2015.12.1 【動楽亭昼席】

【動楽亭昼席】

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動楽亭昼席は、1~10日までが米朝一門だけが出演。11~20日が上方全一門が出演。夜席と21日以降の昼については貸席で米朝一門を中心にいろんな落語会が開かれている。中には「江戸噺の会」など東京の噺家さんだけの会も過去に開催されている。21~末日までは昼席が開催されないため毎日必ず落語会が開かれるとはいかないが、月数日を除いて連日の開催で、大阪では繁昌亭に次ぐ定席という扱いだ。
ちなみにここの席亭はオーナーのざこばさんになる。昼席はどちらかというと10日までの米朝一門出演日の平日にいい番組が組まれる傾向にある。正に今日がそれで、これは混むぞと早めに行ったけどすでに20人ぐらい並んでいた。最終的に札止めにはならなかったけど、ちょうど100人ということで、熱気の中開演した。

弥太郎 / 動物園
雀五郎 / 初天神
南光 / 天狗裁き
米輔 / 住吉駕籠
中入り

弥太郎さん、入門当時から聴いてるけどなんかもう一歩吹っ切れてほしいな。面白いんだけど、もっと個性がほしいと思う。

雀五郎さんの「初天神」はかなりいい。中でも、向いのおっさんが帰ろうとする寅ちゃんを「ちょっと待って!」と引き留めるところ。この手を出すタイミングが抜群にいい。こういう間をずらすと落語はリズムが悪くなって面白くなくなる。子供が結構似合う人だ。

続いて南光さん、珍しく三つ目で登場。この出番で何を掛けてくれるのかと、それはそれで楽しみではあった。まくらで、高座からはお客さんもよく見えていると。寝ている人がいると起こそうと一生懸命になる時もある。そこから夢の話に。楽屋で高座衣装に着替える時、突然帯が長くなって結べなくて焦る夢をみたことがあると。ここで爆笑。南光さんのまくらは話術全開で受けまくってネタは「天狗裁き」。正直リピートネタで飽きていてあまり聴きたくないんだけど南光さんならばと思ったら、まくらからの流れを絶やさずにスムースに笑いにつながって、リピートの相手が変わる度に次はどうだと期待が高まった。こんな「天狗裁き」は初めてだ。この間の「火焔太鼓」といい師弟で絶好調だな。

中トリ米輔さん、この人はこの出番がベストだと思う。

後半は「べにてん」だ。まず紅雀さんから。上がっていきなり愚痴モード、「今日の楽屋は南光師匠や米輔師匠や南天兄さんにへいこらして、僕ら20年やってるけどいつまでたってもペーペーですわ」。そこから坊主と政治家はなんであんなに偉そうなんやという話で爆笑とって「八五郎坊主」。上方では八五郎はめったに出てこないけど、この噺のキャラは「無茶な喜六」。かなりとんでもない。そもそもこういう人物が僧侶になろうとして周りがそれをサポートするという設定からして落語そのもので、これが紅雀さんのキャラにバシッとはまって爆笑が続く。とても楽しかった。

トリは南天さん、紅雀さんのことに触れ「少なくとも僕に対しては何の気もつかってません。だいたい長いんや。もっとまくらまとめてから上がれ。思いつくままぺらぺらしゃべりやがって。」その通りだと思う。でも直感的に処理するそれが紅雀さんの落語の面白さだ。南天さんだって当然分かっていってる。そこから、酔っぱらったABCの人と電車の中で会った時の話と奥さんとのやりとりの話。いつものまくら二本並べて、そこから「崇徳院」。もう熊はん大活躍。南天さんの崇徳院聴いてると熊はんが好きになる。登場人物を魅力的にみせるのは演者の力で、また今日は若旦那の頼りなさとの対比の妙も面白かった。
僕、この噺なんも最後にガラス割らんでもええのにといつも思ってる。無理やりの下げに聴こえて、ハッピーエンドで終わってもよいのでは。噺の内容は違うけど「天神山」の枝雀さんの余韻残す型のように。

最近○○の会てのが続いてたので、やっぱり寄席は寄席の楽しさがある。それは流れ。今日は南光さん、紅雀さん、南天さんと三者三様に爆発的に面白くて、寄席の気分を堪能した。
そして1月のこの昼席でりょうばさんの初高座が組まれた。何としても行かなくては。