2015.11.28 【千朝落語を聴く会@太融寺本坊】

 【千朝落語を聴く会】

また、写真を撮り忘れた。2か月に一度のこの会、いつも楽しみにしている。ネタ出しの会だけど今日はまたいいネタが並んだ。数日前から急に寒くなったこともあり冬ネタの季節感もぴったりだ。太融寺ではこの会以外にもいろんな落語会が開かれているけど、梅田徒歩圏ということもありロケーションだけなら大阪の落語会の中で僕は一番好きな会場だ。そしてこの大きな部屋をフルスペース使うのもこの会だけで、他の会は1/3ころして開催されている。

二乗 / 禍は下
千朝 / 高津の富
米二 / 池田の猪買い
千朝 / 除夜の雪

米二さんがゲストなのは分かっていたけど、今日プログラムもらったら開口一番が二乗さんだった。他の人の会で師弟共演というのはとても珍しい。二乗さんも上がってすぐにそのことに触れ「千朝師匠の会の出番というだけでかなり緊張するんですけど、今日は更にうちの師匠もいらっしゃるということで今すごい緊張感です」と。
で、ネタは「禍は下」。江戸の「権助魚」だな。二乗さんと言えば「癪の合い薬」だろうけど、こちらもいい。好きな噺だけど最初不明な演題の意味が下げでスコンと分かるのも落語らしい。

千朝さん一席目は年末ジャンボ10億円の話から「高津の富」。最初今日の二席みた時、どっちも遊べないなと。今日は二席とも本格派千朝でいくのかと思っていたら、こちらは遊んだ。小ギャグの応酬、最近この会に通ってる人たちはやっぱりこれが楽しみなようだ。旦那が所作付き小ギャグをとばしまくり、いちいち激しくリアクションする宿屋の主人。ここで受けまくったあと、ようや場面はく高津神社に。ここでは二番富の妄想男がしつこく長い。でもこのシーンは前後の流れを忘れさせるくらいの方がいいのだろう。「高津の富、二番富の男主役説」を思い出す。いや、僕が言ってるだけやけど。

続いて米二さん、二日連続のゲストだけど今日は兄弟子の会とあって内弟子時代の思い出を。米朝宅で少しだけ一緒に過ごしていて、吉朝さん、米八さんが亡くなったので今は千朝さんがすぐ上になったと。米二さんにしては毒のない普通のまくら。そこからネタは「池田の猪買い」、今日も冬噺だ。この噺も後半池田に着いてからがガラッと変わるんだけど、もう寒さがね、雪の描写がしんしんと。僕は冬は嫌いだけど、落語の冬噺はやっぱりいい。客席にひとりとてもキャッチーな笑い方をする女性がいて、終盤米二さんが一瞬その笑いにつかまって素の笑顔になったのがおかしかった。でも、二日続けて米二さんのいい落語を聴かせてもらって、またこの人の会に行かなくては。

そして、最後は「除夜の雪」、昨日米二さんで聴いて帰ってきて、今日のプログラムみたらなんと二日連続だ。かなりテンションがあがった。千朝さんの「除夜の雪」は極めてシリアスに演じられたんだけど、米二さんのとは基本的な設定がちがった。千朝さんのは、姑がすでに死んでいて亡くなる前に御寮人に「今までつらくあたって悪かった」と謝った設定で、その時点で姑はいい人になっている。そして御寮人が亡くなったのはいろいろあった心労のあまり庭で倒れていたことになっていた。元々の噺は米二さんの、姑にいびりぬかれて自殺した方だと思うし、そちらの方がこの噺の存在感は大きくなるのでは。もちろん千朝さんの「除夜の雪」も抜群にいいんだけど。

ということで、四席中入りなしのコンパクトな会だけどいつも満足感は相当高い。後は梅田エリアでの落語会が少なすぎるのが残念だけど、千林で開催されてた雀三郎一門会が来年から大阪駅前第○ビルに移るはずでこれも楽しみな話だ。