2016.2.12 【柳家喬太郎SECRET @ ZAZA POCKETS 】

柳家喬太郎SECRET @ZAZA POCKETS 】

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今日は、道頓堀ZAZAで喬太郎さんの会。春節でとんでもなく賑わっている道頓堀から現地に向かった。SECRETとなっているけれど、これはメールのみで動員をかけ、媒体やSNSにはどこにも載せなかったということだ。でも、今日入場時に渡された一番上にこの会の立派なチラシが。もちろん初めてみたのだけど、このチラシどこでどう使ったのだろうか。
会場は約100人で満員。だけどこのスペースで喬太郎さん聴けるライブ感はすごく楽しみだと、開演を待った。

喬太郎 / 家見舞
喬介 / 花色木綿
喬太郎 / ほんとうのこというと
仲入り
喬太郎 / 錦木検校

二番太鼓のあと、出囃子とともに登場したのは着流し姿の喬太郎さん。「えーっ、前座でございます。お後お目当てお楽しみに……」 自分の会では時々するけど、今日は喬介さんいるので意表をつかれた。
ネタは「家見舞」。喬太郎さんのCDでよく聴いてたけどライブでは初めてだ。かなりきちんとした筋立てで、それなりの尺もあるけど、これ東では前座噺になるのかな。別名「肥瓶」だけど、やっぱり「家見舞」の方がいいな。

下げた後喬太郎さん、次の喬介さんの使う見台、膝隠しを準備して、座布団かえして、袖の喬介さんに一礼して下がる。きっちりした前座だ。

喬介さん、恐縮しながら上がってるのだろうけど、第一声が 「お目当てです」。そこから「僕誰かに似てるでしょ」。似てる似てる。先方はこないだの法廷では髪剃ってたらしいけど。しかし、このネタ長いな。いつまで持つんやろ。
で、噺は「花色木綿」。師匠直伝の泥棒噺だ。いつもの喬介さんのように軽快にテンポよくすすむ。しかし後半に入ってなぜか「牛ほめ」がからんできた。そして冒頭の元議員が再び登場。そういうことだったのか。最近喬介さんこういう落語してるんだな。なかなか楽しかった。

続いて喬太郎さん二席目。最初に一昨日京都に行ってた人と聴いて「結構いらっしゃいますね。でも同じまくらです」。そこから昔大阪に初めて来たときの話、これ何度聴いたか分からないほど聴いてる。でも面白い。今週月曜から明日の土曜まで、6日間の旅興行らしい。しかし元気だな。で、去年九州に旅打ち(こういうとギャンブルみたいだけど)でいろいろ落語して回った時、なぜか与論に行った話。これも聴くの3回目ぐらいだけど面白い。そんでさん喬さんとウルトラマンが同期だとか、いろんな話盛り込んでまくらが長い長い。長いまくらに客席がずっと笑ってるのはもう一つのネタみたいなもんだ。
で、ようやく噺に入って「ほんとのこというと」。久しぶりだなと思ってって、帰ってから調べると5年ぶりだった。大阪ではその間かけてなかったのかな。
家族に彼女を紹介する導入部だ。喬太郎さんの新作て、こういうシーンから人情系に行くのと、破壊系に行くのと分かれるけどあまりに普通に始まる方が破壊系に行くこと多いように思う。「どこまで告白するねん」ていう実はとんでもない彼女。それにいちいち合わせていく家族たち。ありえない噺の無限ループをばさっと断ち切って下げた。

中入り後はまくらなしで「錦木検校」。これも同じように聴くの5年ぶりだ。喬太郎さん、大阪でかけたネタのローテーションというか、きちんとチェックしてるんだな。
最初の角三郎と錦木が出会う場面、二人の間に生まれる友情をきっちり描く。このあたりでもうさっきの新作の破壊力とのギャップが楽しくなってくるのは喬太郎ファンの性なんだな。
久しぶりのこの噺、目のみえない錦木に見える人の心、そして、角三郎を大名になる骨格と言うシーンで、身内ではないという角三郎の心持ち。お互いの気持ちの細かいやりとりが心にしみる。
そして、錦木が体調崩す中、角三郎は予言通り大名になる。屋敷にたどり着いてお目通りした錦木、とうとう検校になると思った時、事切れていた。
この噺、錦木が死なないバージョンもあるのだけど、僕はやっぱり喬太郎さんのがいい。この幕切れであってこそ一つの噺としておさまるんだと思う。

三席とても楽しかった。今回の会は吉田食堂さんの企画なんだけど、去年の前半で喬太郎さんがトリイホールでやっていた会が終わってしまって、僕ら大阪の喬太郎ファンは少し寂しい思いをしてる。だからどんな形でもいいからこの会を継続的に続けてほしい。よろしくお願いします。

でも、今年も喬太郎さんは度々関西に来る。3月は三喬さんとの二人会。そして5月は西宮芸文で「牡丹灯篭」の通しと楽しみな会が続く。この人と出会えて本当によかったと思える芸人さんてそんなにはいない。