2015.11.8 【第372回・岡町落語ランド@豊中市立伝統芸能館】

【第372回・岡町落語ランド】

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今日は吉朝さんの10回目の命日。ということで佐ん吉さんプロデュースの今回は兄弟子二人と吉朝さんのすぐ上の米輔さんを迎えての偲ぶ会。佐ん吉さん本人のNHK落語新人大賞という慶事もあって、いろんな落語会のあるこの日でも60人ぐらいの入り。みなさん吉朝さんの何を語るのかとても楽しみだった。

佐ん吉 / 宿屋町
あさ吉 / 深山隠れ
中入り
しん吉 / 天災
米輔 / 住吉駕籠

佐ん吉さん、本日の主旨説明の後まず自分のことから。「今年の秋に大きな賞をいただきまして」。拍手っ!「菊花賞という。キタサンブラックがうまく入ってくれて」。爆笑!「いえいえ、NHK新人落語大賞を」。拍手っ!「ゆうても新人ですから。でも106人から」。拍手っ!「いえいえ、賞金が50万で」拍手っ!
儀式が終わって吉朝さんの話に。いろいろとギャグをとばすのが好きな人で、結構ブラックなことも言ってたと。しばらくそんな話が続いて、そろそろネタにと「宿屋町」。東の旅の復路で大津宿の話。終始わちゃわちゃしていて、喜六が楽し気で東の旅の中でも好きな噺だ。佐ん吉さんの喜六はちょっとだけ賢そうにみえる。

続いてあさ吉さん、吉朝一門の一番弟子だ。あまりまくらで料理以外の話はしない人だけど、今日は吉朝さんに入門した経緯をたっぷりと。元々は米朝さんに憧れていて弟子入り志願に行ったら断られて、その時内弟子でいたのが結局最後の直弟子になった宗助さん、そこからいろんな経緯があって、米朝さんから吉朝のところへ行けと言われた。で、押しかけて最初断られたけど、米朝師匠の紹介ですと言うと、すぐにOKとなった。ただ、当時の吉朝さんの自宅は狭くて内弟子が住めない。ちょうど米朝宅とも近所だったので、4年半内弟子をしていた宗助さんに変わってあさ吉さんが米朝宅に住み込むことになった。あさ吉さん「願ったり叶ったり」だったらしい。
かなり客席が沸いて、ネタは「深山隠れ」。五郎兵衛一門の噺ということで慎吾さんに習ったとのことだけど、元々かなり不思議なテイストの噺があさき吉さんで一層増幅された感じだった。なかなかつかみにくい噺だけど、もっと適当に聞けばいいのかもしれない。

中入り後はしん吉さん、吉朝さんのことを、かなりしゃれのきつい人で一緒に旅公演の時なんかは道中いろいろあったと。特に飛行機嫌いのあさ吉さんと一緒に伊丹から羽田に行った時の吉朝さんの行状は面白かった。でも本人にしたらたまらないだろう。
ネタは「天災」。しん吉さんでは初めてだし、そもそも吉朝一門ではあまり聴くことがない噺だ。で、全体的な印象はしゅっとしてる。こういう「天災」はあまり聴けなくて貴重だった。でも医者の名前が違った。紅羅坊名丸じゃなかった。吉朝さんのは誰からきてたのだろう。

最後は米輔さん、米朝さん直弟子で吉朝さんのすぐ兄弟子になる。吉朝さんや同期の千朝さんには口うるさくてデビルと言われていたらしい。申し訳ないけど、僕、この人の落語は数年前の動楽亭昼席で、二度続けてあまりにも客席を無視した高座をみてしまってから聴いていない。で、今回はこういう主旨の元にゲストでトリとして呼ばれてどうなんだろうかと思っていたけど、やっぱり基本的には同じだった。客席の顔ぶれや空気感で高座でいろいろ対応するという、僕らがいつも聴いてる噺家さんが普通にしてることをできない人なんだと思う。

でも今日の会は貴重な噺をいろいろ聴けたし、三人の高座はいつもに増してすごく楽しかった。最後が千朝さんだったら言うことのない会になってたやろな。