2015.12.7 【繁昌亭昼席】

【繁昌亭昼席】

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今日は喬太郎さんが昼夜繁昌亭ということで、12時半の開場直前に到着。するとバッグの中にチケットホルダーがない。朝、家でごそごそしていた時に多分落ちたに違いない。チケット買い直す手もあったけど夜席のこともあるので、自宅まで戻った。するとベッドの向こうに落ちていた。そこから繁昌亭までとって返してちょうど5席目の瓶吾さんのまくらから入った。

華紋 /
福丸 /
鶴二 /
寒空はだか / (漫談)
瓶吾 / 犬の目
文三 / 転失気
中入り
藤本健太郎 / (津軽三味線)
喬太郎 / たいこ腹
米紫 / 大安売り
福団治 / しじみ売り

瓶吾さん、何年も聴いてないと思うけどこんなに面白い人だったか。補助席だったけど声はクリアですこんと届くし、身体全体からおかしみが漂って来るし、顔もおもろいしこんな「犬の目」久しぶりだ。

中トリは文三さん、学校寄席のまくらから意外にも「転失気」。一瞬、そんな軽いネタを、と思ったけど、もちろん所作、口跡、困惑の表情と全部爆笑だ。それに終演後みたらネタの並び的にもこれでよかったのかも。夜席に向けてセーブしていたのか。

中入り後は、津軽三味線の藤本健太郎さん。もちろん三味線好きなので楽しみにしていた。短い時間でも堪能させてもらったけど、拍手の要請はどうなのかな。あれだけ拍手が入ると僕にはかなりうるさかった。ちゃんと音を聴いて楽しんでナンボだと思う。

そしていよいよ喬太郎さん、まくらから太鼓持ちの話になってやはり「たいこ腹」。数えたら聴くの5回目だ。いかに関西でよくかけているかだけど、今日も爆笑。転失気のおちょこを入れ込んだり、他のこまかいくすぐりも多分毎回変わってる。腹芸もあったし、限られた時間でお腹いっぱいになる大サービス。こういう方向に持っていくにはぴったりのネタなんだろう。隣のおそらく喬太郎さん初めてらしきおばさんが、「おおーっ」とか「うわっ」とか声に出して驚愕の連続だった。その人の落語観をどうも喬太郎さんがたたきこわしたようだけど、すごく楽しそうにはしゃいだはった。
それと、僕はそういう志向はまったくないのだけど、喬太郎さんの所作はいつもチャーミングやね。あの斜め下から若旦那を見つめ続ける主体性のない太鼓持ちとか。喬太郎さんの映画早く観たくなった。

続いてモタレは米紫さん、僕はいつも喬太郎さんが客席の空気を全部持って行った後の人の高座注目してる。喬太郎さんてそのあたり気持ちがいいくらい全く遠慮がないので。米紫さん、前の名前の話、師匠の話、いつものまくらからネタに入った。相撲の話してる。なんだろう。米紫さんで相撲噺てあまりピンとこない。どうも「大安売り」みたいだ。始まった。力士の名前が「玉二つ」じゃなくてたけのこの里かなんかそんなんやったけど、この噺は力士が東京で負け続けたことをずっと10敗するまで繰り返すのが肝で、リピート噺なんだけど、その部分が今日の米紫さんはなんて言うか非常に力士っぽい演出で客席を熱くし続けた。10敗するまで盛り上げり続ける客席、こんな「大安売り」初めてみた。米紫さん、喬太郎さんの後の出番ということでいろいろ考えてたんだろうか。だとしたら見事に成功したと思うし、他の演者をその気にさせる喬太郎さんも大したものだ。喬太郎vs米紫、がっぷり四つだった。

トリは福団治さん、僕が入った瓶吾さんからの落語4席、コンパクトで爆笑ネタが続いてとてもいい流れになっている。ここで何をかけるのか。個人的には「くっしゃみ」を掛けてと思っていたけど、師走ですなあ。から始まって、物売りや商人の声を一年間季節ごとにいろいろ聴かせる。この福団治さんは初めてだけど、これを聴いただけでもすごく値打ちを感じていいもの聴かせてもらったと。で、そうなるとネタはやっぱり「しじみ売り」だ。ここまでの爆笑を抑えるように噺が流れる。僕はこれはこれでいい流れだ思っていた。更に爆笑に走らない福団治さんがトリらしいかなと。ただ、そうなるとこの噺は笑い場が非常に少ない。ところがどうも客席が笑いを求めすぎる状態になっていたようで、笑う場所じゃないところで結構笑いが起きてそれが連鎖する。最後にそれが少し残念だったけど、それも今日の寄席のパワーが引き起こしたということだろう。

とにかく今日の昼席は今まで聴いた中でも指折りの出来だったと思う。こんな日にチケットを持っていながら僕個人のつまらないミスで前半4席聴き逃したのがすごく悔やまれる。いつも言ってるように寄席は流れで、最初から乗るつもりの流れに乗れなかったのだから。