2016.2.2 【あらあらかしこの会@繁昌亭】

【あらあらかしこの会】

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あやめさんには中一の娘さんがいる。はなしか宝塚とかで時々舞台にもあがってて、まくらでもよく出てくるし、ファンの間では有名な話だ。そして、最近そんな彼女の家庭教師をしているのが、阪大卒の染雀さんと京大卒のたまさん。先輩の権力で有無を言わさず(かどうか知らんけど)、あやめさん、超強力な布陣を仕立てているわけだ。
で、今回はそんな家庭教師の二人に出番で応える落語会。なら、ついでにあやめさんが生徒になって先生二人に授業もしてもうらおうという主旨だ。
なんともマニアックな会だけど、繁昌亭1Fは9割がた埋まっていた。

紋四郎 / 開講一番 (千早振る)
染雀 / 金明竹
染雀先生、あやめ / 授業① 国語 「金明竹の立て弁のすべてを徹底解説」
仲入り
たま / おとぎ噺殺人事件
たま先生、あやめ / 授業② 数学 「おとぎ噺殺人事件における時間と速さ」
あやめ / 3年2組の高田くん

開"講"一番は紋四郎さん、春蝶さんのお弟子さんで実は阪大大学院中退。今日は前座もかしこだ。この人数か月前に聴いた時も思ったけど、すごくよくなってる。言葉明瞭で抑揚があって、ためるところはきっちりためる。この先楽しみな若手がまた一人。

染雀さん、まずはリズムよく「金明竹」を一席。僕は立て弁好きなんで当然「金明竹」も好きだけど、意味はほとんど分かっていない。ラップみたいなもんだ。でも染雀さん作の詳細な資料が入場時全員に配布されて、それに基づき授業スタート。道具七品は最初の二つが刀剣で残りが茶道具だそうだ。すごく理解した気になる。この次「金明竹」聴いた時受け止め方が違ってるかもしれない。繁昌亭の舞台がこれだけアカデミックにみえたことは初めてだ。
染雀さん、家庭教師については、自分は昔からよく知ってて乳母どんみたいなものなんで多分そこそこ優しいと思うけれども、一度二人一緒に教えた時たまさんの厳しさに驚いたそうだ。

そんなたまさん、家庭教師は人にものを教えることの難しさがよく分かったと。結論はやる気のない相手にいくら教えようとしても無理だ。別に勉強する必要ないし、興味を持てることを伸ばしていけばいいのでは。
ネタは「おとぎ噺殺人事件」。わらしべ長者こぶとりじいさん狂言回しになって、いろんなおとぎ噺しの主人公が次々登場しては死んでいく。で犯人はだれなのか、という噺だ。白雪姫は主人公に向いてないとかいうのがおかしい。桃太郎とかのメジャーキャラとおやゆび姫とかのマイナーキャラがいて、それぞれ役回りがある。楽しい噺だ。
後半の授業はたまさんが京大を目指した動機と、落語家「笑福亭たま」が誕生するまでのプロセスの話。プログラムのテーマは結局全く触れられなかった。でもこっちの方がきっと面白かった。それまで落語をまともに聴いたことなかったのに、就活に際して選択枝のひとつとして落語家が登場し、結局それになった。結果から振り返ると京大は必要なかったと。

最後はあやめさん、今日は授業の中では大半がお母さんの顔で、そういう面では世間の母親と変わらない素の部分が出ていてなかなかよかった。
ネタは「3年2組の高田くん」、剣道部の高田くんが好きになって何度もアタックするけどことごとく墓穴を掘って失敗するという、「源太と兄貴・純情編」の学校版みたいな噺だ。でも女の子が主人公でこんな噺をつくれるのが、あやめさんならではだ。
最後にあやめさん、「特に学歴とかに関係なく、いろんなかしこの会を、これからもやっていきたい。」これは楽しそうだ。

なかなか珍しい会だった。やっぱりここでも、あやめさんのプロデュース力が光る。染雀さんとたまさんという身近にいる二人をつかって、更に娘さんも取り込んで企画をくみ上げる。よくできていた。第二弾、第三段も楽しみだな。