2017.8.16 【豊中の天使★落語会・昼の部@豊中文芸センター小ホール】

 【豊中の天使★落語会・昼の部】

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いよいよ今日が、豊中文芸センター・小ホールでの天使さんの会。地元出身の天使さんが地元の新しいホールで落語会となれば、同じ豊中市民の落語ファンとしてはもちろん出向く。僕は去年の杮落しからここの大ホールは何度も来ているのだけど、小ホールは初めて。200キャパなんだけど、入った瞬間に見やすいいいホールだと思った。そして天使さんがいろいろと心配していた動員のことだけど、6割ぐらいは入っているのでは。これで収益的にどうなのかは分からないけど、コアな落語ファンも、地元の知り合いも結構来ていたし、まずはそこそこではと思いながら開演を待った。

智丸 / 犬の目
華紋 / 粗忽長屋
天使 / 書割盗人
たま / 地獄八景
仲入り
お囃子教室 / たま・天使・華紋・智丸・岡野鏡
天使 / 皿屋敷

三味線 / 岡野鏡

智丸さんから、病院でバイトしていた時のカルテネタで受けてから 「犬の目」、智丸さんでは初めてだけど、いつものようにねちゃっとした全く若さを感じない大阪弁がたまらなくいい。この人この大阪弁だけで相当な武器になるのではと思える。それにしても500人中498人に治療失敗した医者は、そりゃいたずらだな。

次は華紋さん、ゲスト枠のたまさん含めて、天使さん共演者を選ぶセンスがとてもいいな。そして華紋さん、大声で 「コーラとハンバーガーください」 「ここは図書館です」 と返されて、「コーラとハンバーガーください」 と小声で言って爆笑。伝わるかな。こんなん大好きです。
そこからネタは 「粗忽長屋」、まあ、シュールな噺で好きなんだ。そして華紋さん、癖のないしゃべりなんだけど、よく聴けば少しかぶせるような間は個性的で、かなり器用にも聞こえる。本当はもっときっちりと聴きたい人だ。

そして天使さん、上がっていきなりいつもの 「何かご不満でも?」 のまくら。でも今日はそれいらんやろ、て一人で突っ込んでた。みんな天使さん観にきてるんやから。そして入門時、米朝初の玄孫弟子で話題になり、2ch の炎上鎮火の件で爆笑。 いつもながらこういう話する時の天使さんの間がいいな。
そこから 「書割盗人」、天使さんの筆づかいが、細かいんだけどこなれている感じにラフでアバウトで、落語らしくていい。つもり vs つもり、はどこまでいくねん。天使さんらしさたっぷりでとても楽しい 「書割盗人」だった。

続いてたまさん登場、普通ゲスト枠の先輩演者は準備が整った頃に来るものだけど、今日は12時に呼ばれて舞台チェックを手伝ったと。そして、入門時の天使さんのことをいらい倒す。当時玄孫弟子と名前の珍しさでかなり話題になってたもんな。で、「なるほどおはぎの丹波屋や」 がまくらの落ち。
そこから4日前に天使さんに依頼されたという 「地獄八景」、「もうちょっとはよ言うてこい」 とか言いながらも、時事ネタてんこ盛りで爆笑が続く。平尾昌晃と野際陽子がどうとか、四天王と歌丸がとか、団十郎勢揃いの公演では受付がなんと、とか。政治ネタ、宗教ネタから閻魔の庁では天使さんと智丸さんまで登場。顔芸サービスまで大いに受けて終わる。4日で再構成したんだろうけど、天使さんのこと遣いながら、爆笑に叩き込んて場の空気を変えた。

仲入り後は 「お囃子紹介」、天使さんが進行と笛、華紋さんが大太鼓、締太鼓、智丸さんが銅鑼とあたり鉦、たまさんが拍子木と司会指導とあたりの落語、そして三味線が岡野鏡さん、という豪華メンバーというか、舞台が整理されてなくてざわざわしてる感じだ。そして、一番太鼓、二番太鼓と天使さん紹介するのだけど、たまさんが突っ込みまくるほどのグダグダ振り。だけどこれが楽しくて、たまさんが天使さんに向かって 「司会が下手なんか、ボケてるのかどっちやねん」 で大爆笑。二人の息がピッタリだ。それにしても、華紋さん太鼓上手いな。天使さんの笛も鳴ってるし。そしてここで三味線の岡野鏡さん登場、高座に座った鏡さんに、たまさん座布団をひっくり返して渡す。なんか好感度やな。でもこの鏡さんは高橋まきさんのお弟子さんで、入門三年目のお囃子三味線最若手なんだけど、いつもいい音出ていて、歌も達者だ。「地獄八景」 のハメモノもよかった。そこから 「石段」 とか出囃子いくつかやって、ハメモノ実演。小倉船とかの一節をたまさん高座で語って、皆さんがそれに合わせていく。これはとてもよかった。こういう企画は上方の落語会ではよくあるんだけど、今日は天使さんとたまさんの絶妙のチームプレイで爆発的に楽しかった。 

そして最後は天使さん、上がってたま兄さんにはよくダメ出しをされるけれども、それは私やぽんぽ娘姉さんのことが好きだからだと思うようにしていると。まあ、それは分からなくもない。そしてネタは何かと思っていたら 「皿屋敷」 だった。前半のお菊と鉄山の皿が足りなくて折檻する場面が印象的だ。いろいろと悶えるお菊、そしてためてためてアクションする鉄山。天使さん最近古典ではかなりデフォルメしたオーバーアクション的に演じていることもよくあって、これが今日のこの会でみせてる天使さんのキャラ造形に繋がってる気がしていいと思うのだけど、きっちりと古典を演じる天使さんもまた観てみたい。去年、一昨年と正月の八聖亭の高座はそんな風によかったので。でもこの 「皿屋敷」、今日の締めとしては十分だったと思う。 

てことで、昼の部は楽しく終了した。結果的にはたまさん大活躍だったけれど、自分だけが目立つというのじゃなくて、あくまで天使さんをつかって面白くしていくという動きがとても印象的だった。これもやっぱりたまさんのプロデュース力なんだろうな。そして天使さんは逆につかわれるのが上手いなと思った。それが一番分かりやすく出ていたのが 「お囃子紹介」 だったのでは。そして地元の新しいホールでこういう会を開いてくれた天使さんに感謝。もちろん、またやってほしいのだけど、僕は正直言って、よしもと、ていう会社が好きでないので、あまり前に出ない形の方がより楽しいんだけどな。