2017.5.5 【裏甲子園寄席@ギャラリーアライ】

【裏甲子園寄席】 

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阪神甲子園駅の北側、球場とは逆の方向で新しい落語会が始まった。裏甲子園寄席、駅の裏っ側だからこんな名前なんだろうと思っていたら、当日同じ14時から球場で広島戦だ。てことは梅田からの電車がめちゃめちゃ混むんだな、と。そんなこと考えながら阪神梅田駅、直通特急に乗った。確かに黄色や赤で混んでるけど15分ぐらいで着いた。そして会場のギャラリーアライまでも直ぐだった。外からもよく見える開放的な会場で、待ってる間にわくわくしてきた。そして番組は紅雀さんと佐ん吉さんの二人会、楽しくならないはずがなかった。

トーク / 紅雀、佐ん吉
佐ん吉 / 堪忍袋
紅雀 / 親子酒
仲入り
紅雀 / 青菜
佐ん吉 / 高津の富

まずは二人でトーク紅雀さん客席見回して 「7割ぐらいは知ってる人や」 。そう今日は紅雀ファンと佐ん吉ファンが各地から集結。地元の人は案外少ない感じだ。トークはほぼ紅雀さんがリード、神戸屋パンのまくらをまた聴きたい人多し。あれは傑作やもんな。後はやんちゃなざこばさんでも爆笑。そして、佐ん吉さんから紅雀さんに、自分で話振ってすぐに自分で答えんといてください、という指摘も。紅雀さん最初から絶好調だ。

佐ん吉さん、二日後の独演会のチケットが去年と比べて売れ行きが鈍いと、PRの後は 「堪忍袋」
これも何度も聴いてるけれど、佐ん吉さんの端正な噺とは対極にあって、冒頭の「出ていけアホンダラ!」 からテンションがマックスに。この噺、実際に堪忍袋が出てくるのは後半かなりおしてからで、それまでの夫婦の喧嘩とそれを止める甚兵衛はん(名前あってたかな?) のやりとりが面白すぎて、爆笑が続く。しかし今日の客席の反応の速さと笑いの大きさはすごい。40~50人で多分8割ぐらい女性だと思うけど、男が多いとこういう笑いにはなりにくいのでは。

最近、こんな女性が圧倒的に多い落語会全然珍しくないな。南天さん、たまさん、喬太郎さんみんなそうだ。

続いて紅雀さん、先日ABCでオンエアされた南天さんとのラジオ番組の話題、かなりきわどい。そして佐ん吉さんとかがよく飲んでいるという話から酔っ払いがいきなり登場。紅雀さんの噺はネタへの入り方がシームレスでどこで入るのかちょと分かりにくい時がある。こういうの僕はとても好きだ。で、ほどなく 「親子酒」 と分かる。
親父も息子も高座で酔っぱらいまくって大爆笑。客席揺れる。で、うどん屋にからむ場面でとどめとなる。
紅雀さんの直感的な、ようにみえる落語を堪能した。

仲入り後はもう一席紅雀さん、昨日まで小豆島に行っていた話から、こちらも唐突に植木を切る場面。「青菜」 だな。ほぼ横向いて切るのが珍しい。大層に失敗して大層に驚く。この無言のシーンで客席を引き付ける。
植木屋が手酌する所作が面白い。そして「旦さんと私の未来に乾杯!」 とても紅雀さんらしい。
それから後半はお咲さんがとても楽しい。いろいろと入れ込んだ 「青菜」 だけどこういうのを聴くと紅雀さんはどこまで決めて高座に上がってるのかなと思う。すごくアドリブ的にみえる。
まあ、どちらにしても気温が上がって少し暑くもあった今日、今年初めての 「青菜」 を紅雀さんで聴けたのは良かった。

最後は佐ん吉さん、ヤクオフで酔っぱらってて七千円のスーツをおとしてしまい後悔してると。それで、宝くじの話、天皇賞で一応とったけど損した話から、「高津の富」
二番富の妄想男の件、とても長く感じる。「近日息子」の謝らない男とか、「くやみ」ののろけの場面でもそうだけど、この本筋には関係ない噺で引っ張って受けるというのが好きだな。なんやったら本筋に戻らないような噺があってもいいと思っているほどだ。だけど佐ん吉さん、やっぱり所作がきれいだ。

以上二人で四席、とにかく最初から最後までずっと楽しかった。二人会はよくあるけれども、今日のように二人とも好きな噺家さんという事が案外少ない。そして、二人のファンがきっちり集まった客席のパワーもすごかった。最近では一番いい二人会だったのでは。そんな意味では席亭の Kさんだからこそできた会だと思うし、ただただ感謝だ。ぜひ二回目も同じ二人で開催してほしいなと思っている。