2016.11.25 【戦後復活落語会~四天王へのレクイエム@繁昌亭】

【戦後復活落語会~四天王へのレクイエム】

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去年から始まった四天王リスペクトの落語会、今年は5日連続開催で、発表された時から楽日の今日来るつもりだった。いいメンバーなんだけどいまひとつ企画意図がはっきりしない。でもチケットは売れてるようだからまあそれはいいかと思いながらやって来た。確かに満員なんだけど、やはり平均年齢はかなり高い。どちらか言えば、最近あまり聴いていない人たちも駆けつけた感じだ。出番表みると、正月とかの特別興行と顔ぶれそんなに変わらないけど、客席の雰囲気は違う。さてどんな展開になるのか。

たま / 鉄砲勇助
坊枝 / 時うどん
仁智 / 源太と兄貴
仲入り
鶴笑 / パペット落語・西遊記
塩鯛 / 上燗屋
文珍 / 寝床

たまさん今日は開口一番、小噺サラッとして 「鉄砲勇助」。たまさんが師匠の福笑さんの会で開口一番の時はいつも爆発的に面白い。今日はいつもにも増して切れ味がいい。かつ開口一番を意識したような新鮮な印象を与える高座だ。自分の会ではいろいろと工夫の山盛りがこの人の落語の特長だけど、今日はそういうのなしでストレートな落語で本当によかった。トップの出番だけど、面白さも今日のトップだったと思う。

続いて坊枝さん、しばらくなんやかやとたまさんをいらう。そこからこれで面白くなければどうしようもないと 「時うどん」、師匠譲りのかと思ったけど、都々逸のない普通のバージョン。喜六がよく似合うけど二軒目の冒頭でうるさく感じた。声上げ過ぎだと思うんだけどな。坊枝さんの落語かなり好きなんだけど、この間の独演会もうるさく感じた。僕の聴き方に問題があるのかな。

中トリは仁智さん、いつもの野球のまくらで、また「スタディベースボール」 かと思っていたら 「源太と兄貴」、スタディほどには飽きていないけれど、どちらにしても仁智さん、面白い噺いくらでもあるのになぜこの二つにこだわるのかな。この間繁昌亭昼席トリで 「スタディベースボール」 三日連続で掛けたらしいけど中にはコアな仁智ファンもいると思うのだけど。まして今日は四天王リスペクトの特別な会なのに。もうネタが出ている時以外は聴きにくるのやめようかな。もちろん僕も仁智ファンの一人のつもりなんだけど。

仲入り後は鶴笑さん、上がって前半誰も四天王の話してないけど、そういう会ではないのかと。そこで師匠松鶴さんの話、わけもなく怒られたことが懐かしそうだ。米朝さんにパペットについて 「おまはんのやってることは落語の原点や」 と言われたと。
そこからネタは 「パペット西遊記」、もういつもながら爆発的に楽しい。予定調和なんだけど、誰でも子供の頃これに近いことして遊んだこと思い出すのでは。それがパペットの原点なのかもしれない。

次は塩鯛さん、今週三席目だ。米朝さんの思い出をいろいろ語る。
中華屋の小噺、トムとジェリーで爆笑。でもこれ昔からあるんだろうな。で、噺は 「上燗屋」。
今週三席すべて酒噺だ。「試し酒」 「替り目」 「上燗屋」、でも内容がそれぞれ違う。「試し酒」 は段々酔っぱらってくる。「替り目」は最初からベロンベロン。「上燗屋」 は程よい酔っ払い。これをきっちり演じ分けるのはなかなかすごいと思うのだけど、「上燗屋」については、モタレということもあったのか、時間的にサラッとしすぎに感じた。

最後は文珍さん、四天王それぞれとの思い出を語る。松鶴さん以外の三人にはよく稽古つけてもらったけれど、付け方にすごく個性があったと。そこから 「寝床」、文珍さんの落語は重くならないのが特長だと思うけど、寝床のような、これでもか的な噺でも、パートパートで少しずつ手前で止めてる感じがする。そして、それがまとまって少し違う印象の「寝床」になる。一言で言えば聴きやすい落語かな。
一旦すねてやらない宣言した主人が案外簡単に、じゃやろうか、となるあたりも逆に新鮮に聴こえる。

今日は面白いことは面白かったんだけど、この名前が並んだ期待値には届かなかった。今日一番印象的だったのも僕には開口一番のたまさんだった。