2015.11.7 【動楽亭昼席】

 【動楽亭昼席】

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動楽亭昼席、ずっと平日の方がいい番組が多いと思っていて自由に行ける人がうらやましかったけど、自分がその立場に近くなった10月11月と平日になかなかいいのがなかった。で、結局今日の土曜日に行くことになった。べにてん+宗助さん、佐ん吉さん。しかもべにてんの二人で中トリとトリを務めることそんなにない。そして、NHK優勝の佐ん吉さん、僕は優勝後初めてだ。どんな話を聴かせてくれるのか、楽しみだらけのスタートだ。

そうば / 鉄砲勇助
佐ん吉 / 代脈
宗助 / つる
紅雀 / 宿替え
中入り
わかば / 片棒
南天 / くしゃみ講釈

そうばさん、噺家という職業上本当のことを言っても嘘っぽく聴かれることが多いと。例えばと二つ話をしたが確かに「またネタやろ」と思った。そこから「鉄砲勇助」。相変わらず口跡はっきりしていて聴きやすいし好きな若手のひとりだ。それとこの噺もたまにはフルバージョンで聴きたいな。それとそうばさんの九州なまりを指摘する人よくいて、確かにそれは感じるけど、逆にそうばさんらしさにつながってるように思え、僕は別に気にならない。

続いて佐ん吉さん、少し前から風邪気味で普段なら自然治癒に任せるんですけど、ちょっと大事な高座があったので病院に行って、とか持って回ったこと言ってたけど、ほとんどみんな知ってたと思う。どんな風に言うのかなと思ってたら、「NHKで大賞いただきまして…」。拍手っ!「いやいやそんな大層なことでは…。でも106人の中から選ばれて」。拍手っ!もう一回なんか言うたな。でまた、拍手っ! 噺家さんが賞を取った時の客席への定番の報告、佐ん吉さんすごくうれしそうだった。
で、その行った家の近くの病院が、古くて先生も変わっていてという話から「代脈」。これは佐ん吉さんの定番で何度も聴いてるけど、何か余裕のようなものを感じた。でもぼけるところはきっちりぼける。佐ん吉さんの落語の特長はやっぱりその端正さにあって、それは吉朝一門の中でも指折りだと思うけど、商売根問のほーたる踊りなんかのバカバカしさもやっぱりこの人の落語のいいところだな。
まあとにかく、大賞おめでとうだ!

三つ目は宗助さん、「つる」だ。2日の文之助さんに続いてベテランの「つる」を一週間に二度も聴くなんて。しかし、宗助さんのも面白い。特にどこをさわってるとかじゃなくて、普通のストーリーなんだけどな。でも「つる」流行ってるのか。ベテラン前座噺の会、またやってほしいな。なんやったらベテランつるの会でもいいわ。

中トリは紅雀さん、自分のギャグが家庭内で受けなかったことから時事ネタでマンションくい打ち問題になり、「悔い改める」とかだった。そこから「宿替え」紅雀さんのこの噺はもう鉄板で、爆笑で、枝雀さんフレイバーもちらちら顔をだして、もう最高だ。中でもやっぱり好きなのは、なんやかんや言いながら仲のいい夫婦にぽわっとさせられるところだ。

中入り後はわかばさん、上がっていきなり顔が黒い。黒すぎる。どこかの落語会で客席からしつこくいらわれた、と言ってた。動楽亭のお客はそんなことしないけど、そのいらった人の気持ちわかるくらい黒い。ウォーキングらしいけど、やっぱり顔も商売道具の内なんだからあそこまで焼いちゃダメだと思う。「片棒」は文之助さんのキレには遠く及ばない。

最後、南天さん。トリの心構えみたいな話で、ネタだけでなくまくらでも開演前に喫茶店で話してたようなことを先に出た後輩にされてしまうことある。今日もそうだったと。「紅雀!俺やったら、悔い改めるはもっと面白く使うぞ!」 ここで大爆笑。仲がいいからこそそんなこと言ってられるんだろう。そこからもうひとつの作品と化してるザンボマスターのまくら。普通まくらは度々聴くと飽きるんだけどこれは相変わらず爆笑だ。
ネタは「くしゃみ講釈」。これも相当完成度は高い。南天さんの落語は去年今年と面白さの精度が随分多くのネタで上がってきていると思うのだけど、この噺もそんな中のひとつだ。最後の訳のわからない歌が好きだな。

今日も楽しい昼席だった。動楽亭昼席のいいところは、今日のように紅雀南天で中トリ~トリを組んできっちりおさめるところだ。繁昌亭昼席なら二人ともこのクラスというわけにはいかない.。動楽亭の方がフレキシブルに出番が組まれている。だからざこばさんや南光さんが三つ目やモタレで普通に出る。なのでコアな落語ファンは繁昌亭昼席より動楽亭昼席を好むことになる。