2015.12.25 【新世界南天の会@動楽亭】

【新世界南天の会】

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今年最後の南天さんの会は動楽亭。以前いつのまにかなくなったこともあったけど今年は最後まできて、来年にはまたいろんな会が決まっている。やっぱり今推されてる噺家さんなんだろう。まあ、僕らにしたらラジオ出てもテレビ出てもドラマシティで自分の会しても、南天さんは南天さんやけどね。
それと、今日初めて気がついたんやけど、開演前と中入りの時に僕の好きな1950~60年代のいいジャズが結構なボリュームで流れていた。南天さんジャズ好きなの?
ということで音楽で頭の中がクリアになって開演です。

染八 / 浮世床
南天 / 代書
ねこまんま(南天・雀喜) / 漫才
中入り
南天 / 胴乱の幸助
(三味線) / 豊田公美子

染八さん、出てきた時からうまいけどなんか老成してて若さを感じないなと思っていた。その印象は今も変わらないけど慣れてきたのかあまり気にならなくなってきて、特に今日の高座は勢いを感じた。暇な若いもんが床屋に集まってうだうだ言うてるていう、とても落語らしい噺で好きなんだけど合間合間のはじけっぷりが良かったな。でも僕も古典にあのメガネは似合わないと思う。必ずしもメガネ絶対だめとは思わないけど、白ぶちメガネで浮世床だと噺の世界観が伝わりにくくなる。

南天さん一席目、まくらで1/30の「南天をしごく会」の話、ざこばさん、文珍さんの共演があるとは言え900人キャパのシアタードラマシティで三席ネタおろしで、しかもABCラジオの生中継が入る。これは相当画期的なことだ。これについてまわりの人がいろんなこと言うけど、やり遂げるだけだっていう決意表明に思えた。
ネタは「代書」。ネタおろし以来かなりの回数聴いていて最初南天さんには合ってないと思っていたけど、すぐに手の内に入れた感じでいろんなくすぐりが増え続けててんこ盛りになっている。多分今現役の人の代書の中では一番楽しいと思うのだけど、ここまでくると時にはもうちょっとあっさり目も聴きたくもなってくる。
後、この噺でいいところは南天さんの顔芸を堪能できることだ。表情でも魅せてくれてまさに全身つかった高座になってる。

次は、ねこまんま南天さんと雀喜さんの漫才コンビで年に何度かの舞台でファンにはおなじみだ。衣装は白のシャツ白のパンツに真っ赤のジャケットと蝶ネクタイ。伝統的な漫才スタイルだ。背の高い南天さんが右の立ち位置でボケ担当、左の雀喜さんがツッコミだ。雀喜さん髪伸ばして横わけしたのをいじられてたけど、漫才のためだったみたい。
ネタは2015年を振り返って。いろいろあったことが次々出てきてすごくテンポがいい。やっぱり落語の中でたまに漫才聴くとそのスピードがうれしくなる。途中南天さんのボケを雀喜さんスルーした時、南天さんが「突っ込まんか。アドリブに弱い!」と言ったのはご愛敬。今まで聴いたねこまんまの中で一番よかった。

中入り後は南天さん二席目、「胴乱の幸助」久しぶりだ。以前はよく聴いてたけど、最近あまり掛けてなかったのかな。この噺、前半の喧嘩と仲裁の下り、稽古屋の場面、そして京都に行ってからと場面転換が多いというか、ややとってつけた感もある噺で、下手うつととても間延びしてるように感じる。結構大ネタだ。しかし「立って立ってんね」いうのは誰が考えたのか名フレーズやね。この一言で、喜六(名前は出てなかったか)の性格を聴き手にすっかり印象付ける。南天さん少しテンション高めも安定して受け続ける。そして京都で帯屋で一気に大スペクタクルとなってスコンと下げる。

ところで、これは「桂川連理柵・帯屋の段」といって、おそらく落語ファンの間では一番有名な浄瑠璃だと思うけど、僕が文楽にはまって3年半の間には大阪の本公演で一度も上演されていない。いつになったら本物を聴けるのか。
それはともかく、今日も南天の会は楽しかった。まだ落語会は年内何度か行くけど、南天さんは今日で最後だ。この1年間毎月楽しませてくれたのを感謝して、来年もよろしくという気持ちだな。