2016.1.2 【南天紅雀の百年長屋落語会】

【1/2・南天紅雀の百年長屋落語会】

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去年の1月2日・3日、森ノ宮と玉造の間にある、百年長屋という実際に築100年以上の建物で30名限定の落語会が開かれた。まあ、「べにてん」の特別バージョンなので、すぐに完売。とても楽しい会だった。で、今年も同様の会が同じ日程で開かれることになり、素早く情報を聞きつけたファンの間でまたすぐに完売した。外観の写真はとれなかったけれど、内装とあわせてなんとも風情のある建物で、これも人気の一因だと思う。
正月には関西でもサンケイブリーゼの米朝一門会や繁昌亭の特別興行を始め、特別な落語会がいろいろ開かれるけれども、僕は「気分はご参詣」と「百年長屋落語会」の二つが断然メインになる。

紅雀 / 宿屋仇
中入り

後で気がついたけどネタは南天さんのメールで出ていたんだ。トークがあるからか、まくら短めで「初天神」。南天さんが言うように本来1月しかも後半のかなり短い季節限定ネタだと思うけど、実際には冬が多いとはいえ一年中かかるし、ベテラン、若手、そして東西問わず聴く機会が多いオールラウンドなネタになっている。それだけ使い勝手がよくて、聴き手にも好きな人が多いのだろう。同じように短い季節限定ネタの「野崎詣り」なんか極限られた期間以外はほとんど聴かないけどね。
それで、南天さんの初天神はあまり聴いた印象がないなと思っていたら、2度目だった。冒頭からの嬶と二人の会話に寅ちゃんが帰ってきて、そっから向いのおっさんとこに行って、ていう流れが一般的にとてもよく出来ていて、普通にすれば大概面白いと思う。南天さんのはちょっと濃いめで、特にお父ったんが賑やかしくていい。この辺りは親父が主役だ。それと個人的なこだわりが、向いのおっさんが寅ちゃんに「ちょっと待って」て言う時の間と手を出すタイミングにあって。南天さんもすごくよかった。

続いて紅雀さん「僕の今年の目標は南天兄さんと二人で旅行に行くことです」。
そこから「宿屋仇」、好きなネタだ。この噺の最大の見せ場は侍の部屋と隣の三人組の部屋との場面転換が繰り返される中で、はめものの音が大きく聞こえたり小さく聞こえたりが続くところで、自然に聴かせる演奏者の力量が必要になってくると思うのだけど、なんと今日は三味線なしだった。紅雀さんでこの噺初めてだったので、なんとも言えなかったけど、ちょっと別の噺のようだった。どちらがいいのか。三味線なしで、ある時同様の場面転換を感じさせたら名人芸なんだろうか。紅雀さんの意図を聞いてみたかった。
後半になってトラブル。紅雀さん侍の名前を間違えたと思って噺を止めた。しかし実は間違ってなかった。再開してスムースに下げまで。こうして聴くと長い噺という印象が強い。

休憩時に、ゆず茶、緑茶、コーヒーがふるまわれた。ゆず茶が圧倒的人気でおいしかった。こういうちょっとしたことでもみんなうれしいものです。

そしてトーク

南天さん、いきなり紅雀さんのトラブルを突っ込む。更に11月の紅雀独演会で「たちぎれ線香」の下げを間違えたと傷に塩をぬり込むように。「お仏壇の線香が、ちょ~ど立ち切りました」、を三味線がと言ったと。「もう、たちぎれ線香やなくて。たちぎれ三味線にしたらどうや」と、攻撃の手を緩めない。僕はその独演会の現場にいたので言っとくと、南天さんのを聴くと完全に間違えたように聴こえるけど、そうじゃなくて「しゃ」、の半分ぐらい言いかけて訂正しただけです。でも落語よく聴いてる人にはすぐに分かったと思うけど。
引き続き今日のトラブルについて、紅雀さん「流れでしゃべってるような状態になってくると、ふとそう思うと間違えてる時があるんです」。紅雀さんは天災肌なので、かってに口が動いてしゃべってるようなことが他の人より多いんだろう。南天さんは「そういう稽古と、きちんと一言一言噛んで含めるような稽古と両方やらなあかん。」

紅雀さんの南天愛については、あっさりと「そんなん行けへん」。まあ、ひろばさんと同じで仲がいいのでしょう。
後、最近テレビ、ラジオに出てる南天さん、「僕らが若いころは噺家がちょっとした仕事でもテレビラジオによく出てたけど今はほとんどない。だから最近ねたまれることが多い」と。僕らはその噺家さんが楽しい落語を聴かせてくれればそれでいいだけだけど、そら売れるに越したことはないと思う。
南天さん、更に今年京都府立芸術文化会館のホールで独演会ができそうだと。枝雀さんが毎年正月明けに独演会してたホールで、お客さんが重いので有名だったらしい。京都の客は確かにそんな傾向少しはあるだろう。
まあ、大阪の南天ファンが大挙押しかけるでしょう。

ということで2時間半、落語2席で2時間半。楽しい時間はお開きになったけど、また明日もある。