2015.12.4 【できちゃったらくご@動楽亭】

 【できちゃったらくご】

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4日で今月3度目の動楽亭、マンションの1Fがコンビニで、この写真左端の外部階段をあがった2Fが寄席スペースになってる。外観はこんなんで寄席小屋らしくて、落語ファンはひょこひょこ通ってるけど、実はこの界隈は大阪でも指折りの怪しげなエリアにいろいろと囲まれてる。まあ、地下鉄の階段上がって徒歩30秒ぐらいやからそんなことほとんど意識しないで着くんやけどね。
てことで今日は「できちゃったらくご」。メンバー固定で定期的に開かれている新作ネタおろしの会。客席もマニアな人たちが集まる。今日は40人ぐらいか。たまさんが確認すると、できちゃった初めての人がかなりいた。そんなことでいつもより少し多目の感じで開演だ。

三幸 / 宇宙への道
南湖 / 忠臣蔵の密室
たま / 五言絶句
遊方 / ガウト
中入り
三風 / 胸が痛い
あやめ / 仮装忘年会
(三味線) / 佐々木千華

いつもオープニングで全員舞台にあがりじゃんけんで出番を決める。まだネタ制作中の人も多くて、少しでも後の出番を取ろうとこのじゃんけんがいつも白熱する。今日は他の仕事で遅れるあやめさんがトリ。不本意ながら旧作をかける三幸さん、南湖さんが最初で、残った3.4.5の出番をめぐって三人が激突、結局たま~遊方~三風となった。

最初は三幸さん、レギュラーの三金さんが休演で弟弟子の三幸さんが代演になった。今日この会初めての人はどうも三幸さんのお客さん中心のようだ。ネタは少し前におろした「宇宙への道」。年に一度しか家族の元に帰れない父親の話。結構面白かったけど、このメンバーに入るとすごく控えめにみえてしまう。前に出てなんぼの会だから。

次は南湖さん、「忠臣蔵の密室」は作家の田中啓文さんの作品。こいういう史実を少し斜めから見たような作品を南湖さんがうさん臭く語るのがいい。嘘をホント、本当をウソのようにみせてこそ講談師だと思う。そうやってストーリーに引きずり込むのが南湖さんの腕だ。

たまさん、学校寄席にあやめさんたちと行った時の話から。あやめさんとの学校寄席の話以前も聴いたけど今日とは別の話だった。よほど楽しい道中なんだな。生徒が少しうらやましいな。ネタは「五言絶句」、中国の詩のことで、声に出してよむとすごくリズムがいいので落語に合ってるかな。古典をベースにしてるの分かるけど、構成はなかなかの完成度だ。そして下げもバシッと決まった。たまさんの新作群の中では順調に育っていきそうにな予感がする。

次は遊方さん、小軽さんがライオンにかまれた時同じ檻の中に八方さんもいたけどかまれなかった、という話は僕は思い出さなかった。当時は噛まれた方ばかり話題になったけど。そこから卒業式のサプライズゲストに校長が手違いで無名の歌手を呼んでしまい騒動が持ち上がる噺。着想がすごく面白そうなんだけど、ストーリーのテンポが遅すぎるかな。まだまだ練られると思うのでそれに期待だ。

中入り後は三風さん、「胸が痛い」は、痛みを訴える夫とボケたおす妻という構図で噺がすすんでいくけど、やはり時間不足だったのか後半に入ると噺が停滞しだした。こちらの噺も今後に期待だ。

トリはあやめさん、ケーブルテレビの収録を銀瓶さん、花丸さん、英華さんたちとやっててオープニングに間に合わなかったと。で、昨日は体調が悪い中で自宅でほとんど寝ながら今日のネタを書いていたらしい。噺はハロウィーンに影響された会社で仮装忘年会をすることになり、そのそれぞれのキャラとコスプレがよく出来ている。そして、彼、彼女たちが買い物とか称して外に出ていきたがる。誰かが出て帰ってくるとその興奮状態が他のメンバーにも感染して次々外出して騒動を巻き起こす。最後はとんでもないことに、というあやめさん得意の楽しい群像劇だ。普通の落語会でもほとんどこのまま掛けられるくらい完成度は高かった。タイトなスケジュールでもここまで創り込んでくるのはさすがだ。

以上いつも通りたっぷりだったけど、三金さんがエンディングには並んだけど、出番は休演だったのが淋しかったな。やっぱり6人全員のキャラが味わえてこその「できちゃった」だと思う。新作てのはやっぱり追い込まないとなかなかできない部分もあるのだろう。その演者が苦しんでるのをみられるのもこの会の楽しみのひとつだ。