2016.1.17 【紫のつる@八聖亭】

【紫のつる】

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露の紫、林家つる子、東西女流の二人会に行ってきた。二人ともアマチュア落語出身で同じ大会での入賞歴があって共通点も多いのだけど、それは後のトークでたっぷり。
つる子さんは、まだ入門間もない頃だと思うけど、東京の寄席の前座出番に数回続けて遭遇して、向こうの前座は開演前に上がる本当の前座で名前も出ないんだけど、随分達者な女流の人だなと思った。で、名前調べるとつる子さんだった。それで大阪に帰ってからアマチュア落語の人達とそんな話をしてると、彼女もアマチュア落語出身で私たちも知り合いで応援してると。
そんないきさつがあって以前から注目していたつる子さんが、上方女流の中でもなかなかいいと僕が思っている紫さんとの二人会ということで駆けつけた。

紫、つる子 / トーク
紫 / つる
つる子 / ちりとてちん~踊り・奴さん
中入り
つる子 / 猫と金魚
紫 / 厩火事

冒頭の二人のトークは、アマチュア時代、プロになってからの修行時代のとりとめもないことが延々と続く。かなり長かったと思うけど、何か女性二人の茶飲み話を聴いているようで楽しかった。中でもつる子さんの寄席前座修行の話は面白かったな。上方とはまた違うけれども、階級制度については僕はメリットデメリットがあって、片方があるのならもう一方はないという混在している今の形が落語界全体にとってはいいのかなと思う。
そして、紫さんは都師匠の話。年季明けを言われた時の件は傑作だった。都一門は今お弟子さん6人の大一門で全員女性だ。また話がそれるけれども、一体いつになったら弟子をとるんだと思える人も結構いる中で、都さんのどんどん弟子をとる姿勢は素晴らしいと思う。そしてみなさん個性的だ。

ようやく、と言う感じで落語に入る。紫さんから。今日は一席のみネタ出しで、何をしようかと考えたけど、つる子さんにちなんで「つる」をしますと。以前から言ってるけど、この人の落語の独特の間が好きなんだ。ちょっとずらしてためる。そしてそのままかぶせてつっこむ。そういうのが特に「つる」なんかには合ってると思う。表情がよく変化するのもいいな。

つる子さん、修行時代に正蔵師匠と吉祥寺まで同行した時の失敗談で、知ったかぶりはだめだと。そこから「ちりとてちん」。前座で聴いて以来久しぶりだ。相変わらずうまくて、凛々しい。僕、男女問わず凛々しい落語好きなんだ。あんまりいないけど。顔が小さくてかわいいしなんとなく宝塚ぽくもみえる。で、この噺江戸上方を行ったり来たりして、細かな設定がいろいろなんだけど、つる子さんのは旦那と対面する二人の人物、べんちゃら男と知ったかぶり男の表現がもっとはっきりと違っていてもいいのではと思った。
その後、踊りで「奴さん」。もうこれは無条件でいい。

中入り後、再びつる子さん。ミスi d というミスコンで何とかという賞をとった話から。よくわからないけどすごいんだろう。その審査の時落語を一席した後、着物を脱いで仕込んでおいた衣装でキャンディーズを歌った動画がネットにあがってると。それはみなくては。
ネタは「猫と金魚」。江戸ではよく掛かる噺だけど上方ではたまにしか聴かない。楽しい噺だし、特に場所の設定とかも関係ないし、こういう噺こそもっと東西行き来すればいいのに。
僕は、とても落語らしくてバカバカしくて好きな噺だ。つる子さん、こちらの方がよかったと思う。困惑の表情、すっとぼけた表情、どちらもいいな。そんなアホおらんやろ、てのが登場してこそ落語なんだな。

最後は紫さん、若手GPの話。今年はたまさんが出るのですっと優勝してほしいんだけど、紫さんとか他にも頑張ってほしい人結構いて複雑だな。まず決勝に残ってほしいな。
そしてドラマ「赤めだか」で談春さん役が二宮クンてのはどうなんだと。ある人が都一門をドラマ化するとして架空のキャスティングを作った時、紫さんは井川遥で都さんは大地真央だったらしい。あのね……。
噺は「厩火事」、ネタ出しで紫さんでは初めてだけど、とてもそうは思えないほどこの噺の女房が紫さんのイメージと重なる。チラシみた時からそんなイメージもっていたので、もう冒頭の場面から噺にどっぷりとはまった。リアルすぎて旦那と兄さんが奥に引っ込んでみえた。でもよかったな。落語で特定の人物がグッと前に出てくるのは嫌いじゃない。そして下げ前の場面で女房が喜ぶところ、ここが少し長めで抜群にいい。また聴きたいな。

ということで、なんとも楽しい二人会だった。たまにはこんな女性だけの落語会もいいな。東京でも同じ二人会12月にしたそうだし、今後は年二回開催したいという話もあった。今日は会場ほぼ満員だったけど、これからも通うことになりそうだ。