2015.12.28 【年末緊急演芸会・デスパラードな芸人たちvol.2@繁昌亭】

【年末緊急演芸会・デスパラードな芸人たちvol.2】

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すっかり正月仕様になった繁昌亭で、暮も押し迫ったこの時期に開かれたのが「年末緊急演芸会」、確か前回も同じメンバーで開催されて話題になったはず。とにかく、たまさんがすごく普通にみえるというとんでもない顔ぶれで2年ぶりに帰って来た。何が起きるのか想像がつかない。

ぽんぽ娘 / 悦楽落語・乱子の恋
ナオユキ / 屈折漫談・愚か者列伝
たま / 超常落語・三味線アリ
中入り
テント / 絶滅漫談・師走れたテント道Ⅱ
福笑 / 激痛落語・入院
(アヘアヘ三味線) はやしや香穂

ぽんぽ娘さん、テレクラのさくらで働く女性が本当に相手に恋をしてしまって会いに行く。そして失恋して……。
そんな噺なんだけど構成が秀逸だ。まくらからネタがシームレスでネタに入っても地語りが続いているようで会話になっていたりとか。この人の創作落語はかなりスリルを感じるものが多い。ただ個人的にはまくらからあまりにもストレートな下ネタが多すぎるように思う。このあたりは耐性の問題だから人それぞれだろうけど、もうちょっとゆるめた方がネタの良さが際立たないかな。

続いてナオユキさん、先日の九雀さんはだかさんとの三人会同様に時間はたっぷりあり、ネタも酔っ払い系の同じものも結構あったと思う。でも、今日も爆笑だ。なんていうか、一つ一つのネタが短いので、聴いたことあるかどうかの判断よりも身体が先に反応してしまうような面白さだ。で、今日も客席をきっちりチェックしている感じだな。だけど、いかにもいそうな酔っ払いを創り出すのがすごく上手い。すべるとしたらどんな状況の時なのかな。

中トリでたまさん、長めのまくら。愛媛で文枝さんと同宿になった話、5倍の時間を生きてる人、ものまねというか振りまねかな、それでも爆笑。帰りの飛行機も同じでタルトをもらって……。なんか文枝さんがすごく愛すべき人に思えてくる。で、この後また書けない話題に入っていった。
ネタの「三味線アリ」は随分久しぶりだ。たちぎれ線香の小糸の呪いで身体が段々三味線に変わっていく男の噺だ。たちぎれの説明のために、たまさんダイジェストたちぎれを噺の中で1分ぐらいでやってみる。
余談やけど、たまさんのたちぎれは、番頭とかを奥に追いやって、若い二人にすごくスポットをあてた解釈で一度聴く価値ありです。
話は戻って、そんな訳のわからない設定から、小糸の三味線を探さないと呪いは解けない。となって、彼らは繁昌亭に向かう。そこで、春団治さん、文福さん、文枝さんとかに聴くのだけど埒があかない。ここでのものまねも見せ場だ。そこから、多分後半は短くなっていたように思う。そして、文枝さんが見つけてくれた場所でさげる。
なんか、文枝リスペクト落語だった。

中入り後はテントさん、4~5回目だと思うけど、自称つちのこ芸人でめったにみられない。確かにそうだけど、こういう人のライブを文章で表現しても何の意味もないように思う。演芸好き、お笑い好き、芸事好きを自認する人はライブスケジュールにテントさんの名前を見つけたらぜひ駆けつけて、この世界に浸ってほしい。
ただ、今回は人間パチンコがなかったのが残念だった。
このひと楽屋とか打上げでどんなしゃべりしてるんやろか。

最後は福笑さん、まくらからなんかいつもと感じがちがうなと思っていたら、テントさんの名前を出して「あかん勘が狂う」。この人普段から高座では他の噺家や共演してる芸人のことにほとんど触れない。唯一の弟子であるたまさんのことについても同様だ。「俺は俺やからこの高座できっちり客を笑わせたる!」そんな思いをいつも客席に伝えてる人だ。でも今日は勝手が違ったようで、やっぱりテントさんが舞台に残した気みたいなものがあったのか、まくらは手短に切り上げてネタに入った。
「入院」は神経性胃炎と診断されて入院した男が病院内でドタバタを繰り返す福笑さん得意のイレギュラーな日常ネタだ。受けてるんだけど、いつもと違って素の福笑さんがチラッと顔を見せる。なんか不満そうやったけど、僕はいつもと違う光景がみられて楽しかった。

それにしても、笑福亭福笑のリズムまで狂わせるテントとはなんという芸人なのか。

てことで、2年ぶり2回目のこの会楽しかった。また忘れたころにやって欲しい。
本当はこれで今年の落語納めにするのがきれいだけど、欲があるのでもう一回です。