2018.8.15 【岡町落語定食@豊中市立伝統芸能館】

 【岡町落語定食】

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最近新しいのもいくつか始まり、長くやってる会も合わせて落語会の開催がとても多くなってきている岡町の伝統芸能館。僕は二つ隣が最寄り駅で地元みたいなものなので、極力出かけたいと思っている。そしてこの 「岡町落語定食」 もこの5月が初めてで、今日が2回目。前回来れなかったのだけど、食た人の話ではとても面白かったそうで、実際みただけで間違いなく面白そうな顔ぶれなんだけど、とにかく楽しみで開演を待った。

幕前トーク / 紅雀・まん我・鯛蔵
鯛蔵 / 荒大名の茶の湯
まん我 / 応挙の幽霊

開演10分前、幕前に三人登場してトーク始まる。今回はまん我さんがトーク主任でセンターに立ち右ヒザ負傷の話が始まるも、右の紅雀さんが押して舞台から落ちそうになったため左の鯛蔵さんと立ち位置入れ替わる。その後ずっと右ヒザの話が面白おかしく続く。十字靭帯と半月板の損傷ということで大変そうなんだけど、さすがにそれをネタにして大爆笑だった。でもまん我さん少し心配だな。

落語は鯛蔵さんから。まくらで大阪の話。なんでも笑いにする、たとえ災害にあっても 「もうわやですわ」 とか
言いながら笑いにかえるのはある意味大阪人の優れた資質だ、みたいな話。広島出身で、東京の大学行って、大阪で噺家になった鯛蔵さんならではの視点で、このまくらはいつも面白い。そこからネタは 「荒大名の茶の湯」、豊臣の7大名が茶の湯をやって勝手が分からず、前の人を真似てしまう可笑しさだ。元々は講釈ネタということで、確かにあまり落語的でなく感じるけれど、それも意外性で面白い。鯛蔵さん、こんな噺もするんだな。

続いてまん我さん、正座椅子というか、小さな椅子使って座る。見た目そんなに違和感はない。元々昔から悪かったのが今回悪化したそうで、そこから人工関節では正座できないとか、地味な病気だとかいろいろ。噺家さん正座できなくなったら大変だもんな。で、噺は 「応挙の幽霊」、まん我さんで何度か聴いているけれど久しぶりだ。この噺、まん我さんのイメージがすごく強いんだけど、幽霊が掛け軸から出てくるところ、酒を飲んで酔っ払うところなんかで幽霊が楽しそうなのがいい。そして、そんなゆったりとした情景がまん我さんの少しためるようなしゃべりにあっていて気持ちよく聴ける。これも鉄板ネタだな。

そして最後は紅雀さん、びわ湖の花火に行った話、ボクシングの会長の話で爆笑。そして 「船弁慶」 だ。僕の大好きな夏噺で、これまでかなりいいのを聴いてるつもりだ。そして紅雀さんでは初めて。で45分ぐらいか、大熱演で大爆笑だった。割り前になげく喜六。帰って来て声を張り上げるお松、「あつやのおー」。この立て弁、終始いいリズムをキープしながら、声の大小、スピードを緩めたり飛ばしたりと変幻自在で、むちゃくちゃしびれた。そしてお松が喜六が着物着替えてるのに気づいた時の表情、ためてためて爆発。ここでも大爆笑。で、僕の好きな後ろに清八がいると言われて豹変するお松、うちわであおぎまくる場面が続く。とにかくこの一連のお松大活躍の場面でこれほど自然に爆笑の波が続くのはそうはない。更に喜六が焼き豆腐買ってくるのを忘れてお松に折檻される場面もたっぷりとみせる。もう船に行くまでに笑い疲れたけれど、夕涼みにやって来たお松と隣の女房、この会話も結構長くて、お松が船に乗り込む場面につながる。そこからはいつもの下げに。だけどやっぱり 「天才紅雀」だ。
僕はこのブログでは、同じ演目について誰の方がいいとか、このほうが好きだとかの比較はしないことにしているのだけど、先週のラクゴリラで聴いた文三さんの 「船弁慶」、これも抜群によかった。でも文三さんのと紅雀さんのと強調されてる部分が結構違ってて、それがとても興味深かった。今年の夏噺はもうこの二席の 「船弁慶」 につきるのではと思っている。

まあ、とんでもなく楽しい会だった。今年の春にこの会の第一回のチラシを突然見つけて、行けないのが残念だった。なにやら駅前商業組合みたいな組織が主催しているようなんだけど、三人の選び方にかなりセンスを感じる。今月は落語ゼミや裏甲子園、そしてこの会と、米朝門中堅の落語会によく参加してるけれども、どれも相当楽しい。自分がやはり米朝一門贔屓だということを再認識するとともに、一門中堅の層の厚さも心強い。こんな形の二人会や三人のユニットがどんどんできればいいなと、今強く思っている。