2015.12.8 【小三治三三親子会@西宮芸文中ホール】

 【小三治三三親子会】

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ろべえ / 道灌
三三 / 五貫裁き
中入り

実は小三治さん初めてだった。東京の売れてる噺家さんの中には、地方には独演会で行くのに大阪にほとんど来ない人が割といる。小三治さんもその一人で、神戸では独演会してるけど、大阪にはほとんど足を踏み入れない。僕の落語を聴く基本的なスタンスとしては地元ではそういう人を無理に聴きにいかない。東京に行った時機会があれば聴きたいと思っている。ただ、今回は西宮での公演なのでそら行かなあかんと。もう一つ僕は、現役の噺家さんでライブで聴いたことないひとは YouTube とかでみないことにしている。だから小三治さん今日が全くの初めてだった。
感想は、すごくいい。どうどうめぐりみたいなまくらのうだうだ感、まるでまくら振りながら何を掛けるか考えてる噺家の頭の中をそのまま覗いたようなしゃべり、そして朴訥とした表情。どれも他ではみられないもの。で、まくらからシームレスにネタに入って「うどん屋」。上方の「かぜうどん」だ。この季節にぴったりな好きな噺だ。
所作がことごとくいい。うどん食べるのはもちろん、鉢の扱い方や棒の担ぎ方歩き方。身体全体が一つの作品のようだった。次はぜひ東京の寄席で聴きたい。

三三さんは以前はよく聴いていたけど最近はご無沙汰で調べたら3年半ぶりだった。なぜ聴かなくなったかと言うと上手すぎるから。あのキャリアであのこなれ方、逆にこの先どういう方向に行くのかなと思っていた時に、同じこの中ホールで北村薫さんとのコラボ公演があった。落語ファンであり北村薫ファンでもある僕としては当然出向くことになる。しかし、スーツ着てどこかにもたれて噺を語る三三さんに僕は違和感を覚えた。
今日はそれ以来だ。「五貫裁き」、もちろん上手いし面白い。だけど何かはじけていない。最近はこういう感じなのか。親子会というからにはもう一本の柱でしかも一席しかしないわけだからもっと密度の濃いものをみせてほしかった。まさか師匠に遠慮したわけでもないと思うのだけど。

ろべえさんはしゅっとしてた。

この会全体としては、小三治さんを聴けた成果はあったけどやはり物足りない。僕がホール落語好きでないこともあるけど、5500円という価格設定を考えたら不満が残る。また同じ会場で同じ会があってもまず来ないと思う。小三治さんは東京の寄席で聴けるよう努力しよう。

親子会ということなら、来年の1月3日に同じ中ホールで行われる「福笑たま親子会」の方を僕は圧倒的に支持したい。