2015.12.17 【桂吉弥のお仕事ですSpecial四日目@島之内教会】

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吉弥さんが企画した今回の6日連続落語会、各2席計12席の中でネタおろしが4席、そしてそれ以外は大ネタ、いいネタがズラリ。魅力的な落語会だ。
そしてもう一つ話題なのは、開催場所かあの島之内教会ということ。今もトリイホールで続く島之内寄席、それが上方落語協会唯一の定席として昭和47年にスタートしたのがこの島之内教会だ。ただ、ここでは約2年しか開催されずその後場所を転々とすることになるのだが。昭和47年というと、雀三郎さんの「ああ青春の上方落語」で歌われたちょうどその頃。僕自身もまだ、というか既にというか10代で、落語は好きだったけどライブに接するにはもう少し時間が必要だった。だから僕にとってはこの島之内教会での島之内寄席はは、言わば伝説の寄席。
そこで吉弥さんが6日連続落語会、これは行かないと、ということになった。

慶治朗 / 子ほめ
吉弥 / 餅屋問答
紅雀 / かぜうどん
中入り
吉弥 / 仔猫

二番太鼓が鳴った時、昨日まで行った人が言っていたように、音響的にすごくいい。漆喰の壁の反響で楽器のライブ感がすごい。そして上がった慶治朗さん、この人何度か聴いていて実に明朗で爽やかな落語をする人だと思っていたけど、今日はマイクなしの演者の声も気持ちよく反響して気持ちよく帰ってくる。「子ほめ」客席は暖まりすぎるぐらい暖まった。

吉弥さん一席目はネタおろし、何かなと思っていたら「餅屋の噺をします」ということで「餅屋問答」好きな噺だ。
余談だけど、僕は吉弥さん餅が似合うと思っている。「蛇含草」なんかとてもいい。
最後の問答の馬鹿馬鹿しさが肝だけど、それまでは考えればほとんど何もないような噺。落語では珍しく謎解きの面白さも出てきて、吉弥さんらしくふわふわと噺が漂って下げた。

続いて紅雀さん、かなり鉄板の「かぜうどん」、酔っ払いが上手な噺家さんはいくらでもいるし、飲まない人の方がうまかったりもするけど、紅雀さんの酔っ払いは2-3本ねじが飛んでる。どっからこういう所作や言葉、というか単なる音だけど、が出てくるのか、全く予測が付かないのが楽しい。天才紅雀だ。でもさげはもっとあっさり下げるのが僕は好きだな。後半のうどんの食べ方がユニークでたまらない。

最後の吉弥さん「仔猫」。おなべが、不細工やとか変わった顔やとか散々言われるけど、この噺は前半で客席がおなべに感情移入してしまう方が後半が活きてくるように思う。だから今日でも不細工と言われてもおなべが可愛くみえてくる。既にここで吉弥さん上手いなと。で、後半おなべの正体があばかれ、なんとも凄惨な話になるけど、番頭の最後の下げで救われる。これが落語らしくて聴き手を少しほっとさせる。この後おなべはどうなったのか、そんな余韻も感じさせる。そういう噺だから凄惨でもよく掛かるんだろう。

今日は噺ももちろんよかったけど、もう音がびゅんびゅん飛んできてしかもうるさくない。僕はこれだけ落語会に通ってるけど、こんなライブ感の落語会はほとんど記憶にない。これだけ天井高いのに音が降ってくる。みるとここで日々いろんなイベントしてるみたいだし、吉弥さんだけでなくみなさんここで落語会やってほしいな。何より今存在価値がうすれてきてる島之内寄席をここに戻せば、また活性化できるように思うのだけど。

とにかく大満足な会だったので、つい明後日土曜日のチケットも買ってしまった。吉弥さんは猪買いと住吉駕籠、ゲストのまん我さんは井戸の茶碗。いいネタ並んで楽しみだ。
そして、僕は行けないけど明日の金曜は祭壇の前の高座で、十字架の前で、米紫さんがあの「宗論」をする。落語ファンのみなさん、まだ2日あります。少し無理してでも行く価値の大いにある会だと思いますよ。