2016.2.5 【旅成金~小痴楽・鯉八・松之丞三人会@ZAZA HAOUSE】

 【旅成金~小痴楽・鯉八・松之丞三人会】

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2月5日のトリプル落語会、最後はZAZAの三人会。去年8月に続いて大阪2度目の開催だ。前回は松之丞さん目当てで来て、そのすごさに圧倒されたけど、後の二人には特にコメントするようなことはなかった。成金とか言ってあのチームがみんなすごいように言われてるけど、その当日に関しては三人がすごいのではなくて、松之丞さんがすごいんだ、というのが正直な感想だった。
さて、半年たって今回はどうか。

天使/ (前説)
小痴楽 / 両泥
鯉八 / 暴れ牛奇譚
松之丞 / 天保水滸伝 笹川の花会
仲入り
小痴楽 / 明烏
鯉八 / 新日本風土記

天使さん前説、とかいうより自分の落語のまくらだけみたいな話。華やいで、客席あっためて小痴楽さんから。

小痴楽さん、昼席は堅かったけど夜はまくらから隋分リラックスしてる。アウェー感まったくないもんな。
ネタは「両泥」、泥棒噺は東西にいろいろあって似通ったのも多いのだけど、これは初めて聴いた。盗人がある家に入ったら先客の盗人がいて……、という噺だけど、なかなか楽しい。軽快にテンポよくすすむ。

続いて鯉八さん、この人は僕はやっぱりだめだ。落語聴く態勢にならない。

松之丞さんが長講一席の全5席が今日のプログラム。相変わらず声の調子が悪いと言いながら、「笹川の花会」
天保水滸伝というと、平手造酒のイメージが強いのだけど出てこなかったな。まあ、それはともかく語りだすとすぐにアクセル踏み出すのは昼席と同じ。そして客席が熱くなる。こういう侠客の世界、僕らが若い頃は映画やテレビでいろいろあったと思うけど、今はもうほとんどみることできない。でも講談ならみれる。それもまた楽しい。松之丞さん、もっともっと聴きたいな。一席で残念だ。

仲入り後は再び小痴楽さん、芸協会長の歌丸さんから若い人は自分に合ってると思う噺をすればいいといわれていると。実は小痴楽さん、5年前と6年前にも東京の寄席で聴いている。その時の印象は「元気のいい兄ちゃんだな」だった。で、去年の8月。これは正直出来が悪かったと思う。そして今日だ。
「吉原の噺をします」、で始まった。「明烏」だ。上方では基本かからないけど、好きな噺だ。この若旦那は落語の若旦那の中でも少し特別で、おぼこさがメインになるけど子供じゃない、というなかなか難しいところだと思うけどうまくはまってた。そして吉原に連れていく二人の遊び人、ある意味若旦那を馬鹿にしながらも気にかけている微妙な関係。これもよかった。そして全体的には終始江戸言葉を気持ちよく響かせて、とてもよかった。
小痴楽さん聴くの都合7席目でベストだった。

最後は鯉八さん、度々言うのなんだけどやっぱりだめなんだ。で、どうしてなのか考えてて、落語は当然面白くないといけないんだけど、それだけじゃなくて僕はリズムも求める。口跡、言い回し、間、そんなことを含めて自分が噺と同期できるような感覚を求めている。鯉八さんの落語にはそれが全くない。特に引っかかるのが、〇〇は、とか、〇〇が、とかの、「は」や「が」、つまり助詞を省略したしゃべり。これを身体が拒否するんだ。
ただ、これはもちろん僕の好き嫌いであって、それ以上でも以下でもない。人と違うことするていう姿勢は当然いいと思うし、若手の人は何の印象も残らないよりも、むしろマイナスの印象を残した方がいいとも思う。
僕がこの人の落語を聴いて気持ちよくなることは、この先も多分ないと思うけど、そんなことは鯉八さんの落語とは何の関係もない。

ということで、2月5日のトリプル落語会が終わった。1日19席で、この3人が3席ずつ。有意義で楽しい一日だった。だけどやっぱり僕は、南天さんやたまさんの落語の方がいい。また8日の「できちゃった落語@動楽亭」から日常に戻る。