漫才で「ねこまんま」。これも新しいネタで生喬さんの噺家生活25年を振り返る。ちょっと特別なネタのせいか、いつもほど切れ味はないけど、中身は楽しい。でも後半のお客に対する不平不満みたいなのをネタにするのはどうなのか。ちょっと険があるというか聴いていてあまり楽しくなかった。

最後生喬さん、逆に南天さんとの思い出を語ってから、「お目見得」。この噺が今日の目玉だ。花登筐・作で六代目が昭和40年代にかけ、平成元年に松喬さんがやったものを28年ぶりに生喬さんがする。内容は作者らしい田舎から出てきた丁稚の話なんだけど、登場人物が多くて難しそうな割に、ストーリーが盛り上がるところまでいかずに終わっている。生喬さん、「松喬が、あの噺はあのままではあかん、と言ってて、それ以上は聴けなかったけど、自分がこれから変えていきたいと思う」と。落語ファンの人も言ってたけど、今日かけたことに価値のある噺だったのかもしれない。

25周年記念独演会、ここでゲストに南天さんを持ってきて、落語はもちろん新ネタの漫才まで披露して、二人の長い付き合いにとてもほっこりした気持ちになったいい独演会だった。
とりあえず「生喬魂Ⅳ」まで、5年間元気でいよう。