2018.10.23 【岡町南天の会@豊中市立伝統芸能館】

【岡町南天の会】

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さて今日は 「岡町南天の会」 なんだけど、今日はこの会では初めての平日昼開催だ。動員はどうなのかと思っていたけど、いつもの土日昼開催同様に、予約だけで早々に完売していた。
この伝統芸能館は阪急宝塚線梅田から各停で7つ目の岡町駅にある豊中市の施設になる。そして最近郊外の会場としては珍しくプロだけでも定期的な会が六つも開かれている。これだけ落語会があると地域でもすっかり定着してきているのか、どの会もかなりの賑わいをみせている。ただ、客層はやはり太融寺の会とかと比べると年齢層は高くて地元の人が中心になっているようだ。でもその辺りもある意味南天さんの狙いなんだろう。こんな客層の中で南天さんがどんな落語を聴かせるのか、楽しみで開演を待った。

南斗 / 秀吉の初陣
南天 / 親子酒
文鹿 / おみくじ製作所
南天 / 幸助餅

開口一番は講談の南斗さん。先月の雀五郎さんの会で初めて聴いて以来二度目になる。前回聴いた時予想外に濃い高座に少し驚いたのだけど、若手なのでもっとあっさりしてると勝手に思い込んでいたこちらが足元をすくわれた。そして、それが二度目だとすっかり個性に感じられて楽しく聴くことができた。しかし、講談の常だけど、本当にいいところで終わるな。

南天さん、今後岡町の会は昼開催を基本に考えるとのこと。やはり演者の方々もいろんな客層の前で落語する方が楽しいのだろう。そして今日の共演の南斗さん、文鹿さんのことに触れる。文鹿さんはインドで新作をつくっていてかなり変わっていると。そこから噺は 「親子酒」。ネタおろしだ。この噺、親子でベロンベロンの応酬が見せ場なんだけど、冒頭から相当しつこい親父と能天気に明るい息子が対照的で爆笑を誘う。そして、やはりネタおろしか思わぬショートカットになりそうでドキッとした。でもそれは別にして、いい完成度だと思うけどね。次聴くのがとても楽しみだ。

続いてゲストの文鹿さん、着物に鹿の紋で左右非対称は珍しいと。そして、「おみくじ製作所」。聴くのは2回目なんだけど、南天さんに演題を10ほど送ったところ、うさんくさそうだから、という理由でこのネタが選ばれたと。そして、いろんなところのおみくじ解説。伏見稲荷のおみくじが17種類もあるということに驚いた。そこから同期がいろいろ活躍しているという話になって、これが本編での仕込みになる。吉弥寺とか京都の米紫寺とかいろいろ出てきて楽しい。だけどこれ、他の会場で、もっと落語に詳しい人多ければ更に受けたと思う。「坂下ー」 のコールに客席はほとんど反応しなかったもんな。文鹿さんの新作はこういう楽屋落ち的なギャグがよくあると思うけど、どんな会場でも同じようにかけて受けるのは自信の表れなんだろう。
でも同期で下から2番目、には笑ったな。

最後は南天さん、もう一席は 「お楽しみ」 だったので、なんだろうと思っていたら、相撲の話になって、まさかまた「花筏?」 と思ったら 「幸助餅」 だった。南天さんでは何度も聴いているけれど、ゆったりとスタートした。最初に出会った場面で雷の貫録が見事。ここでは余り悪っぽくない。幸助のやり取りで、贔屓筋の怖さというか、はまったらどうしようもなくなるのを丁寧にみせる。そしてせっかくの三十両を雷に渡してしまう。そして驚いた大家が雷のいる店に三十両返してくれるkとを頼みに行った時の雷の悪態、これが見事だ。南天さんの落語には余り登場しない憎々しさだ。そして結果的には女房が女将に頼んで再度借金をすることになる。そこから幸助は一年発起し店を再建する。そして三度目雷登場。更に悪態、幸助追い返そうとするも、雷の真意がわかり大団円となる。
とにかく、雷と幸助の心の中と外面とのギャップと変化が次々に現れる噺で、それが十分堪能できた。

ということで今日も4席中入りなし。僕はこれぐらいのコンパクトな会が一番好きで、長引く会はアフターの予定にも影響する。今日も約100人ぐらいか、満員の客席。新しい客をある意味南天さんが育てていくんだろう。そんな点からみても 「岡町南天の会」 これから先も楽しみだな。