2016.3.7 【千夜九夜物語・第3夜@繁昌亭】

【千夜九夜物語・第3夜】

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千朝さんと九雀さんの二人ですすめる「千夜九夜物語」、今日九雀さんからきちんと発表があったのだけど、この会は米朝さんが40代前半から50代前半にかけて録音し二枚組LPで発表した米朝落語全集について、第一集から第二十三集まで、ほぼLPの内容通りにやっていくというものだ。
だから、プログラムもLPを意識したつくりになっている。そして二十三夜までは、基本年3回ペースなので、まだ6年半かかると。僕としても、非常に好きな米朝一門のベテラン二人が素晴らしい企画をロングランで取り組むわけだから付き合おうと思う。後6年半皆勤を目指すことにした。
一度一度がすごく楽しみだ。そして今日は早くも地獄八景の登場。

瑞 / 動物園
九雀 / 阿弥陀池
千朝 / 地獄八景亡者戯
仲入り
九雀 / 次の御用日

瑞さん、「動物園」は二度目だけどなかなかよかった。いろいろくすぐりも入っていて、型にはまらない動物園だったけど、すごくあっていた。この人はやっぱり、噺を自分のゾーンに引き寄せるのが達者に感じる。

九雀さん、一席目は「阿弥陀池」。まくらで最初に書いた、この会の意味の説明。よくぞこういう企画を発想していただいた。客席にはマニアな人たちも結構詰めかけ、濃い空気が漂う。
噺は、九雀さんらしく軽快にポンポン進む。だけど「阿弥陀池」てこんなにリズミカルな噺なんだってことに気がついた。爆笑噺なんだけど、普通はもっとしつこい。体をかわすのに西宮まで連れて行くところとか。
受けた場面でも空気をとどめずに、惜しみなく噺がどんどん展開していく。こうなると聴いてるほうもノリがよくなってくる。いや、とても楽しい阿弥陀池だった。

そして地獄八景、最近みなさんよく言うように、千朝さん「これはそないに大層な噺やありません。でも二人どちらかがやらなしゃあない」。とか乗り気でないような感じ。まくらほぼなしで始まった。
冒頭の場面からきちんきちんと笑いをとってゆく。で最初に客席が爆発したのは、地獄寄席の場面。春団治米朝、近日来演は千朝さん本人で。ここも受けたけど、それ以上だったのがかつての漫才名コンビの数々のモノマネ。ダイマルラケット、伸ハワイ、ラッパ日佐丸、幸朗幸子。客席大爆笑。
そして二度目は、一芸披露のシーンで、噺家の出のモノマネ。春団治、枝雀、談志、松之助、米朝。出てきて座って振り付きで一言目まで。これむちゃくちゃ似てたな。客席大喜び。
更に三度目の爆発は、人呑鬼に飲み込まれた腹の中で、いろんなパーツを引っ張ると人呑鬼の身体が反応するというもの。七つぐらいあったのを立て続けに繰り返す。最後はなぜかお姐言葉になる。もう客席笑いっぱなしだ。
そして、大王のさげまでフルバージョン65分。定番の流れはほぼ崩さず、そこにいろいろ入れていく。
乗り気でないどころかやってる千朝さんが一番楽しそうだった。

仲入り後九雀さん二席目。地獄八景に触れ、今のモノマネはかつて米朝宅での新年会とかの時に、みんな好きなんで次々披露された宴会芸が基本だそうだ。さぞや楽しかったことだろう。
噺は「次の御用日」。僕の好きな夏噺だ。この噺、最後の「あーっ」が目立つけれども、僕は住友の浜の真夏の情景がくっきりと浮かび上がるかがポイントだと思っている。まだ寒い季節にこの噺、どうかなと思っていたけど、
天王寺屋藤吉が駆けてくる場面、そして物売りの声の気怠さ。もう少し先の夏が待ち遠しくなった。

今日は九雀さんの二席どちらもよかったし、地獄八景はまさに圧巻だった。これまで聴いた地獄八景の中で一番面白かった。最近この噺短縮版で掛ける人多いんだけど、やっぱり今日の千朝さんのこそが本筋の地獄八景だ。
会を重ねるほど次回の楽しみが大きくなってくる。一回目二回目と少し客席寂しかったけど、今日はそれもかなり入っていた。こんなに素晴らしい会に空席iつくったらもったいなすぎる。