2016.11.24 【第13回・文楽の夕べ@中央公会堂・大集会室】

【第13回・文楽の夕べ】

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文楽の夕べ」は毎年この時期に日経主催で行われるファン招待イベントだ。中之島中央公会堂・大集会室に
1000人入れての実施になるのだけど、なかなか楽しい内容なのでいつも抽選になる。三年前に初めて出して当選、翌年は出し忘れ、去年は落選、ときて今年は参加証が届いた。一部は基本は住太夫さんと著名人との対談。そして二部はミニ公演と技芸員の方のトークになる。今年も注目の内容で楽しみだった。

〇第一部・対談
太夫さん、とてもお元気だ。しゃべるしゃべる。毎年進行役されてる日経の方が冒頭に振ると、そこからいろんなことを話された。主に上手側にいる南野陽子に向かって。陽子さんは今年の春までNHKの「日本の芸能」に出演していて、どうも住太夫さんは番組内で共演できなかったことが残念で、今回対談相手に指名したようだ。そんな経緯もあって、住さんしゃべる、陽子さん合いの手、の繰り返しで時間はどんどん経過していく。
途中で11月公演の酒屋の段の半兵衛のせきや、沼津の「なんまいだー」と言ったさわりを語ったり御機嫌な様子だ。それから 「近松物は文章がきれい過ぎて好きじゃない」 という話になったり、文化勲章天皇にお声をかけていただいた時の話とか、次々と話題が出てくる。結局時間がかなり押してきて、進行の人がブレーキをかけたほどだった。しかし、南野陽子は相変わらずきれいだった。

〇第二部・ミニ公演
開場予定が5時半でその50分前に現地に着くともうかなり並んでいて50人目ぐらいだった。しかし考えてみれば、1000人入れるわけだから、50番目なら余裕でいい席確保できるのではと思いながら待っていた。
そして開場、結果的には床から4メートルぐらいで、舞台にもそれぼど角度のない上手通路側という絶好の席を確保できた。この大集会室は文楽劇場よりキャパはかなり大きいのだけど二階もあるし、縦に長いので舞台は文楽劇場より大分幅が狭い。だからこういう床と舞台を両方いい位置で観れるポジションが出てくるわけだ。
本来文楽の舞台はこれぐらいの方がいいのかもしれない。
そして 「義経千本桜・道行初音旅」、多分僕が今まで観た文楽の中で一番華やかな舞台だ。太夫が二人とも住太夫さんのお弟子さんというのはいつもそうなのだろうか。文字久さん、小住さん、お二人とも気持ちよく聴かせてくれる。三味線は藤蔵さん引っ張る。そして寛太郎さんと燕二郎さん。狐はもちろん勘十郎さんで、静は一輔さん。
もう何も言うことないキャストだ。ただ、小さい舞台見やすいのだけど、狐が縦横無尽に動き回るにはやはり大きい方が躍動感がでる。ここのサイズは人形同志がからむのにちょうどいいサイズかな。

〇第二部・座談
文字久さん、藤蔵さん、勘十郎さんの座談。MCの人がそれぞれの経歴をすごく丁寧に紹介していく。
文字久さん、義経千本桜は初夏から翌年の2月ぐらいまでの噺なので本来桜は登場しないと。ならどうして、吉野への道行だから千本桜、ということなのか。そして、藤蔵さんの掛け声の話面白かった。「僕は大体声が多い方で」 分かってます。三味線の芯を取る人の掛け声はタクトを振っているようなものだ、と。なるほど分かりやすい。文字久さんが師匠に言われる声を浮かすことの実演、それを三味線でも同じだと#と♭の実演、こちらもとても分かりやすかった。勘十郎さんは狐の使い方について細かく解説。首の振らせ方とかただ観てると分からないことがいろいろある。終わった後に、狐を少し丸めて自分の座ってるベンチの横に丁寧に置くと、なにか狐というか犬というか、勘十郎さんに寄り添っているようにみえた。
最後に三人それぞれがこの先の告知、公演PRをしてすべて終了した。

三年前に来た時も楽しかったけれど、当時は今以上に文楽の超初心者だったので、今日はもっと楽しめた。抽選に当たらないと来れないけれど、ぜひ毎年来たいイベントだ。
それにしてもこの大集会室はいい意匠だな。