2016.1.13 【雀三郎一門・梅田にぎわい亭@大阪市立総合学習センター】

【雀三郎一門・梅田にぎわい亭】

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今回で52回目を迎えるそうだ。雀三郎一門のにぎわい亭。城北から千林に移ってついに今回から梅田進出。それも大阪駅前第二ビルの中という、えらくメジャーな場所だ。でも常々梅田の落語会が少ないとブツブツ言ってた僕にはいい情報だ。特にこの場所だと、阪急降りてから地下だけ通って行ける。
千林時代に2度ほど行ったことがあって、とても楽しい会だった記憶がある。また地域寄席特有の押しつけがましさも何も感じなかった。大体、地域寄席がそのエリア内で会場が変わるのはよくある話だけど、エリアそのものが何度も変わるような地域寄席はあまり聞いたことがない。そんな意味でも主催者や演者の方が柔軟に考えているからこそだろう。
昼夜二回公演で僕は15時の昼の部に行った。キャパの80人が平日昼でも一杯だった。

雀太 / 子ほめ
雀五郎 / 替り目
雀喜 / 抜け雀
雀三郎 / 崇徳院
抽選会
(三味線) / 内海英華

雀太さん、そういえば去年の体調不良から復帰後初めてで、かつ「子ほめ」も聴いたことなかった。半年ぶりぐらいだけどやっぱり面白いな。この人の落語口調というか、独特のためてずらすような間が好きだ。こんな間でしゃべる人時々いるけど大概タイプになっている。そして、当然世代を代表する人の一人だと思うし、今日の「子ほめ」でも、一般的な子ほめと大きく変わらないんだけど、フレーズごとに面白いのですごくたっぷり感があった。
体調不良から回復して本当によかった。

雀五郎さん、「替り目」は先日の高津で聴いて以来二週連続。今日も下げまで。この噺中盤の「お前まだおったんか」で切る人多くて、それでも十分面白いし、嫁の可愛さも強調されいい終わり方だと思うけど、やっぱり下げが演題の根拠になってるので下げまで聴きたい。雀五郎さんのは、うどん屋との対応のあたりから後半粘っこくておもしろくなってくる。先週も言ったけどもう完全にレギュラーメニューだな。
ただ、2週続けて気になったことが一つあって、下げの「ちょうど銚子の替り目です」の、銚子の替り目を一気に言ってるけど、銚子のと、替り目の間に、ほんの一呼吸置いた方が下げが強調されてよりスコンと落ちるように思うのだけど。

次は雀喜さん、まくらでまたもう一昨年になる骨折のことを。岩手でやってしまったんだな。それは大変やったやろな。だから自戒もこめてまだ話題にしているのかな。骨折については気持ちはとてもよく分かる。二度とできないけど、またする可能性十分にあると思うとね。
それと、声が不調て言ってたけど、むしろ何かやせた気がした。
ネタは「抜け雀」、雀喜さんも僕は新作派だと思っているので、新作派の古典という見方になるともう少し個性的でもいいのではと思ってしまいがちだけど、雀喜さんは新作も爆発的な方向に行く人じゃないから、何て言うか、箱庭を俯瞰したような面白さが雀喜さんの新作にはあると思う。そこから古典をイメージすると、ネタの選択が大切なのかもしれない。

最後は雀三郎さん。この個性的な一門の総帥は当然更に個性的だけど、僕らにしたらそろそろ新しいお弟子さんが必要なのではと思ってしまう。
今日のまくらは珍しく自分が中退した龍谷大学の頃、全共闘が学内でジグザグデモをしていた話、学内封鎖で後半は大学に全然行かなかったと。70年安保の頃だな。確かにそんな時代だった。でも反面、当時はj雀三郎さんの「ああ青春の上方落語」の時代でもある。当時はこんなのが若者の風俗の中で共存し得たんだ。
で、ネタは「崇徳院」。これはもう貫録の面白さだ。何といっても熊はんがいい。冒頭若旦那の部屋で大声を出すところで客席をつかみ最後まで離さない。達者な人の達者な噺を聴くと、落語は演者のものという言葉が明確に分かる。そして、だからこそ同じネタを何度でも聴ける、ということになる。

四席全部楽しかった。で、この一門の力を改めて思い知らされた。

雀三郎一門の本拠は当然「雀のおやど」だけど、僕は座敷が嫌いなので行かない。だから聴きたい気持ちが聴く機会をずっと上回っている状態が続いていたので、梅田にぎわい亭は大歓迎だ。しかも昼夜2回公演、何としても毎回行きたいと思う。そして梅田エリアは街の規模の割に落語会が少ない。他の方たちももっと梅田に進出してほしいととても思っている。